2017年11月24日

読書探偵作文コンクール2017 最優秀賞 全文掲載

 最優秀賞を受賞なさった大河内悠多さん、盛永維さん、森小久良さんの受賞のことばと作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2017 最終選考結果発表!

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎最優秀賞
大河内 悠多さん(小5)

読んだ本――『はるかな国の兄弟』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
はるかな国の兄弟
はるかな国の兄弟

【受賞のことば】
 ぼくはこの本を最初に読んだとき普通の冒険ものだと思いました。しかし、2回目に読んでみるとただの冒険物語ではなく、暗く不思議な気分に満ちていることに気がつきました。ぼくはそれが気になったので、どうしてこのような本ができたのか理由を考え続け、それを読書感想文に書きました。それが最優秀賞に選ばれたことを知り、大変うれしいです。

【作品】
「生きるということ〜はるかな国の兄弟〜」

大河内 悠多
 
 この本には驚いた。なぜなら、主人公たちはこの世で不幸のまま死に、死んだ先の世界ナンギャラでも不幸になって死んでしまうからだ。
 あらすじは、次の通りだ。主人公のカール・レヨンイェッタは病気で足が悪く、毎日寝ていた。そして、自分は足が曲がっているので美しくないと思っていた。兄のヨナタンは心が強く、またお話の王子様のように美しく輝いていた。ヨナタンは弟のカールがもうじき死ぬのを知っていた。彼は、死ぬのをとてもこわがっているカールに死んでもナンギャラという楽しい冒険の世界があることを教え、安心させた。ところが、ヨナタンは家が火事になったときカールを救い出して死んだ。その後、カールも死んだ。カールがナンギャラに来てみると、兄は先に着いていた。ナンギャラでのカールは、生き生きしていて足も曲がっておらず病気も治っていた。ヨナタンもさらに美しくなっていた。しかし、平和なはずのナンギャラは半分が悪に支配されていた。そこで、苦しんでいる人々を助けるため、二人は戦った。そして、はげしい戦いのすえ、敵を敗った。その後、平和がくると思われたのに、ヨナタンは龍のカトラが出す「死の炎」にあたって死ぬことが分かった。カールが悲しんでいるのを見たヨナタンは死んだらナンギリマという楽しい世界に行けることを教えてくれた。カールは、ヨナタンをおぶって近くにあったがけから飛び降りた。カールには、ナンギリマの朝の光が見えた。物語はここで終わっている。
 ぼくはまだ死んだことがない。死ぬということは、よく分からない。しかし、死ぬ方法だけはそうぞうできる。例えば、高い所から飛び降りたり、電車に飛び込んだりする人のニュースを見ている。しかし、ぼくはそのどれもこわいのでやりたくない。それではなぜ二人は死ぬことを選んだのだろうか。それは、二人とも死にさえすれば不幸な今から逃れて幸せになれると思い込んでいたからだろう。死後の世界に行けば、悩みも苦しみも争いもないので平和に暮らせると思っていたのだ。二人が最初の世界でナンギャラに行くことを夢見ていたのも同じだ。カールがあまりにもみじめで不幸だったから、死んでナンギャラに行きさえすればすべてが解決すると思い込んだのだ。しかし、そのナンギャラだって、半分は悪が支配する世界であり、平和ではなかった。冒険は確かにできたが、冒険というよりもいつ殺されるか分からない苦しい戦いの連続だった。二人はナンギリマを目指して自殺したが、ナンギリマが完全に幸福になれる場所かどうかは分からない。ぼくの予想では、ナンギリマにもきっと何か不幸の元になることがあって、二人は幸福になるためにまた戦わなければならないと思う。結局今の不幸から逃げようとして死んだところで、死後の世界に幸福が約束されているわけではないのだ。それどころか、今の世界よりずっと不幸になることだって十分に考えられるだろう。
 もしもそうであるならば、死ぬことによって今の世界から逃げてはいけないのではないだろうか。幸福になるためには今のこの世界でだって戦わなければならないのだから同じだ。それに、親からもらった体を自殺することによってむざんな姿にしたくはないし、自殺することはこわくてたまらない。だから、ぼくはどんなことがあってもこの世で生きることが大切だと思う。
 この本を書いたリンドグレーンは子供が好きで、子供を楽しませる本をたくさん書いたという。それなのに、このように子供が事故や病気で死に、さらに自殺までする話を書くのは最初はおかしいと思った。しかし、この話を読み返してみて、ぼくは考えを改めた。きっとリンドグレーンは、この世が辛いとか自分が不幸だと感じても決して死んではいけないと言いたかったのではないだろうか。ぼくはこれを冒険の物語だと思って読んでいたが、決してそれだけの本ではなかった。生きるということを深く考えさせられた。

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◎最優秀賞
盛永 維さん(小4)

読んだ本――『若草物語』ルイザ・メイ・オルコット作 中山知子訳 講談社
若草物語
若草物語

【受賞のことば】
 私は、「若草物語」の四姉妹の個性や百五十年前の話だということに、目をつけたことが評価され、最優秀賞に選ばれたことがとてもうれしいです。「外国の本っておもしろい!」の中に去年の作品をのせてもらいました。そして、他の人の作品にしげきを受けたこともあり、今回の結果が残せたと思います。本当にありがとうございました。これからも、外国のいろいろな種類の本を読みたいです。

【作品】
「いつまでも変わらない好きなもの」

盛永 維

 この本は、約百五十年前に書かれた本です。そして、実際に存在した作者の四姉妹がモデルになっているお話です。私がこの本を読んで、一番印象に残ったのは、四姉妹一人一人の個性です。とても仲の良い四姉妹でも、一人ずつ好きなものは違います。長女のメグは、おしゃれ好きで自分の服やメイクをとても、気にしています。次女のジョーは、本が好きで作家になるのがゆめです。三女のベスは、ピアノが好きで、音楽にとてもきょう味があります。末っ子のエミーは、絵を描くのがとても好きです。こんな個性を持った人は、私の周りにもたくさんいます。今の時代のものは、四姉妹の時代のものとは、まるで違います。だから私は、四姉妹に今の時代のものや、四姉妹と似た個性を持った人に、会ったらどう思うか考えてみました。
 まず、長女のメグです。メグは、おしゃれが好きなので、今のメイクを見せてあげたいと思いました。今のメイクには、キラキラしていたり、ハロウィンのかそうで使うような、少し変わったメイクがあります。きっとメグが見たら、すぐにえいきょうされて、やってみたいと言い出すと思います。でも、やさしい顔をしたメグには、似合わないので家族に止められると思います。それから、メグに会わせたい人は、女優の土屋太鳳さんです。なぜなら、ファッションにくわしそうで、年もメグより少し上だからです。メグは、きっと今のファッションを取り入れて、もっとおしゃれにきょう味を持つと思います。
 次に、次女のジョーです。ジョーは本や物語が好きなので、映画を見せてあげたいです。私が見せてあげたい映画は、ジブリの「借り暮らしのアリエッティー」です。これを見たジョーは、スクリーンの後ろで人がおしばいをしていると、勘違いすると思います。そして、家にあるもので実際に映画を作ろうとするかもしれません。例えば、カーテンに光を当てて、人形に自分の作った物語をえんじさせると思います。そして、家に帰ったら床の下をのぞいて小人を探すと思います。なぜなら、ジョーは映画で見た小人を本物だと思って、自分の家にも住んでいると想像すると思ったからです。
 そして、三女のベスです。ベスには、今のいろいろな種類のピアノやCDを見せてあげたいです。ベスが使ったことがあるのは、グランドピアノだけだけれど、今はキーボードや折りたたみ式など、いろいろな種類があります。ベスがキーボードをひいたら、音がグランドピアノと違って、クラシック音楽には合わないと言うかもしれません。折りたたみ式のピアノを知ったら、ベスはどこへ行く時もピアノを持っていくと思いました。次に、CDです。ベスがCDを聞いたら、生演奏とあまり変わりがないことに、感げきすると思います。そして、CDの種類や四姉妹の時代と今の時代の音楽の違いに、おどろくと思います。もしかしたら、ベスがCDでロック音楽を聞いたら、CDがこしょうしたと思うかもしれません。
 最後に、末っ子のエミーです。エミーには、絵を描く道具の種類を見せてあげたいです。四姉妹がいた時代は、絵の具しかなかったけれど、今はクレヨンや色つきのボールペンなど、いろいろな種類があります。エミーがそれを見たら一つの絵にたくさんの道具を使って、描くと思います。そして、本物そっくりになると思いました。それから、エミーに会わせたい人は、クリスチャン・ラッセンさんです。ラッセンさんは海の絵を多く描きます。まだ、エアブラシを使って描くので、写真のような絵になります。エミーが見たら、写真も知らないので実際に海を見ていると、勘違いすると思います。そして、ラッセンさんにエアブラシの使い方を教えてもらって、エミーは四姉妹の絵を描くと思いました。
 そして最後に、四姉妹が今の時代に来ても、それぞれが好きなものに対してのとらえ方はきっと変わらないだろうと思いました。なぜなら四姉妹はそれまでも、好きなものいいところをたくさん見つけてきました。だから、今の時代に来て、好きなものが新しく変化していてもそれにきょう味を持って、もっと好きになっていっただろうと思うからです。いつの時代にいても、好きなものだけではなく、家族や友達を大切にする四姉妹だからこそ、百五十年前の物語でも古く感じないのだと思いました。

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◎最優秀賞
森 小久良さん(小3)

読んだ本――『ぬけちゃった』 スティーブ・アントニー作 せなあいこ訳 評論社
ぬけちゃった
ぬけちゃった

【受賞のことば】
「やった〜! さいゆうしゅうしょうをもらったよ!」
 前回は一次せん考までだったので、今回は大よろこびしました。
 本のことを考えながら書くことは、とても楽しかったです。
 この絵本の中には、冬の場面がなかったので、冬に遊んでいるビビちゃんを考えながらかきました。
 これからも、面白い本を探して読んでいきたいです。

【作品】
「ぬけちゃった」から「ぬいちゃった♪」

森 小久良

 この本を見つけた時、ビビちゃんがとてもかわいくて目がくぎづけになりました。ぬけたコードを持ってにこにこわらっているロボットがビビちゃんです。
 ビビちゃんはパソコンにつながるのが大好きで、パソコンで一日中あそんでいます。そのページを見ているとビビちゃんは楽しそうなんだけど、なんか楽しくなさそうに感じていました。すると真っ黒いページが出てきてビビちゃんのコードがぬけてしまいました。(ビビちゃん!だいじょうぶ!)と、ドキドキしながら読みました。ビビちゃんは、お外にとび出してしまいました。
 のはらは緑で川は水色です。ページは色でいっぱいになりました。
「あたし、おそとに いる!」
ビビちゃんはびっくりしていました。それまで色のない絵本だと思っていたのに、急にきれいな絵本になってわたしもびっくりしました。
 ビビちゃんは、子じかとうさぎとアヒルとお友だちになって、一日中お外でいろんな遊びをしました。ビビちゃんたちはすごく楽しそうで(わたしもこの中に入っていっしょに遊べたらいいのにな。)と、思いました。森の中でかくれんぼしたり、たんけんしたりするビビちゃんたちを見ていると、わくわくして外に遊びに行きたくなりました。
 おうちに帰ったビビちゃんは、パソコンにつながったのにお外の事ばかり考えています。そして、ビビちゃんはコードを「ぬいちゃった。」お外に出て行きました。

 この本は色が面白いと思います。ビビちゃんの気持ちを表している感じがします。お外から家に帰る時、ウサギさんにもらったお花だけが家の中に入っても色があって、前とはちがうビビちゃんになったんだと思いました。
 パソコンの事しか知らなかったビビちゃんは、ぐうぜんお外に行ってお外の事を知り新しい遊びができました。でも、ぐうぜんに新しい事を知るのはむずかしいと思います。さい後にビビちゃんが自分でお外に行ったように、わたしも、自分から色いろな所へ行って新しい遊びをしてみたいです。もし、ビビちゃんに会うことができたら、いっしょに遊んで、少しだけパソコンの事も教えてもらえたらいいなと思います。

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 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と5000円ぶんの図書カードをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!