2013年11月01日

読書探偵作文コンクール2013 最終選考結果発表!

 お待たせしました! 読書探偵作文コンクール2013の最終選考結果を発表いたします。

 今年は過去最多、123作の応募がありました。10月初旬に行われた第1次選考で13作品が選ばれ、去る10月23日、最終選考会がおこなわれました。選考委員は翻訳家の越前敏弥さん、ないとうふみこさん、宮坂宏美さん。2時間半にわたる議論の末、以下の作品が入選となりました。おめでとうごさいます!

最優秀賞 亀井可南さん(小3)「作文っぽい文」
最優秀賞 西巻慧さん(小3)「『ファーブルこん虫記 かまきりとあわふきむしのお話』を読んで」
最優秀賞 武野谷龍史さん(小4)「ぼくのチョコレート工場」


優秀賞 小椋勝也さん(小3)「あかちゃん社長がやってきたを読んで」
優秀賞 白川紬さん(小4)「ハニービーさんと歌いたい」
優秀賞 小平采果さん(小5)「宇宙の秘密と私」


ニャーロウ賞 小平采果さん(小5)「宇宙の秘密と私」

 最優秀賞のかたには賞状と5000円ぶんの図書カード、優秀賞のかたには賞状と1000円ぶんの図書カードを、後日お送りいたします。
 また今年から、読書探偵ニャーロウがいちばん気に入った作文におくられる、「ニャーロウ賞」が設けられました。受賞者の小平さんには、ニャーロウからの賞状とプレゼントをお送りします。

 残念ながら選にもれたみなさんにも、後日、参加賞と第1次選考委員からの個別コメントをお送りします。
 読んだ本のおもしろさを熱意あふれる文章で伝えてくれた作文、物語のつづきを考えた作文、登場人物への手紙形式の作文、シリーズを全巻読んで書いてくれた作文、本と劇を比較した作文や、絵をつけてくれた作文もありました。本を読んで感じたこと、考えたことを、いろいろな形で表現してくれた、バラエティあふれる作品の数々に、選考委員一同、感心し、そしてうれしくなりました。本を読んで抱いたさまざまな思いを、作文というかたちにして伝えてくれて、本当にありがとう。

 さてここで、今年の最終選考会のもようをお伝えします。
 まずは第1次選考を通過した13作品について、低学年から順に1作品ずつ、選考委員全員で検討していきました。そして話し合いの結果、6作品を入選としました。
 この6作品から最優秀賞、優秀賞を選ぶのは、とても大変でした。どれもタイプのちがう作品でそれぞれのよさがあるために、甲乙つけがたく、選考委員のあいだでも意見がわれました。
 最終的に上記のような結果になりましたが、どれもすばらしい作品だったことは間違いありません。6作品についてはこれから順次、このサイトで全文を掲載させていただく予定です。

 最終選考にのこった13作品それぞれについて、選考委員3名からの感想やアドバイスを紹介します。

こうちゃんさん(小1)
読んだ本――『しりっぽおばけ』 ジョアンナ・ガルドン再話 ポール・ガルドン絵 代田昇訳 ほるぷ出版
しりっぽおばけ
しりっぽおばけ

ないとう「しっぽの毛とトウモロコシの毛をむすびつける発想がおもしろくて、爆笑してしまいました。本の内容がもうすこしくわしく書いてあると、さらによくなりますね」
宮坂「わたしもこの絵本を読んだときに、毛のことが気になったので、そうそう!と共感しました。どんなおばけなのか、おじいさんはどうなったのかなど、話についてよく考えていますね。絵もしっかり見ていて、観察眼があります」
越前「おもしろいところ、こわいところがはっきり書かれていて、楽しい作文です。この本を読んでみたくなりました」


藤崎隼也さん(小1)
読んだ本――『ちきゅうのためにできる10のこと』 メラニー・ウォルシュ作 山本和子訳 チャイルド本社
ちきゅうのためにできる10のこと
ちきゅうのためにできる10のこと

宮坂「本の内容からはじまって、自分が地球のためにしていることの説明、していないことに対する反省まで、よくまとまっています。本の作りに注目しているところもいいですね」
越前「本を読んで、その内容を自分のものとして吸収していくという、読書の理想が実現されています。本の魅力を伝えるという意味で、力のある作文ですね」
ないとう「本と自分との間にキャッチボールがあります。本の内容を自分の生活にむすびつけているところがよかったです」


小椋勝也さん(小3)
読んだ本――『あかちゃん社長がやってきた』 マーラ・フレイジー作 もとしたいづみ訳 講談社
あかちゃん社長がやってきた
あかちゃん社長がやってきた

越前「おもしろい作文の書き方がわかっていますね。導入部分から読者をひきつけます。本の話と妹の話をうまく連動させていて、読ませます。もとの本がどんな本なのか、イメージが一番よく伝わってくる作文でした」
ないとう「具体的なエピソードも交えていて、あかちゃんと実際に接している人ならではの実感がよく伝わってきます。家族の愛情が感じられて、ほろりとしました」
宮坂「作文全体から、幸せな家族としっかり者のお兄ちゃんの姿が感じられました。本をきっかけに、妹がどんな存在なのかを考えたことが伝わってきます。妹さんが大きくなってこの作文を読んだら、すごくうれしいんじゃないかな」


亀井可南さん(小3)
読んだ本――『っぽい』 ピーター・レイノルズ作 なかがわちひろ訳 主婦の友社
っぽい
っぽい

ないとう「大人びた、センスのある文です。絵を見ると、三つ子なのでしょうか。お母さんや姉妹とのやりとりが、とても生き生きしていますね。親子関係がすばらしいなと思いました」
宮坂「構成がすごくいい。読者をひきこむ出だし、生き生きとしたセリフ、そして本を読んだことによる自分の気持ちの変化が、いい流れで書かれていて読ませます。タイトルもひねりが効いていますね。とても心に残る作文でした。本の作者や訳者の方にも、ぜひこの作文を読んでほしいです」
越前「独特の構成ですね。自分の話から本の話へとつなぐタイミングが絶妙で、感心しました。タイトルがオチになっているセンスもすごい。絵の味わいも合わせて、見事にひとつの作品に仕上がっています。もとの本をぜひ読んでみたくなるという観点からも、最高の作文でした」


小林那津奈さん(小3)
読んだ本――『ジャコのお菓子な学校』 ラッシェル・オスファテール作 ダニエル遠藤みのり訳 文研出版
ジャコのお菓子な学校
ジャコのお菓子な学校

宮坂「あらすじがよく書けています。お菓子を作ることで勉強ができるようになる、というところを読んで、この本が読みたくなりました。物語にのめりこんだことが伝わってくる作文ですね。将来はお菓子屋さんになりたいそうですが、今後も興味のあることから読書につなげて、いろんな本にチャレンジしていってほしいです」
越前「すっきり、わかりやすく書かれています。すいすい読める文章で、本のおもしろさが伝わってきました。後半、息切れ気味なのが残念」
ないとう「おもしろそうな話だな、と思わせる作文です。最後のまとめがなくても、『やったー!』というところまでで、本のよさがじゅうぶん伝わってきましたよ」


杉浦玲奈さん(小3)
読んだ本――『エーミルと小さなイーダ』 アストリッド・リンドグレーン作 さんぺいけいこ訳 岩波書店
エーミルと小さなイーダ
エーミルと小さなイーダ

越前「発想がおもしろいです。表紙の絵やいたずらのおもしろさに注目したところがいいですね。楽しんで読んだことが伝わってきました」
ないとう「エーミルのいたずらは愉快なのだけれど、いたずらばかりでもこまるという気持ちが、とてもよく伝わってきました。おもしろいお話をとてもおもしろがって読んだことがわかります」
宮坂「もし自分が物語の登場人物だったら、などいろいろなことを考えながら読んだことがわかります。私もこの本を読んでみたらとてもおもしろかったので、いい本を教えてもらいました」


中島絢未さん(小3)
読んだ本――『しあわせの子犬たち』 メアリー・ラバット作 若林千鶴訳
文研出版
しあわせの子犬たち
しあわせの子犬たち

ないとう「本によりそって読んだことが伝わってきました。最後の1文にあるように、言葉で表現するのはむずかしいものですが、文に気持ちが表れるのが、作文のおもしろさだと思います」
宮坂「本を読んでいろいろなことを考えた、その心の揺れが感じられる作文でした。読書は考えるきっかけになりますね」
越前「粗けずりな文章ですが、本を読むことが好きで、この本が好きということが、よく伝わってきました。本と自分の体験をつなげて、よく考えていますね。段落分けなど書き方の工夫を覚えると、よりよい文が書けるようになると思います」


西巻慧さん(小3)
読んだ本――『ファーブルこんちゅう記――かまきりとあわふきむしの話』 こばやしせいのすけ文 あすなろ書房
かまきりとあわふきむしの話 (幼年版 ファーブルこんちゅう記)
かまきりとあわふきむしの話 (幼年版 ファーブルこんちゅう記)

宮坂「昆虫に対する好奇心や、発見してわくわくしたことがよく伝わってきました。『けっこんして、すぐにおよめさんに食べられてしまうのは、本当にいやだなあと思いました』の1文には笑いました。分析力があるので、研究者になれそうです」
越前「興味の対象に圧倒的にのめりこんで書いた男の子らしく力強い作文。もとの本の魅力が一番よく伝わってきました。さらに研究を発展させて、表や資料をつけるとよいですね」
ないとう「カマキリが英語で『おがみむし』とよばれることに対する考察が鋭い。見る人によって違うポーズに見えるという指摘は科学的でもあり、社会学的でもあり、感心しました。頭の中でよく整理して書いています」


遠藤颯花さん(小4)
読んだ本――『たいせつなこと』 マーガレット・ワイズ・ブラウン作 うちだややこ訳 フレーベル館
たいせつなこと
たいせつなこと

越前「読者に語りかける口調が生き生きしています。自分の思いをストレートにぶつけている強さを感じました。どんな本なのかもう少し書かれているとよかったですね」
ないとう「もとの本が一種の詩なのですが、それによりそって、のびやかに書いています。『自分の下に空があったら、ひなたぼっこもできないよ』など、発想のおもしろさも感じました」
宮坂「読書のおもしろさのひとつは、ものごとを別の視点で見られること。この本を読んで、あたりまえに思っていたことの中に発見があったことが伝わってきました。絵本の中で紹介されているものにとどまらず、もっと考える対象を広げたら、さらにおもしろかったと思います」


白川紬さん(小4)
読んだ本――『歌うねずみウルフ』 ディック・キング=スミス作 三原泉訳 偕成社
歌うねずみウルフ
歌うねずみウルフ

ないとう「作詞が入っている作文は初めてです。少しブラックな発想に驚き、おもしろく読みました。ツバメからの連想ですっと『親指姫』が出てくるなど、本をたくさん読んで楽しんでいるのがわかります」
宮坂「ノリノリ感がよかったです。リズミカルな本にリズミカルな作文で応えていますね。詩が最高! これからもいっぱい歌を作って楽しんでください」
越前「なんだろう、これ、と思わせる出だしがうまく、一気に独特なワールドにひきこまれました。登場人物たちに会いたくなります。本を読んで吸収し、新しいものを作り出している、理想的な作文ですね」


武野谷龍史さん(小4)
読んだ本――『チョコレート工場の秘密』 ロアルド・ダール作 柳瀬尚紀訳 評論社
チョコレート工場の秘密
チョコレート工場の秘密

宮坂「本に触発されて自分の工場を考えたところがおもしろい。発明の内容もよく考えられていて、自分の物語が作れそうです。『とうめいふしぎチョコレート』はわたしもほしい! 本当はチョコはあんまり好きじゃないと最後に書かれていてびっくりしちゃいましたが、それなのにチョコの絵まで描いてくれて、なんだかうれしかったです」
越前「どの発明品もよく工夫され、おいしそうで食べたくなります。もとの本のへんてこな魅力がひきつがれている楽しい作文で、文章のリズムもいい。もう少しもとの本のことを書いてもよかったですね」
ないとう「発想にひきこまれました。体言止めの使い方がとても効果的な文体。書きながら自分でどんどんおもしろくなっていった様子が伝わってきます」


小平采果さん(小5)
読んだ本――『宇宙に秘められた謎』『宇宙の誕生――ビッグバンへの旅』 ルーシー&スティーヴン・ホーキング作 さくまゆみこ訳 岩崎書店
ホーキング博士のスペース・アドベンチャー (2) 宇宙に秘められた謎
ホーキング博士のスペース・アドベンチャー (2) 宇宙に秘められた謎

ホーキング博士のスペースアドベンチャー (3) 宇宙の誕生――ビッグバンへの旅
ホーキング博士のスペースアドベンチャー (3) 宇宙の誕生――ビッグバンへの旅

越前「文章のうまさ、大人のような構成と表現と力強さ、もう別格です。1年ごとの成長が見事。昨年の結論を否定するというセンスもすごい」
ないとう「『星をまく人』にしぼって書いたほうが、まとまりは出た気がします。でも、宇宙のことをもっと知りたい、宇宙に対する自分の気持ちの変化を突き止めたいという課題を優先させたのですね。分厚い本を読み切って、書くべきだと感じた作文をしっかり書いたことに感動しました。成長過程を見せてもらえたことに感謝したいです」
宮坂「毎年受賞され、筆力が安定していることに感心しました。宇宙について知りたい気持ちに素直で、疑問を解決する姿勢もすばらしい。つぶつぶになりたくないと思ったなど、かわいい一面も出ていますね。もう少しまとまりがあると、なおよかったかな」


鈴木美紅さん(小6)
読んだ本――『ランプの精リトル・ジーニー(3)ピンクのまほう』 ミランダ・ジョーンズ作 宮坂宏美訳 ポプラ社
ランプの精 リトル・ジーニー〈3〉ピンクのまほう
ランプの精 リトル・ジーニー (3) ピンクのまほう

ないとう「昨年の作文も読みましたが、この1年間の成長ぶりはめざましいですね。言葉もぐんと豊かになっています。『まきこんだ人の数だけ、必ず笑顔にさせる』という言葉はこのシリーズを言い表しています。大ファンの作文ですね」
宮坂「訳者として素直にうれしいです。『(ジーニーは)えんぴつくらいの長さの体なのに、やることはものすごくダイナミック』というのは、まさにそのとおり! 物語をしっかり味わっていて、訳者以上にジーニーのことがわかっているな、ととても感心しました。文章も読みやすかったです」
越前「ジーニーの楽しい文体がのりうつって、自分のものになっています。まさにジーニーの伝道師。徹底して本の魅力を伝え、読みたくさせる、正攻法の完璧なレビューです」

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【総評】

越前「本を読んで、そのおもしろさを人に伝えること。そして、本を読んで、それをきっかけとして、自分自身のくらしについて考えを深めること。作文ではそのどちらも大事です。今回集まった作文は、いろいろな書き方のものがありましたが、どちらについてもすぐれた文章がたくさんありました。作文を書くことで、1さつの本から、信じられないほど多くのことが身につくものです。これからも、外国の本もふくめて、楽しみながら読書をつづけていってください」

ないとう「今年もまた、楽しくすばらしい作文とたくさん出会うことができました。読んでいてほろりとしたり、思わず吹き出してしまったり。『面白い!』と感じたことを自分のことばで、ユニークな具体例を交えてつづった作文は、とりわけ生き生きしていたように思います。昨年に続いて応募してくれた方もいました。1次通過者のなかにもおふたりいて、いっそう力強い作文を披露してくれました。こういう形で成長の一場面に立ち会えるのも選考委員としての醍醐味です。また惜しくも1次にもれた方のなかにも続けての応募が何人かいらっしゃいます。最終選考会でのコメントだけでなく、第1次選考委員のコメントが応募者ひとりひとりに届くのもこのコンクールのユニークなところ。こういう形で、作文を書く側と読む側のキャッチボールが続けていけるといいなあと思っています」

宮坂「外国の楽しい本をたくさん紹介してくれてありがとう! みなさん、すばらしい読書探偵ぶりでした。興味のあるところから入った人、親にすすめられた人、たまたまその本と出会った人、いろいろだったけれど、きっかけはなんでもOK。そこから思わぬ発見や喜びがきっと見つかると思うので、これからも外国の本に気軽にチャレンジしてください。そうそう、作文を書いたあとは、読み直してみることをおすすめします。きっと字のまちがいや文章のおかしなところに気づいて、さらにいい作文に仕上げられますよ」

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(左から、宮坂さん、ないとうさん、越前さん)
 選考委員の方々、どうもありがとうございました。

 応募してくれたみなさん、みなさんがすばらしい作文を書いてくださったおかげで、今年も充実したコンクールとなりました。これからもたくさんの本を読んで、「これはおもしろい!」「この本はぜひみんなにも読んでもらいたい!」と思う作品に出会ったら、ぜひ作文を書いてみてください。そして来年も応募していただけたら、とてもうれしいです。


 なお、今年の参加賞は、このクリアファイルです。

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