2015年11月19日

読書探偵作文コンクール2015 最優秀賞 全文掲載

 最優秀賞を受賞なさった野上日菜子さん、SAYUMIさん、原口徠未さんの受賞のことばと作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2015 最終選考結果発表!
______________________________

◎最優秀賞
野上日菜子さん(小6) 
読んだ本――『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳 岩波書店
『秘密の花園』 バーネット作 土屋京子訳 光文社
『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル作 柳瀬尚紀訳 集英社
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))
トムは真夜中の庭で

秘密の花園 (光文社古典新訳文庫)
秘密の花園

不思議の国のアリス―少年少女名作の森〈18〉
不思議の国のアリス

【受賞のことば】
 すばらしい賞をいただいて、ただ驚いています。『トムは真夜中の庭で』も『秘密の花園』も、主人公たちと喜んだり悲しんだりしながら、ページをめくっていきました。同じように庭をめぐるおはなしでも両方とも楽しんで読むことができたのに、ずいぶんと風景がちがうとも思いました。それを自分で考えて、行ったり来たりしながらまとめることができました。

【作品】
二つの庭

野上日菜子

「真夜中の庭」のトムにとっての庭は弟と一緒に夏休みを過ごせない悔しさをまぎらわせてくれるものであった。ところがその庭は子供の頃に両親を早くに失くした家主のバーソロミュー夫人のこ独をいやしてくれる場所であった。二人をつなぐ庭は二人が毎晩見る夢の中にある。片やメアリーが発見する「秘密の花園」の庭は実際に存在する。十年以上も閉ざされていた庭を子供たちがよみがえらせるのである。この二つの物語に共通するのは子供の純真な気持ちである。彼らは友情や家族愛を求めている。一直線に心のおもむくままに自分の楽しみに向かって進んでいく態度である。彼らは毎日退屈で絶望していたが、庭のおかげで、生きていく希望が見え始める。
 しかし主人公たちを取り巻く世界は正反対である。「真夜中の庭」では、それはトムとハティ(バーソロミュー夫人)の二人で完結している、丸く内側に閉ざされた世界である。庭には子どものハティが引き取られたメルバン家の人々や園丁、女中などもいるが、ハティ以外はトムの存在に気づかない。「秘密の花園」は逆に庭が伯父さんや周囲の使用人たちにも明るい影響を与える、大きく外に開かれている世界である。トムは両親の言いつけを聞く、素直な子であった。だから一人で叔母さん夫婦の家に泊まることを承諾したのだ。この素直さが彼を完成されたすばらしい庭へと導く。それに比べると、メアリーも従兄のコリンも、両親に愛された記憶がないため、回りの大人に反抗することが好きな存在である。よって、彼らが自分たちで努力して生き返らせようとする荒れた庭は、必然的に彼らを取り囲む大人たちを巻き込むことになる。「真夜中の庭」で流れる時間はある意味で残酷であり、登場人物が喜びや悲しみを共有しながらゆっくりと時がすぎていく「秘密の花園」とは大違いである。人は自分の意志に関係なく成長していく。いつまでも子供の時代に留まっていることはできない。夢の中の庭では、時間が不規則に変化し、トムはハティが自分の目の前で毎日だんだんと大人になっていくことに気づいているが、それをハティに打ち明けることができない。お話の最後でトムは夢の庭が見つからなくなり、現実の世界に押し戻される。六才のトムと年老いたハティがお互いを認め合い、抱き合う場面は、感動的であるよりも、怖い感じがする。
 アリスがうさぎの穴に落ちて、ネズミが通れるほどの小さな扉からのぞいた庭は、見たこともない美しい庭だった。だから私の庭も、三月うさぎや帽子屋といっしょにお茶をのんだり、ハートの女王とおにごっこをしたりする庭でありたい。そしてだれも私のことを起こさないでほしい。 以上 

______________________________

◎最優秀賞
SAYUMIさん(小6)
読んだ本――『カレジの決断』 アイビーン・ワイマン作 瓜生知寿子訳 偕成社
カレジの決断
カレジの決断

【受賞のことば】
『カレジの決断』は、古いしきたりにしばられていた一人の女の子が新たな道を歩むために自立していくお話です。私は、あと半年で中学一年生になります。だから自立をテーマに書かれたこの本の主人公のカレジと、自分を重ねる事でわいてくる様々な思いを言葉にできたらと思ってこの作文を書きました。

【作品】
女の子の勇気

SAYUMI

 二〇一四年。パキスタンのマララ・ユスフザイさんはノーベル平和賞を受賞されました。その演説に世界中が共感し、教育の大切さを改めて世界中が学び、教育を受けたくても受けられない女の子達の存在を知ったと思います。へんけんに屈せず自分の意見をつき通すのは自分の身にも危険が迫る事につながるのに全ての女の子に教育をと訴え、行動を起こしています。大事なのはただ心の奥底で願うだけではなく、行動に移す事だと考え、彼女は勇気を出して立ち上がったのです。
 この本にもそんなマララさんのように自分の心に秘めていた望みを行動に移した勇気ある少女がいます。名前はカレジ。しきたりの厳しいアーミッシュに生まれたカレジは豊かな自然に囲まれあたたかい農家の家族の元で育ちました。勉強することが好きで今通っている中学校を卒業した後も高校で学びたいという願いを密かにいだいています。物語はカレジの悩みから始まります。同い歳の友達はもう結婚して子供も生まれている。でも私は結婚のための花よめ修行をするよりも高校でもっと学びたいとカレジは思っていました。そこで父母に高校に進むことを相談し、高校に進む事はしきたりに反すると怒る父を説得し一年間のみという条件つきで高校進学を許されます。高校では仲良くなった友達もでき農場の外には別の世界があることを知ったカレジに一通の手紙が届きます。送り主はいとこのジェシカでアーミッシュ教を離脱し都会で暮らしているカレジの伯父の娘でした。ジェシカと文通し、見た事のない都会の暮らしぶりを聞きアーミッシュのしきたりに疑問をもつようになります。
 そんな中、カレジの弟ジェイソンが亡くなりました。持病が急に悪化したのです。苦しむジェイソンに何とかしてあげたいと思ったカレジですが、家族の父親は祈るだけで何もせずジェイソンは一向によくなりませんでした。悩んだ末にカレジは家族に秘密で二人だけで都会の病院にいき手術したのですが、もう間に合いませんでした。
 この件でアーミッシュの人々とはもう生きていけないと感じたカレジは伯父さんのすすめで一人で都会に行くことを決意し家族の誰も見送りに来てくれなくても強い心でむかえの車にむかって歩いていくのでした。
 この物語にはたくさんの人物が登場します。それぞれ個性があり読んでいて好きな登場人物もたくさんいましたが特にお気に入りの人はカレジの弟ジェイソンです。生まれた時からせきついが丈夫でなく一人では何もできなかったのにカレジと納屋で遊んだり、時にはお手伝いもしたりと、更に自分の可能性を広げようとします。体に障害をもって生まれたジェイソンはただそれをなげくのではなく、そんな自分にもできることを見つけようとカレジと共に挑戦し続けます。最後は亡くなってしまいましたが挑戦したことは何もできなかったジェイソンの自信にもなったことと思います。
 頑張るジェイソンに挑戦する勇気をもらったカレジは、とうとう生まれ育った故郷を離れ都会で暮らすことを決意します。家族は怒ってだれも見送りに来てはくれなかったけれど自分で決意した事は悔やまずむかえに来たジェシカと伯父さんの車にむかって歩いていくシーンが印象に残りました。
 この本をかいたアイビーン・ワイマンさんは実在するアーミッシュの人々を取材した時に家族と地域社会のきずなを大切にし、質素な暮らしの中に幸せを見い出すことに感銘を受けたためアーミッシュに関する本をかこうと決めたそうです。部屋のかべには何一つはらず、身にまとうものにもかざりをつけない暮らしは私はできるだけしたくないけれど不必要なものは持たず知恵を働かせる事で心豊かにのびのびと生きるのは本来の人間の姿だと思います。でも最近ではカレジのように都会に出てしまう若い人も多いそうです。そんな現状をふまえきっと作者は文明が進んだ暮らしもいいけれど古来の人間の暮らしにもそれなりに良さがあり、なくしてはいけない、でも自分で考えてとった行動なら負い目を感じることはないし、自立することも悪いことではないという、相反する二つの想いをこの本に込めたのだと思います。カレジのような若者への励ましになるはずです。
 私もカレジのようにいつか自立するときが来るけれど、その時は今までお世話してくれた人達に見守られている中で自立をむかえたいです。そして外の世界を知るだけでなく、自分が生まれ育った場所を愛し、理解を深めて、旅立ちたいです。

______________________________

◎最優秀賞
原口徠未さん(小4)
読んだ本――『アベルの島』 ウィリアム・スタイグ作 麻生九美訳 評論社
アベルの島 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
アベルの島

【受賞のことば】
 私の作品が、最優秀賞をもらえるなんて思ってもいなかったので、とてもうれしいです。
 私は、『アベルの島』を読みながらアマンダが生活する姿を想像していました。そして、楽しみながらアマンダの物語を完成させました。
 この本を作ったウィリアム・スタイグさんと、麻生九美さんに、心から感謝したいと思います。

【作品】
強い思いを持ちつづけたアベル

原口徠未

「とうとう、ドアが開く音がしました。それから、はっと息をのむ音。そして、ひめい。」
 みなさんは、この文章を読んで、どんな場面を想像しますか。まるで、ホラー映画でおばけが出てきたような場面みたいではありませんか。
 私は、この場面を読んだとき、よろこびとうれしさと、おどろきと、とにかく幸せな気持ちでいっぱいになりました。なぜなら、一年間たった一人で無人島でくらし、そこから脱出してきた主人公、アベラード・ハッサム・ディ・キリコ・フリントが、愛する奥さんと再会する感動の場面だからです。
 この本の作者のウィリアムスタイグさんのみりょくは、表現の面白さです。つらいことは楽しく、幸せなことはおそろしいことのように、おおげさに書いて楽しませてくれます。
 この物語のはじまりは、不幸の連続です。
 お金持ちで一度も働いたことのない貴族ネズミのアベルが、ピクニックの途中、嵐にまきこまれ川に落ちて流され、無人島にたどり着きます。島でアベルは、一生懸命脱出の方法を考えますが、すべて失敗します。
 しかし、アベルの生活はつらく、苦しいことだけではありません。たとえば、ときどき家族や友達のことを思い出して、木や石や土などで、すばらしいできばえの彫刻を作っていました。また、『クマの国』という長いながい物語の本を一章づつ大切に読んでいました。それに、毎日、懐中時計のネジを回して、「コチコチ」というすてきな音を聞いてうっとりしたりしていました。
 さんざんな目にあって、一人ぼっちで無人島でくらすアベルは、とてもかわいそうなはずなのに、私は物語を読んでいて、無人島のくらしをしてみたいと思ってしまいました。
 しかし、アベルもつらく悲しいときがあります。そんなときアベルは、星にはなしかけます。
「ぼく、どうしたらいいんだろう?」すると星は、「思ったようにやれば、それでいいのさ」と、答えます。その言葉は、アベルを、勇気付けてくれました。アベルは、愛する奥さんのもとに絶対帰るという強い思いを持ちつづけ、ついに脱出に成功することができたのです。
 私もアベルと同じように、強い思いを持って願いをかなえたことがあります。それは、四年生の徒競走で一位をとったことです。これまで私は一位をとったことが一度もありませんでした。いつもいつもくやしい気持ちでした。だから今年は、一位をとるためにひみつのとっくんをしました。それは、昼休み一人で、五十メートル走のラインにそって走ることです。しかし、ただ走るのではありません。手や足の動きに工夫をするのです。手は、後ろにふりすぎないこと。足は、つまさきだけで、すばやく走ることです。でも始めはなかなかうまく走れませんでした。そんなとき、もう少し工夫すればできるようになると信じて、毎日練習をつづけました。走ることはあまりとくいではなかったけれど、どうしたらはやく走れるかを考えるのが楽しくて、練習はまったくつらくはなかったです。はやくはしって一位をとれたことを想像すると、わくわくしてげんきがでてきました。一位でゴールしたとき、もう、むねが「ドキドキ」して、いままであじわったことのないぐらいうれしかったです。
 願いをかなえるためには、強い思いが必要です。強い思いがあれば努力しつづけることができます。
 私も、スタイグさんのように子どもたちに、絶対あきらめない強い思いを持つこと、夢をかなえるための工夫を楽しむ物語を書いてみたいです。その夢をかなえるために私は、本をたくさん読んで、物語を書きつづけたいです。

アマンダの奇跡
原口徠未

 アマンダは、アベルが、こう水で流されてから一週間、ベッドで泣き暮らしました。アマンダは、一週間も泣いたので、その間飲まず食わずで今にも死にそうでした。そして、アマンダはふと、我にかえりました。
 まず、お風呂に入ることにしました。そして、部屋にそうじきをかけました。その次に、歯をみがいて、顔を洗って、すてきなドレスをきました。朝食は、自分でつくった温かいコーヒーに、ホットドック、ポテトサラダを食べました。食べ終わったら、帽子をかぶり、上等なバッグを持ち、町へお散歩に、行きました。
 アマンダは、外のしんせんな空気をいっぱいすいました。すると、心が柔らかくなりました。
 家に帰ったアマンダは、昼ごはんのじゅんびをします。昼ごはんは、ふわふわのオムライスを食べました。こうしてアマンダは、アベルがいなくても、いつものように、ごはんをつくって、そうじをして、毎日さん歩に出かけることができました。
 アマンダは、毎晩アベルの夢をみました。その夢は、遊園地に行ったり、森にピクニックに出かける夢です。アマンダは、夢の中では楽しいのですが、朝起きるとさびしくなります。でも、アベルがこころの中にいてくれるので、気持ちを切り替えて、きちんと生活を送るのです。
 アマンダは、一年間、毎日、そうじなどをする他にも、本を読んでいました。アマンダの読んでる本は、本屋さんで買った『ねこの島』です。物語のないようは、一匹の野良ねこが洪水でながされ、無人島にたどりつき、一匹で生きていくという物語です。アマンダは少しづつ読み続けます。ねこが、無人島についた場面を読んだ時、アマンダは、「アベルももしかしたら無人島についたかもしれない。」と思いました。ねこがどうなるか気になりましたが、がまんしてすこしづつ読みました。ねこは、一人ぼっちで可哀想なときもありました。 アマンダは、ねこが帰ってこられると信じたい気持ちと、そんなにうまくいくはずないという気持ちがありました。読むのが辛くなって、一度読むのをやめてしまったときがありました。けれど、最後にハッピーエンドになるかもしれないという気持ちが強くなったので、また読みつづけました。
 そして、ついによみ終わりました。ねこは、無事に家族のもとに帰ってこられました。アマンダは、ハッピーエンドでうれしくなりました。それを公園で友だちにはなしました。すると、友だちは「アベルもそうなるといいね」と言ってくれました。アマンダは心から、アベルが帰ってくるといいなと思いました。
 そうしたら、その夜アベルが帰ってきたのです。アマンダは、うれしくて「わ〜!」とさけんでしまいました。信じられません。奇跡中の奇跡です。そして、アベルは一年間の無人島の話をしました。アマンダは、それと似ている『ねこの島』という本を読んでいたことを話しました。二人は目を丸くして、大変おどろきました。でも、大変うれしかったのです。
 次の日から、またいつものくらしにもどりました。なぜなら、なんでもない日が一番幸せだからです。

カブ森の虫の王さま
原口徠未

 ある夏の朝。日がのぼり始め、まだうす暗く、すずしい風がふいています。
 カブ森は、コナラの木が多く生え、カブトムシがたくさん住んでいます。豊かなカブ森の中心には、コナラの木に囲まれた、「コナラ広場」がありました。
 切りかぶの上で、カブトムシの王さまは、良い次の王が決まるだろうかの心配をしています。
「次の王は、しっかりしているだろうか。」ざわざわしている、いろいろな色のこん虫たちを見ながらそう思いました。
 次の王は、七色に色わけされたこん虫の中の、リーダーの中から決まります。
 赤のリーダーは、ホシベニカミキリです。ホシベニカミキリは、すぐにおこるので、よくちがうこん虫のリーダーとけんかをします。
 やさしいだいだい色のリーダー、テイオウゼミは、ホシベニカミキリのけんかを止めようとします。
 黄色のリーダー、ヨナクニサンは、弱虫なので、ちょっとしたことですぐ泣きます。
 緑のリーダー、コノハムシは、はずかしがりやなので、ときどきしか、姿を見せません。
 青リーダー、メネウスモルフォチョウは、羽がきれいなことをいつも自まんしています。
 アオハダトンボは、あいいろのリーダーで、メネウスモルフォチョウとちがい、きれいなあいいろの自分の体を自まんしません。しかも、しっかり者です。
 むらさきリーダー、オオセンチコガネは、あわてんぼうなので、今日来る予定なのに、昨日来てしまいました。
 みんなせいかくはちがうけれど、今日にかぎっては、きんちょうしながらも、自分の体や羽を大きく見せようとして、羽をふるえて見せたり、体をピカピカにしたりちゃんとしました。
 みんな、次のリーダーは、ぜったい自分になると信じていたので、赤リーダーのホシベニカミキリが、「次の王は、ぜったい自分だ」とはっきりと言うのを聞いたリーダーたちは、つぎつぎと言い争い、最後にはけんかになってしまいました。
 あきれたカブトムシの王さまは、けんかを止めようとしました。すると、急に辺りが静かになて、においも変ったような気がしました。不思議に思い、空を見上げると、大変なことに、雨だったのです。
 こん虫は雨がきらいなので、急いでカブトムシの王さまの、木の穴の家にかけこみました。しかし、けんかをしていたリーダーたちが、にげおくれてしまい、洪水になった雨に流されてしまいました。木の穴まで水が入ってきたので、カブトムシの王さまとたくさんの虫達も、いっしょに流されてしまいました。
 コナラ広場を越え、カブ森も越え、さらに流され、さっぱりわからなくなりました。そして、どんどん虫たちは力が無くなり、気を失ってしまいました。虫達が気づいたころには、先に目をさました、リーダーたちが力を合わせて、かん病してくれていました。ところが、みんな生きているのがきせきなぐらいで、このままではもとのところにもどれません。しかたなく、近くにあった太い木の根元に集まってねむることにしました。けれど、川の流れる音はうるさいし、寒くて、こわくて、なかなかねむれません。だから、石と石をなりあわせてきつつきをよび、軽くて丈夫そうな枝に穴を開けてもらいました。虫達はそこで、コノハムシをふとんにして、気持ちよくねむることができました。
 朝になりました。元いた場所とはちがっていました。虫達は、木の枝の穴から出て、辺りを見わたしました。「コナラの木がたくさんある…切りかぶも…」「あっ」虫達はいっせいに声をあげました。そして、喜び合いました。そうです。ここはカブ森のコナラ広場だったのです。もどってきました。カブトムシの王さまは、なぜもどってこられたのか考えてみました。答えは一つしかありません。夜にまた雨がふり、虫達が休んでいた木が流されてここまできたのです。もう、みんな、喜びやうれしさなどで、次の王さまなんかどうでもいいように思います。王さまはみんなが仲よく、協力し合えるようになったので、王をきめるのをやめることにしました。
 雨が上がった空には、にじがうれしそうにかがやいています。

(注:原口徠未さんは本の感想文のほかに、その本をもとに創作した物語をふたつ応募されました。選考委員の協議の結果、感想文だけでも最優秀賞に値するものの、物語も完成度が高く、3編あわせてひとつの作品になっていることから、今回は特別に3編まとめての受賞となりました。――読書探偵作文コンクール事務局)

______________________________

 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と5000円ぶんの図書カードをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

2015年11月17日

読書探偵作文コンクール2015 優秀賞・ニャーロウ賞 全文掲載

 優秀賞を受賞なさったまなさん、村山遼さん、盛永維さん、ニャーロウ賞を受賞なさった内山満里菜さん、壽恵村尚さんの作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2015 最終選考結果発表!
______________________________

◎優秀賞
まなさん(小3)

読んだ本――『ちいさなあなたへ』 アリスン・マギー作 ピーター・レイノルズ絵 なかがわちひろ訳 主婦の友社
ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)
ちいさなあなたへ

【作品】
「ちいさなあなたへ」を読んで

まな

 わたしが生まれた日は、冬のあたたかい日なんだって。
 わたしが生まれた時はどんなようすだったのかな。お父さんとお母さんは、わたしを見た時、何て思ったのかな。「うれしい!」かな。それとも、「つかれたー。」かな。お母さんに聞いてみたら、「すごくほっとしたよ。」「うれしい気持ちと、だんだん心ぱいになってくる気持ち。」だったって。
 わたしがたいいんした日は、雪がふっていて、わたしのほっぺにも雪がくっついたんだって。
 わたしは、昼も夜もずうっとお母さんにだっこしているあまえんぼうだったんだって。
 でも今は、一人で道もわたれるし、自てん車ものれるようになったよ。
 わたしは「あなた」みたいに、水にとびこんだり、森でまいごになるのはこわいな。
 お母さんに、「わたし泳げないよ。」と言ったら、「一人でも、いろんなことにちょうせんして、少しずつ大人になるって言うこと。」と言われたよ。
 大人になるって、あまえないで、一人で何でもやるってことかな。お母さんは、「あまえてもいいし、こまったときはたすけてもらってもいいんだよ。でも、自分のできることはどんどんやってみたら。」と言ったよ。
 わたしは、大人になってみたいけど、まだあまえていたいな。

______________________________

◎優秀賞
村山遼さん(小2)

読んだ本――『空とぶじゅうたん』 マーシャ・ブラウン作 松岡享子訳 アリス館
空とぶじゅうたん―アラビアン・ナイトの物語より
空とぶじゅうたん

【作品】
未来の色でぬられた五〇〇年前の物語

村山 遼

 ひょう紙をはじめて見た時、空の色がふつうとちがいました。ふつう空の色といえば、青と、白と、水色です。でもこの本では、ピンクや、黒や、黄色や、白が空の色としてつかわれています。僕は、この空の色を未来てきだとかんじました。なぜなら、現ざいの空には、黒や、ピンクなどのこい色は、ふくまれていないからです。だから、僕は、この空を未来てきだと思ったのです。
 未来てきなのは、ひょう紙だけでは、ありません。本をひらくと、山はピンクで、らくだは黄や、みどりや、青でぬられています。その上、地めんは、雲のようにぬられています。僕は、この絵から、自ゆうをかんじます。だから僕は、この本が好きなのです。
 お話は、アラビアン・ナイトの中の一話です。アラビアン・ナイトは、およそ五〇〇年まえから、世界につたわる物語しゅうです。僕は、五〇〇年も前に、こんなにおもしろいお話があったんだとおどろきました。
 お話をかんたんにせつ明します。ある国の三人の王子が、ぜんいんおなじ女の人をかの女にしたいと王さまにねがいでます。すると王さまは、「もっともめずらしい宝」をさがしてきた王子と女の人をけっこんさせると言いました。
 長男がもって帰ってきたのは、「空とぶまほうのじゅうたん」、次男がもち帰ってきたのは、「なんでも見えるまほうの遠めがね」、そして、三男がもち帰ったのは、「どんなびょうきでもなおす、まほうのりんご」でした。どれもすごいまほうの宝です。いったいだれが女の人とけっこんするのか、僕もさい後まで読むまではわかりませんでした。僕なら、遠めがねが一番の宝だと思います。うちゅうや、ふかい海のそこなどふだんぜったいに見られないところが見られるからです。
 このお話は、ぜんぶおもしろいです。ほかの、アラビアン・ナイトのお話も読んでみたいと思います。

______________________________

◎優秀賞
盛永維さん(小2)

読んだ本――『バレエをおどりたかった馬』 ハーラル・ストルテンベルグ作 菱木晃子訳 福音館書店 
バレエをおどりたかった馬 (世界傑作童話シリーズ)
バレエをおどりたかった馬

【作品】
馬のぶたいのじゅんび

もりなが ゆい

「バレエをおどりたかったうま」という本を見て、じ分もバレエをやっているので、本とうに馬がバレエをおどれるのかと思ってこの本を読むことにしました。
 ある日、いなかにすんでいるしゅじんこうの馬が、みちにまよったバレエだんの人たちを、えきまでおくっていってあげました。すると、おれいにバレエを見せてもらいました。そして馬は、じ分もおどれるようになりたいと思って、れっしゃにのって町へいきました。町では、バレエ学校とすむところを見つけ、すぐに友だちもできました。そして、馬はバレエ学校でいっぱいれんしゅうしたので、そつぎょうしきにさいゆうしゅうしょうをもらいました。そして、馬にすむところをかしてくれたグレーネさんたちのえんそうで、町でおどると人気ものになりました。
 わたしは、馬がおどるときに、どんなイショーと、どんなおんがくがにあうかそうぞうしました。わたしは、馬がおどるときにえんそうするきょくは、ヴィバルディーのしきの「春」がにあうと思います。そしてイショーはきいろやピンクやみずいろのさらさらでうすいきじのチュチュと、キラキラしているかざりのついたティアラがにあうと思います。わけは、馬のやさしい気もちに、にあうと思ったからです。そして、このきょくは、わたしが、かよっているバレエきょうしつのはっぴょう会で、おねえさんたちがおどっていて、とてもいんしょうにのこったからです。
 つぎにどんなおどりをおどったかかんがえてみました。きょくのはじまりは、はずむようなかんじなので、シャッセでぶたいにとうじょうします。シャッセとは、足のうらをゆかにつけたまま、すばやくうごくおどりです。
 つぎにしずかなパートは、ピルエットでおどります。ピルエットは、かた足を上げ、つま先でかいてんするおどりです。
 そしてさいごはシソンでおわります。シソンは、かた足をよこにあげて、よこにジャンプするおどりです。
 おどりがおわったら、きっとみんなおおきなはくしゅをしてくれると思います。
 わたしも、こんどのはっぴょう会では馬のようにすてきにおどりたいです。

バレエをおどりたかった馬.JPG

______________________________

◎ニャーロウ賞
内山満里菜さん(小5)

読んだ本――『リンゴの丘のベッツィー』 ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー作 多賀京子訳 徳間書店
リンゴの丘のベッツィー
リンゴの丘のベッツィー

【作品】
物語の力〜すてきな物語を読みたい〜

内山満里菜

「世界中にはたくさんの本があふれている。すてきな物語を読んでみたい。そして、みんなに届けたい。」
 私は幼いころから本が大好きでした。夜、母に本を読んでもらうのが何よりも楽しみでした。お気に入りの本は、何度も何度もおねだりして読んでもらっていたのを覚えています。そして今も、ねる前の読書の時間が私の一番くつろげる、幸せなひとときです。最近、夢中になって読んでいるのが外国の物語です。その中でもおすすめなのが、ドロシー・フィッシャーの「リンゴの丘のベッツィー」です。
 この物語は、人に頼ってばかりいた九才の女の子ベッツィーが、豊かな自然の中にあるパットニー農場で暮らしていくうちに、心と体が強くなり、生きる力を身に付けていく成長の物語です。
 どうしてこの物語がおすすめかというと、生きる力とは何かを教えてくれたからです。私は家族だと思います。
 パットニー農場の人たちは、ベッツィーのことを本当の子どものように、ほめたり、しかったり、家の仕事を任せたりして育ててくれました。
 ベッツィーが一番成長したと感じたのは、「わすれられない誕生日」の章です。何もできなかったベッツィーが、大人の力を借りずに、小さなモリーを守りながら長い道を歩いて家に帰ってくるというお話です。そして、めったに人をほめないアンおばさんが、ベッツィーの勇気ある行動を聞いてほめてくれた言葉が印象に残りました。
 家族とは、子どもが将来自分の力で生きていけるようにと願って見守ってくれているのだと知りました。私の家族も、私がやりたいということを温かく見守ってくれます。
 そして、私が今やりたいことは英語の勉強です。なぜなら、生きるために大切なことを教えてくれる物語を作ってくれた作家さんや翻訳家さんを尊敬しているからです。英語を学んで世界中の物語を読めるようになりたい。大人になったら物語の舞台となった外国の街で暮らしたい。そして、子どもたちに外国の本を届けられるように翻訳の仕事もしてみたい。
 私は本を開けば、必ずおもしろい物語があると信じています。だから世界中の人々に本をたくさん読んでほしい。それが、今の私の願いです。

『show-and-tell』を翻訳して
Show-and-Tell (Strawberry Shortcake)
Show-and-Tell (Strawberry Shortcake)
内山 満里菜

 この本は、おばあちゃんが買ってくれた、たくさんの英語の絵本の中からえらびました。
 学校で、大切なモノをみんなに紹介する宿題が出たのですが、ベルは何を持っていけばよいのか、困ってしまいます。そこで、いろいろな友達に相談にのってもらいます。そして、最後は、友達が大切なモノだと気がつきます。
 すきな場面は、ベルが、イチゴショートケーキと買い物にいくところと、スクラップブックを作るところです。
 以前、わたしも家族の写真で作ったことがあり、そのことを思い出しました。
 翻訳をする時、難しかったことは、一文にたくさんの単語があったことです。
 単語の意味をそのままつかうのではなく、小さな子に読みきかせができるようにやさしい言葉で翻訳しました。
 この本を小さな子に読み聞かせしてあげたいです。

リンゴの丘 翻訳 (2).JPG


(注:内山満里菜さんは作文にくわえて絵本の翻訳をなさいましたが、著作権の関係で公開を控えました。一部のみ写真を掲載しました。――読書探偵作文コンクール事務局)

______________________________

◎ニャーロウ賞
壽恵村尚さん(小1)

読んだ本――『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社
リンドバーグ: 空飛ぶネズミの大冒険
リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険

【作品】
トーベン・クールマンさんへ

すえむら ひさし

 トーベン・クールマンさん、ありがとう。あなたの本から、いろいろなことを学んだよ。ネズミがすきになった。ぼくはネズミを見かけても、つかまえたりしないからね。
 ねえ、トーベン・クールマンさん、ぼくも、じょうききかんしゃと、ひこうきと、はつめいと、えが大すきだよ。また、ライト兄だいと、スティーブンソンのでんきは、ねんちょうのときからよんでいる。なつやすみには「かた手でほせるハンガー」をはつめいしたんだ。えはまだじょうずにかけないけどね。
 しりたがりやで本が大すきなところは、小ネズミといっしょだ。ぼくににている小ネズミが大せいこうしてほんとうにかんどうした。しっぱいしてもぜったいあきらめないところがすごい。ネコやフクロウや人げんがじゃまをするから、なんどもしんぱいをして、どきどきしてしまった。ほんとうによくがんばった。
 せいこうのためには、ちえとぎじゅつがひつようだ。じゃまをはねのけるゆうきもだいじ。だけど、もっと大せつなのは、あきらめないきもちと、つづけるどりょくなんだ。
 ぼくのゆめは、うちゅうにてつどうをつくることなんだ。本をよんで、いよいよじしんがついてきた。小ネズミみたいに、ふかのうをかのうにしてみたい。いつか、ぎんがてつどうにしょうたいするからまっててね、トーベン・クールマンさん。
リンドバーグ1.JPG

リンドバーグ2.JPG

リンドバーグ3.JPG

____________________________

 優秀賞を受賞なさったかたには賞状と1000円ぶんの図書カードを、ニャーロウ賞を受賞なさったかたにはニャーロウからの賞状とプレゼントをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

2015年11月12日

読書探偵作文コンクール2015 応募者のみなさんが読んだ本

 コンクール応募者のみなさんが読んだ翻訳書の題名一覧を、以下に掲載します。本の画像や詳しい情報は、今後順次「読書探偵の読書ファイル」のコーナーでご紹介する予定です。

あいうえおのき
あおい目のこねこ
青空のむこう
赤い目のドラゴン
赤毛のアン
アニー
アベルの島
アルジャーノンに花束を
アンジュール ある犬の物語
ウエズレーの国
うたいましょう おどりましょう
歌うねずみウルフ
絵本版 シートン動物記 キルダー川のあらいぐま
おおきいツリー ちいさいツリー
おおきな木
大どろぼうホッツェンプロッツ
大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる
おさるのジョージ パレードにでる
おすのつぼにすんでいたおばあさん
おとうさんのちず
お話きかせてクリストフ
おひさまパン
思い出のマーニー
怪盗紳士
帰ろう、シャドラック!
風にのってきたメアリー・ポピンズ
がっこうのきらいなきょうりゅう
ガリバー旅行記
カレジの決断
がんばれヘンリーくん
奇人・変人・大天才
きみはきみらしく
くまのオットーとえほんのおうち
くまのパディントン
クリスティアーノ・ロナウド:ヒーローの夢がかなうとき
クリスマスにはやっぱりサンタ
クレヨンからのおねがい!
黒ねこのおきゃくさま
ここがわたしのおうちです
子ブタ シープピッグ
さすらいの孤児ラスムス
山賊のむすめ ローニャ
サンタさんのてがみ
サンタのおもちゃこうじょう
しあわせの子犬たち
シートン動物記 オオカミ王ロボ
ジムボタンの機関車大旅行
シャーロック・ホームズの冒険(上)
小公女
スイミー
スーホの白い馬
すえっこメリーメリー
スズの兵隊
すばらしき父さん狐
世界のまんなかの島 わたしのオラーニ
ゼラルダと人喰い鬼
空とぶじゅうたん
大力のワーニャ
旅するベッド
ちいさいおうち
ちいさなあなたへ
小さなスプーンおばさん
チョコレート・アンダーグラウンド
チョコレート工場の秘密
天からふってきたお金
点子ちゃんとアントン
動物探偵ミア ちいさな島の転校生
透明人間になった男の子のはなし
年とったばあやのお話かご
図書館ねこデューイ
としょかんライオン
飛ぶ教室
とぶ船
トム・ソーヤーの冒険
トム・ソーヤの冒険
トムは真夜中の庭で
ドリトル先生の動物園
ドリトル先生航海記
長くつ下のピッピ(続編を含む)
ナポレオンがおしえてくれたんだ!
ニコラスどこにいってたの?
白鳥のトランペット
はだかの王さま
はちうえはぼくにまかせて
はなのすきなうし
ババールのしんこんりょこう
歯みがきつくって億万長者
ハリー・ポッター シリーズ
ハリー・ポッターと賢者の石
バレエをおどりたかった馬
ハロウィーンの魔法
緋色の研究
東日本大震災
びっくりたまご
ひとあし ひとあし
ピトゥスの動物園
ひとまねこざるときいろいぼうし
秘密の花園
ひみつのマーメイド4 七色のサンゴしょう
ピンクがすきってきめないで
ファーブル昆虫記
不思議の国のアリス
ふたりはともだち
プリンセス☆マジック4 赤ずきんは正義のみかた!
ぺちゃんこスタンレー
ペニーさんと動物家族
へんなどうつぶ
ぼくって女の子?
ぼくとテスの秘密の七日間
ぼくのつくった魔法のくすり
ぼくはめいたんてい きえた犬のえ
ぼくらの学校たてこもり大作戦
まいごになったおにんぎょう
マジックツリーハウス
魔女がいっぱい
マチルダは小さな大天才
魔法使いのチョコレートケーキ
マララ
ミオよ わたしのミオ
ミリー・モリー・マンデーのおはなし
名馬キャリコ
もりのこびとたち
やかまし村の子どもたち
ラチとらいおん
ラモーナ、八歳になる
リーサの庭の花まつり
リンゴの丘のベッツィー
リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険
ロバのおうじ
ロビンソン・クルーソー
WONDER

2015年11月08日

読書探偵作文コンクール2015 最終選考会レポート&総評

 今年の最終選考会は11月2日、都内にて行われました。そのもようをお伝えいたします。

 当日は、第1次選考を通過したみなさんが読んだ本を用意し、時に本を参照しながら、最終選考委員全員で1作品ずつ検討していきました。例年より多い16作品が最終選考にのこりましたが、やはりすばらしい作品が多く、最終選考委員の方々も頭を悩ませたようです。今年は最優秀賞3作品、優秀賞3作品に加えて、ニャーロウ賞にも2作品がえらばれ、特に評価の高かった8作品が入賞となりました。
 見事受賞された8つの作品は、これから順次、こちらのサイトで掲載させていただく予定です。

 最終選考委員3名から、16作品に対する感想やアドバイス、そして今年のコンクールの総評をいただきましたので、ご紹介します。


壽恵村尚さん(小1)
読んだ本――『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社
リンドバーグ: 空飛ぶネズミの大冒険
リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険

越前「語りかけが"だ"で終わる常体で、いきいきとしていて元気でよかったです。絵の説明がわかりやすいですね。話を読んで、すべてを自分のものにしていく過程がよくわかりました」
ないとう「熱を感じる作文で、お話に入りこんでいるのが伝わってきました。スティーブンソンなど難しい伝記を読んでいるのがすごいですね。それだけ深い興味があるからこその、心から出ている言葉に感心しました」
宮坂「1年生でこれだけの文章が書けることに感心しました。宇宙に鉄道をつくる夢がすばらしいですね。作者を銀河鉄道にしょうたいする、という終わりの言葉もよかったです」


田邉蕗帆さん(小1) 
読んだ本――『おおきな木』 シェル・シルヴァスタイン作 村上春樹訳 あすなろ書房
おおきな木
おおきな木

ないとう「お父さんとのゆるぎない信頼関係が感じられて感動しました。自分のことになぞらえながら、お話についてもよく書けていました。木に気持ちを寄せていることが伝わってきました」
宮坂「お父さんが読んだら感激して泣いてしまいそうな作文ですね。親子関係のすばらしさがひしひしと伝わってきました。お話のなかの木をお父さんにおきかえ、そこから想像をめぐらせて書いているところがよかったです」
越前「作者にあてたタイトルが中身と合っていないのが少し残念でした。木をお父さんととる解釈がおもしろいし深いですね。これから先、何度もこの本を読んでいくのではないかと感じました」


RTさん(小1)
読んだ本――『ラチとらいおん』 マレーク・ベロニカ作 とくながやすもと訳 福音館書店
ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)
ラチとらいおん

宮坂「かわいい文章ですね。おすもうさんの話など、オリジナリティが感じられました。ひこうしになれるのが「48歳」というところには、何かリアリティも感じます。『まちがおもちゃに見える』というところは、じっさいに景色が浮かぶようでした」
越前「ほんとうに伝えたいことをいっきに伝えている、力強い書き方の作文でした。一生懸命考えているのがわかります」
ないとう「ほんとうに子どもらしい作文です。「おすもうさん」「48歳」など、ぱっと浮かんできたのでしょうね。イメージの豊かさを感じます。ユーモアがあっておもしろく読めました」


徳田百菜さん(小2)
読んだ本――『やかまし村の子どもたち』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
やかまし村の子どもたち (岩波少年文庫(128))
やかまし村の子どもたち

越前「最初の段落でひきこまれました。自分の体験にひきつけてうまく書いています。楽しい学校生活を送っているのだろうと感じました」
ないとう「男の子には思いつきそうにない、女の子ならではの書き方がおもしろいですね。わたし自身、子どものときにいちばん好きだった本です。物語にあこがれる気持ちが伝わってきました」
宮坂「やかまし村の子どもたちと同じように、学校でにぎやかに過ごしているのでしょうね。遠い外国のことを身近に感じているのがいいですね」


村山遼さん(小2)
読んだ本――『空とぶじゅうたん』 マーシャ・ブラウン作 松岡享子訳 アリス館
空とぶじゅうたん―アラビアン・ナイトの物語より
空とぶじゅうたん

ないとう「絵をくわしく分析して言葉で表現していて、すばらしいと思いました。長いお話を、とても手際よくまとめていましたね。お話のなかで、とくに宝物に興味をもっていたことがよくわかりました」
宮坂「絵をよく見ているのに感心しました。絵の色から未来的ととらえているところは独創的ですし、その未来と昔のお話を結びつけたタイトルが秀逸です。お話を読んでみたくなるような紹介でした」
越前「心をひくタイトルですね。視覚表現から入る構成が抜群です。段落分けも明確で、段落ごとに言うべきことがはっきりしています。話もわかりやすくまとめられていました。言葉の使い方からも、本をたくさん読んでいるのを感じました」


盛永維さん(小2)
読んだ本――『バレエをおどりたかった馬』 ハーラル・ストルテンベルグ作 菱木晃子訳 福音館書店 
バレエをおどりたかった馬 (世界傑作童話シリーズ)
バレエをおどりたかった馬

宮坂「あらすじがしっかりまとめられていて、どんな物語なのかよくわかりました。バレエの専門用語について、わかりやすく説明されていたのもすばらしいです。馬の衣装や曲、踊りを、自分で想像しているのがいいですね。本を心から楽しんだことが伝わってきました」
越前「最初の段落でひきつけられますね。自分の知識に結びつけ、読み手にわかりやすく伝えています。視覚と聴覚をうまく表していてイメージしやすく、とても上手な作文です。最後の絵もかわいかったです」
ないとう「お話の大事なところをうまくとりあげて、あらすじを上手にまとめていました。自分の想像を細かく書いているだけでなく、その理由まで説明していて、まとまりのあるきちんとした文章に感心しました。「衣装」だけ、なぜか「イショー」とカタカナだったのがちょっとふしぎでした。「チュチュ」などと同じ外来語のように見えます。ひょっとして外来語だと思っていた?」


Y.Wさん(小2) 
読んだ本――『ラチとらいおん』 マレーク・ベロニカ作 とくながやすもと訳 福音館書店
ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)
ラチとらいおん

越前「ラチを自分にひきつけているのがおもしろく、新鮮でした。よい助言で終わっているのがかわいらしかったですね」
ないとう「ビルがつみきみたい、というような比喩が使われていましたね。飛行機に乗るのが好きなんだなと感じました」
宮坂「自分も飛行士になりたいからか、ラチにも飛行士の夢をかなえてほしいという思いが強く伝わってくる作文でした。自分なりに考えた、頼もしいアドバイスもいいですね」


チョコマカロンさん(小3)
読んだ本――『プリンセス☆マジックルビー4 赤ずきんは正義のみかた!』 ジェニー・オールドフィールド作 田中亜希子訳 ポプラ社
プリンセス☆マジック ルビー(4) 赤ずきんは正義のみかた!
プリンセス☆マジック ルビー(4) 赤ずきんは正義のみかた!

ないとう「女の子らしいものがいっぱいで、あこがれや夢があることが伝わってきました。こまごまとしたところをよく考えていて、本を楽しんだことがよくわかります。髪の長い女の人がだれだかわからないままだったので、つづきが読みたくなりました」
宮坂「この本がとにかく好きで、自分でも似たようなお話をつくりたくなって、楽しんで書いたのでしょうね。ドキドキするような展開やいきいきした会話など、本の雰囲気がよく出ていました。もっとつづきを書いてほしいです」
越前「創作だということは、ひとこと書いてほしかったですね。読んでいて情景を思い描けるような書き方で、とても上手です。セリフと地の文のバランス、文体など、もとの本から読みとって学んでいるのがわかります」


まなさん(小3)
読んだ本――『ちいさなあなたへ』 アリスン・マギー作 ピーター・レイノルズ絵 なかがわちひろ訳 主婦の友社
ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)
ちいさなあなたへ

宮坂「本を読んだことをきっかけに、お母さんとやりとりをして親子の貴重な時間を築いているのがすばらしいですね。お母さんの言葉に深い愛情が感じられました」
越前「読者に問いかけてたたみかける書き方など、作文としてのおもしろさはずばぬけています。家族の愛情が伝わってきます。ただ、もとの本がどういうお話なのか、わかりにくいところもありました」
ないとう「親子のやりとりがこまやかで、関係のすばらしさを感じました。1冊の本を読んで、ここまで対話をできるのがすばらしいですね」


塩谷仁さん(小4)
読んだ本――『長くつ下のピッピ』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014))
長くつ下のピッピ

越前「難しい言葉を使いこなし、構成もしっかりしていて、読んでいて安心感がありました。ピッピの性格を語っているうちに、物語の全体像が伝わってくる。もとの本が読みたくなる、うまい作文です」
ないとう「とてもしっかり書かれている作文ですね。ピッピに大人っぽいアドバイスをする一方で、ピッピがものわかりのよい性格なら、お話はこんなにおもしろくなかっただろうとも書いてあり、ゆれる気持ちが感じられました」
宮坂「『ピッピの性格探検』というタイトルがまずおもしろいです。じっさい、論旨が明確な性格分析になっています。作者や本の位置づけを最初にびしっと紹介しているのもいいですね。最後の1文に、ピッピへの愛情も感じました」


原口徠未さん(小4)
読んだ本――『アベルの島』 ウィリアム・スタイグ作 麻生九美訳 評論社
アベルの島 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
アベルの島

ないとう「これだけ書く筆力はすごい! 2つの物語のうち、「アマンダの奇跡」は奥さんの視点ですが、発想がすばらしいです。アマンダが生活を立て直す過程も、最後の1文も、小学生とは思えない。これは短編小説ですね」
宮坂「感想文の出だしから、読み手を引き込みます。作者の文体の分析までしていて、物語の紹介も上手。楽しんで読んだことが伝わってきます。徒競走の話はもう少し短くてもよいかな。強い思いと努力が大事という言葉には、はっとさせられました。これからもどんどん書いていける人だと思います」
越前「もとの本も読みたくなる、すばらしい感想文です。2つのオマージュは視点が異なり、1つはもとの本と対になる物語で、もう1つはもとの本のごく一部をヒントにして、まったく別の豊かな世界を作りあげている。こういうことは、なかなかできるものではありません。すでに自分の世界観をしっかり持っていますね」


内山満里菜さん(小5)
読んだ本――『リンゴの丘のベッツィー』 ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー作 多賀京子訳 徳間書店
リンゴの丘のベッツィー
リンゴの丘のベッツィー

宮坂「このコンクールが理想とするような読者で、翻訳者としてはうれしいかぎり! 作文は構成がしっかりしていて、出だしも工夫され、ストーリーのまとめもよく書けています。本人の望みどおり、英語の勉強もがんばって、外国暮らしもして、翻訳家になってほしいです」
越前「翻訳を仕事としている者として、うれしくたまらない作文でした。ストレートな思いがぐんぐん伝わってきます。もう少し本自体の具体的なおもしろさが伝わってくるとよかったかな」
ないとう「なによりも、『本を開けば、必ずおもしろい物語がある』と信じている気持ちがうれしいです。本を愛する気持ちを表明する力強い作文で、これは書かずにはいられなかったものだと思いました。いいものを読ませてもらいました」


臼杵裕晟さん(小6)
読んだ本――『奇人・変人・大天才』 マイク・ゴールドスミス作 小川みなみ訳 偕成社
奇人・変人・大天才 紀元前から19世紀: アルストテレス、ガリレオ、ニュートン、ファラデー、その一生と研究
奇人・変人・大天才 紀元前から19世紀

越前「骨太で力強い、読書好きな男の子らしい文章。『〈なぜ?〉ってすばらしい』というタイトルのつけ方もいいですね」
ないとう「それぞれの科学者の業績を上手に紹介していて、理解して読んでいることが伝わってきます。小さなことを見すごさない人になりたいという感想もまとまっています」
宮坂「本を読んで感動したことが素直に伝わってきました。ガリレオのように、小さな疑問を大きな発見につなげる人になってほしいです。本には大天才たちの人間くさい面も出てくるので、それも紹介すると、本の魅力がさらに伝わると思いました」


喜納天志さん(小6)
読んだ本――『帰ろう、シャドラック!』 ジョイ・カウリー作 大作道子訳 文研出版
帰ろう、シャドラック! (文研じゅべにーる)
帰ろう、シャドラック!

ないとう「本を読んで深く考えたことが伝わってきます。ただ、論理が少し整理されていなくて、まよっているところが感じられました。あと、あらすじの紹介にやや不正確なところがあったかな。たとえば『〜場面から始まります』ではなく、『〜場面が出てきます』などと表現を変えれば、まちがいを避けられますよ」
宮坂「憤りや怒りが伝わってくる作文でした。人間はひどいという思いが、自分に何ができるか考えることで昇華されているのがよかったと思います」
越前「力強くストレートな文章。ものすごく勉強していますね。本を読んで、自分のものにしているのが伝わってきます。もう少し、もとの本が読みたくなる書き方をしてもよかったですね」


野上日菜子さん(小6)
読んだ本――『トムは真夜中の庭で』 フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳 岩波書店
『秘密の花園』 バーネット作 土屋京子訳 光文社
『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル作 柳瀬尚紀訳 集英社
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))
トムは真夜中の庭で

秘密の花園 (光文社古典新訳文庫)
秘密の花園

不思議の国のアリス―少年少女名作の森〈18〉
不思議の国のアリス

宮坂「大学生のミニ卒論のようです。ずばぬけた洞察力。小学生でよくここまで分析しましたね。2つの庭の共通点と相違点を説得力ある言葉で説明していて、文章のつなげ方も独創的です」
越前「これは論文ですね。客観化、抽象化ができています。あとは段落分けさえすれば。荒削りなところもあるとはいえ、将来性抜群です。最後のアリスはやや唐突ですが、『だれも起こさないでほしい』という表現は、実感としてわかる気がしました」
ないとう「このコンクールに、論文という新たなジャンルを作ってくれました。2つの庭が『内側に閉ざされた世界』と『外側に開かれている世界』であることなど、論理づけに感心しました。段落を使って論理づけをきわめていけば、すごい書き手になりそうです」


SAYUMIさん(小6)
読んだ本――『カレジの決断』 アイビーン・ワイマン作 瓜生知寿子訳 偕成社
カレジの決断
カレジの決断

越前「マララさんのわかりやすい話を導入に持ってくるのがすごい。構成も論旨も段落分けも完璧。もとの本を読みたくなるという意味でも最高。本のあとがきになりそうな文章です」
ないとう「本の紹介のしかたが上手ですね。大事なところをくみとって、あらすじに書いています。ジェイソンに心をよせて読んだことがわかります。ジェイソンがカレジの背中を押したという考察もいいですね。作者がこの本にこめた『相反する2つの想い』をくみとる咀嚼力もすばらしいです」
宮坂「あらすじが上手で、まるでひとつの物語を読んだような印象を受けました。作者が読者に何を言いたかったのかということをよく考えています。自分の思いをこめたラストの1文もすごくいいですね」

______________________________
【総評】

越前「またまた、今年もすばらしい作文をたくさん読ませてくれてありがとう。今回おしくも受賞できなかった作品のなかにも、すぐれたものが数多くありました。今年はじめてのことですが、将来この人は作家になれるのではないか、評論家になれるのではないか、翻訳家になれるのではないかと感じた人がいました。ぜひ、はば広い読書と、それをしっかり表現することをつづけて、夢を実現してください。来年もみなさんのおうぼを楽しみにしています」

ないとう「毎年、どの作品にもおおいに感銘を受けながら楽しく審査をするのですが、今年はとりわけレベルが高く、賞からもれた作品のなかにも、読みながらじーん としたものや、楽しくて笑ってしまったもの、ほーっと感心させられたものがいくつもありました。ですから、賞をとれなかったり、あるいは1次選考を通らなかったりしても、けっしてがっかりしないでください。
 最優秀賞を受賞した3作品をはじめとして、今年も、感想文、つづきのお話、絵入りの作文、評論などさまざまな形の作品が集まりました。また、わたし自身も、この審査をきっかけとして再読したり、あるいは初めて読んだりして感動した本がたくさんあります。これからもどうか、楽しい本をたくさん読んで、そのすばらしさをわたしたちに教えてください!」

宮坂「今年も読書探偵のみなさんにおもしろい本をたくさん教えていただきました。教え方はそれぞれで、絵をつけてくれた方もいましたし、読んだ本をもとに新たなお話を考えてくれた方、複数の本を比べて、同じところや違うところをまとめてくれた方もいました。どんな形でも、本を楽しみ、そこから何かを得たことが伝わってくる作文は、読む私たちにも喜びや学びを与えてくれます。おうぼしてくれたみなさん、本当にありがとう。来年はどんな作品が集まるか、今からとても楽しみです」

______________________________

 今年もバラエティに富んだすばらしい作品をお寄せくださったみなさん、ありがとうございました。
 読書探偵作文コンクール事務局では、来年もまたコンクールを開催する予定です。5年生以下のみなさんには、来年も応募していただけるとうれしいです。
 こちらのサイトでは、今後、今年のコンクールで読まれた本や、ニャーロウとなかまたちのおすすめ本などもご紹介していきますので、これから読む本をえらぶ際に、ぜひ参考にしてください。