2018年01月01日

こちらは「読書探偵作文コンクール 小学生部門」の公式サイトです。

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【も く じ】
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読書探偵作文コンクール2017 優秀賞・ニャーロウ賞 全文掲載 ←NEW !
読書探偵作文コンクール2017 最優秀賞 全文掲載 ←NEW !
読書探偵作文コンクール2017 最終選考会レポート&総評 ←NEW !
読書探偵作文コンクール2017 最終選考結果発表! ←NEW !
読書探偵作文コンクール2017 第1次選考結果発表!
読書探偵作文コンクール2017 応募者のみなさんが読んだ本
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2017年12月12日

【お知らせ】参加賞を発送しました&参加賞クリアファイル

みなさま、「読書探偵作文コンクール2017」へのご応募ありがとうございました。
12月6日付で、受賞者のみなさんへの賞状と賞品、応募者全員への参加賞を発送いたしました。
第1次選考委員からのコメントも同封しています。

「読書探偵作文コンクール2017」の参加賞は、このクリアファイルです。
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ご応募くださったみなさま、すでにお手元に届きましたでしょうか。
応募したのに届かない、という方は、事務局までご一報ください。

なお、このサイトをスマートフォンでご覧の方は、もくじの「事務局からのお知らせ」内「プロフィール」欄に、事務局のメールアドレスが掲載されていますので、ご参照ください。

2017年11月24日

読書探偵作文コンクール2017 優秀賞・ニャーロウ賞 全文掲載

 優秀賞を受賞なさった田邊宏胤さん、鈴木未来さん、壽惠村尚さん、T・Yさん、ニャーロウ賞を受賞なさった谷口慶樹さんの作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2017 最終選考結果発表!

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎優秀賞
田邊 宏胤さん(小6)

読んだ本――『ミオよわたしのミオ』アストリッド・リンドグレーン作  大塚勇三訳 岩波書店
ミオよわたしのミオ
ミオよわたしのミオ

【作品】
「ミオの心の変化」

田邊 宏胤

 ぼくは、リンドグレーンの本を沢山読んでいます。リンドグレーンの本が好きな理由は、読んでいると、いつも自分がこんな事が出来たらいいなと思うことが、実現されているからです。例えば、「長くつ下のピッピ」では、ピッピが馬をもてるくらい力持ちのところや、勇気のあるところ、他にも「やねの上のカールソン」であったら、カールソンが空を飛び回れるところです。
 このように、沢山あるリンドグレーンの作品の中で、「ミオよわたしのミオ」は、少し印象が他の作品と違います。まるで夢を見ているようで、その夢がだんだんと怖くなっていくようです。特に、皆が騎士カトーのことをおそれていくことが分かってからは急に暗くおそろしくなっていきます。主人公が自分の立場を理解する前に、ストーリーがどんどん先に進んでいってしまいます。
 この物語は、父親とはなればなれになっていたミオという少年が主人公です。ある時、ビンの中に閉じこめられていた魔神を助けたミオは、その魔神にはるかな国へ連れていってもらいます。そして、その国の王さまである父親とめぐり会います。しかし、その国に住んでいた子どもたちは、みんな魔法使いの騎士カトーにさらわれていました。ミオと親友のユムユムはその騎士カトーを倒すために外の国へ旅立ちます。
 この物語で一番印象に残った事は、最初と最後でミオの性格が変化するところです。最初の頃のミオは怖がりで親友のユムユムから離れる事も出来ず、弱々しい少年でした。しかし、騎士カトーを倒しに行く直前は一人で敵と戦う事が出来るくらい、強い少年になりました。ミオの心が変化したのは、父親からの沢山の愛情と、ユムユムや白馬のミラミスなどの仲間の存在、そして、旅の途中で出会う人々や魔法で鳥の姿に変えられてしまった子どもたちの、騎士カトーを倒してほしいという願いがあったからだと思います。
 父親は、再会できた息子を信じて騎士カトーとの戦いに送り出します。ミオは、なぜ父親は自分を危ない目にあわせるのかと思い悩みますが、最後は父親が見守ってくれていると、感じることが出来ます。
 ミオは、騎士カトーに大切な剣を死の湖に捨てられ、牢屋のなかにいれられてしまい、絶望します。しかし、鳥にされた子どもたちが湖の中から剣を探し出しミオに届けに来ます。その子どもたちの気持ちに応え、騎士カトーを倒すためにやっと会えた父親と離ればなれになった苦しみに打ち勝ち、ミオの心が、闘志で炎のように燃え上がるのです。
 ぼくは、剣道をしています。試合の時、本当は絶対に勝つという強い気持ちがあるといいのですが、ぼくは、相手の強さによって緊張の度合いが違います。なるべく相手の事を考えないようにしています。無心になれれば悔いのない戦いが出来ます。けれども、もし自分がミオだったらいくらみんなが助けてくれたり、気持ちを伝えてくれても、戦う事が怖くて一歩も動けないかも知れません。いよいよ騎士カトーと戦うという時、ユムユムから離れられなかったと思います。
 ミオは、自分が今までのような怖がりではないと自覚し、それが自信になって自分なら出来ると信じることが出来ました。ミオの心の中にある強さをぼくも欲しいです。
 そして、この物語の結末は、ミオが騎士カトーを倒し、すべてが元どおりになります。幸せに満ちあふれた情景に、ぼくは、怖い夢からやっと覚めたような気持ちになり、安心しました。

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◎優秀賞
鈴木 未来さん(小4)

読んだ本――『ゆうかんな女の子ラモーナ』ベバリイ・クリアリー作  松岡享子訳 学研教育出版
ゆうかんな女の子ラモーナ
ゆうかんな女の子ラモーナ

【作品】
「ゆうかんって?」

鈴木 未来

「いつ見てもあきないね〜。」
これは、良い意味なのか悪い意味なのかは分からないけれど、毎日言われている言葉だ。場合によって言い方はちがうが、いつも私を見守っているから言えるのであり、少し言葉をかわしただけの人などは言えないのである。
 もちろん、私も友だちなどに同じことを言う時もある。世界には色々な人がいて、その人たちの「個性」があるからこそ、私は日々がおもしろく充実しているのだ。
 ラモーナは、ゆうかんで活発な女の子だ。そんな子が小学一年生の第一日目で事件をおこしてしまう。それから、色々な失敗をくりかえし、がんばって成長していく物語だ。
 この本で、一番共感した話は、学習発表会で物をつくるときに、友だちがラモーナの作品のまねをした。それでおこって、その友だちの作品をこわしたというエピソードだ。なぜこの話に共感したかというと、同じような経験をしたからだ。私も、みんなで問題の解き方を考えようと先生がおっしゃったので、友だちと話すと、よい考えがうかんだ。それをすぐ後ろで聞いていた子たちが、私たちの解き方をまねして発表した。私は、ただいかりにもえるだけだったが、その日の学校が終わっても、まだおさえられていなかった。幸い、その時はこらえていたけれど、家に帰るとばくはつしそうになった。だから、部屋につるしてあるサンドバッグに思いっきり八つ当たりした。
 今考えてみると、くるいそうになっていた私がはずかしかった。私は、気持ちがコントロールできない。一年生のころはラモーナのように、ぼう力で戦っていた。すごく後かいしている。ラモーナも高学年になったら、きっと私のような気持ちになるとおもう。私は、友だちに色々な言い方でなぐさめてもらった。ラモーナには私がなぐさめてあげよう。
「私」はラモーナとちがうところがある。それはあたりまえだけれど、手本になってアドバイスをしよう。言いたいことは山ほどあるが、それを全部まとめると、例えば自分のことを日々考えることだ。私は、さっき、ひどく後かいしたと言った。これもそのときの自分を外から見て出た答えだ。後ろの子たちに解き方をまねされたときも、何であんなにおこったのかふしぎだった。そのあと、母にそうだんしても意見がくいちがった。母は、私のことも悪い、とさとしてくれた。なぜならそんなにおこらず、聞きながすことができたら楽になることもあるからだそうだ。私はその夜、自問自答をくりかえした。母に教えられたことで心のコントロールがかんたんになってきたように思えた。
 ラモーナは心のコントロールができていないと思う。なぜなら、感じょうをおさえることができず、ぼう力でかいけつしようとしてしまうからだ。
 ゆうかんはこわくてやさしいものだと思う。ぼう力でつくられたゆうかんはこわい。でも、それをコントロールできると楽しい人生にしてくれる。そして一生「個性」をもちつづける人が一番ゆうかんなのだ。
 ラモーナは成長して、自分の個性をもっと見つけてほしいと思う。

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◎優秀賞
壽惠村 尚さん(小3)

読んだ本――『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社
アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険
アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険

【作品】
(そら)を飛んだネズミ」

壽惠村 尚

 昔、アメリカのとあるところに、自分が発明したロケットで、(そら)を飛んだネズミがいた。
 もしも、物語と同じように、ロケットエンジンカーを作っているさい中に、いきなり走り出しちゃったら、どうするだろう。ぼくだったら、とっさに手を広げて止めようとして、ひかれて死んじゃうかもしれない。そしたら、そこでお話が終わってしまったかもしれない。
 主人公のネズミが苦労したのに、結局、ロケットエンジンカーがぼう走して、火事になってしまった。ぼくは、ページをめくる前から、火事になっちゃうんじゃないかと、ドキドキしていた。火が出たあたりに、本や木がなければよかったのに!
 七十八ページで、ついに、一だん目のロケットが分離して、宇宙に飛び出した。ネズミが、がんばって作ったロケットが、ようやく宇宙に出られた、感動のしゅん間だ!
 月にとう着したところも、わすれられない一ページだ。だって、一度、火事を起こしたのに、ちゃんと月に行けたんだから!
 ぼくにとっての最高のシーンは、地球に帰ってきたところだ。いっぱいのネズミが、「おかえりなさい 月ネズミ!」と、はたを立てて、出むかえてくれたんだから。はく物館のおじいさんもいたよ!
 あきらめなければ、いいことがある。「きっとそうだ。」と、ぼくはかく信した。

 物語を読み終えたぼくは、手紙を書き始めた。
 (そら)飛ぶネズミへ。月に着りくできて、よかったね。また発明するなら、がんばってね。

 トーベン・クールマンさんへ。次回作も、楽しみにしています。飛行機、宇宙ときたので、次は、太陽系の外わく星に行くお話を、ぼくは作ってもらいたいです。あと、日本が登場するお話も、みてみたいです。
 トーベン・クールマンさんは、この本を、八ヶ月で書き上げたそうですね。ネズミを描くのが、大変だったでしょう? 気になって、何匹描いたのかを数えてみました。すると、三百匹はいましたよ!
 いつも楽しいお話を書いてくれて、どうもありがとう。トーベン・クールマンさん!
 尚より

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◎優秀賞
T・Yさん(小2)

読んだ本――『ちっちゃなサリーはみていたよ ひとりでもゆうきをだせたなら』 ジャスティン・ロバーツ作 クリスチャン・ロビンソン絵 中井はるの訳 岩崎書店
ちっちゃな サリーは みていたよ ひとりでも ゆうきを だせたなら
ちっちゃな サリーは みていたよ ひとりでも ゆうきを だせたなら

【作品】
「みんななかよくしよう」


「みんななかよくしよう!だれかがないているの、もうみたくないよ。わたしにさんせいするこはてをあげて」
 テーブルにほとんどとどいてないほど小さなサリーが、きゅうしょくの時間に、ゆうきを出していいました。私は、こんどはサリーがいじわるされるかもしれないと、心ぱいになりました。サリーの学校では、いじめられている子がたくさんいるからです。
 サリーは、小さいけれど、心は大きい女の子です。サリーは「つめたいことばは、こころをきゅんとちいさくするよ。まるでブルドーザーにふみつぶされたはなみたい」と、そうぞうしました。私は、ブルドーザーとは、まったくあいての気持ちに気づこうとしないで笑っている人たちのことだと思いました。そして、私もサリーのようにふみつぶされている友だちを助けたいと思いました。
 私も学校で、いじめられている友だちを見たことがあります。まるで、自分までいじめられているような気持ちになります。
 ある日、私は、ゆうきを出していじめっ子に聞きました。
「何でそんなことをするの。友だちの気持ち考えて」
 すると、あやまってくれる子もいました。でも、あやまってくれない子もいました。それでも、私はあきらめません。
 私にはたくさんのやさしい友だちがいます。ニコニコしているみんなのことが大好きです。きっといじめる子も、やさしい気持ちをもっていると、しんじています。私のゆめは、せかいをへいわにする絵本作家になることです。そのゆめをかなえるためにも、まずはサリーのように学校をへいわにしたいです。
 だから私は、いいつづけます。
「友だちの気持ちを考えて、みんななかよくしよう」

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◎ニャーロウ賞
谷口 慶樹さん(小2)

読んだ本――『三びきのやぎのがらがらどん』(ノルウェーの昔話) マーシャ・ブラウン絵 せたていじ訳 福音館書店
三びきのやぎのがらがらどん
三びきのやぎのがらがらどん

【作品】
「がらがらどんへ」

たにぐち けいじゅ
 
 三びきともおなじ名前なんておかしいよ。ぼくが、名前をつけてあげるよ。一ばん大きいのががらがらどんで、二ばん目がからからとん。一ばん小さいのはチビチビ。いい名まえでしょ。
 がらがらどんは、トロルよりもつよくてびっくりぎょうてんしたよ。どうやってつよくなったのかな。まだ、草をたべにいっていないのに。だから、草をたべてかえるときには、もっともっとつよくなっているんだよね。
 ぼくは、よるにトイレに一人でいけないから、チビチビだよ。ちかくにかいだんがあってくらいんだ。よるだけかいだんから「ギィッー。」と音がするんだよ。でも、上にはだれもいないのに。ねえ、こわいでしょ。がらがらどんがいてくれたらこわくないよ。
 がらがらどんみたいにつよくなるように、ハワイでサーフィンしたよ。

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 優秀賞を受賞なさったかたには賞状と1000円ぶんの図書カードを、ニャーロウ賞を受賞なさったかたにはニャーロウからの賞状とプレゼントをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

読書探偵作文コンクール2017 最優秀賞 全文掲載

 最優秀賞を受賞なさった大河内悠多さん、盛永維さん、森小久良さんの受賞のことばと作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2017 最終選考結果発表!

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎最優秀賞
大河内 悠多さん(小5)

読んだ本――『はるかな国の兄弟』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
はるかな国の兄弟
はるかな国の兄弟

【受賞のことば】
 ぼくはこの本を最初に読んだとき普通の冒険ものだと思いました。しかし、2回目に読んでみるとただの冒険物語ではなく、暗く不思議な気分に満ちていることに気がつきました。ぼくはそれが気になったので、どうしてこのような本ができたのか理由を考え続け、それを読書感想文に書きました。それが最優秀賞に選ばれたことを知り、大変うれしいです。

【作品】
「生きるということ〜はるかな国の兄弟〜」

大河内 悠多
 
 この本には驚いた。なぜなら、主人公たちはこの世で不幸のまま死に、死んだ先の世界ナンギャラでも不幸になって死んでしまうからだ。
 あらすじは、次の通りだ。主人公のカール・レヨンイェッタは病気で足が悪く、毎日寝ていた。そして、自分は足が曲がっているので美しくないと思っていた。兄のヨナタンは心が強く、またお話の王子様のように美しく輝いていた。ヨナタンは弟のカールがもうじき死ぬのを知っていた。彼は、死ぬのをとてもこわがっているカールに死んでもナンギャラという楽しい冒険の世界があることを教え、安心させた。ところが、ヨナタンは家が火事になったときカールを救い出して死んだ。その後、カールも死んだ。カールがナンギャラに来てみると、兄は先に着いていた。ナンギャラでのカールは、生き生きしていて足も曲がっておらず病気も治っていた。ヨナタンもさらに美しくなっていた。しかし、平和なはずのナンギャラは半分が悪に支配されていた。そこで、苦しんでいる人々を助けるため、二人は戦った。そして、はげしい戦いのすえ、敵を敗った。その後、平和がくると思われたのに、ヨナタンは龍のカトラが出す「死の炎」にあたって死ぬことが分かった。カールが悲しんでいるのを見たヨナタンは死んだらナンギリマという楽しい世界に行けることを教えてくれた。カールは、ヨナタンをおぶって近くにあったがけから飛び降りた。カールには、ナンギリマの朝の光が見えた。物語はここで終わっている。
 ぼくはまだ死んだことがない。死ぬということは、よく分からない。しかし、死ぬ方法だけはそうぞうできる。例えば、高い所から飛び降りたり、電車に飛び込んだりする人のニュースを見ている。しかし、ぼくはそのどれもこわいのでやりたくない。それではなぜ二人は死ぬことを選んだのだろうか。それは、二人とも死にさえすれば不幸な今から逃れて幸せになれると思い込んでいたからだろう。死後の世界に行けば、悩みも苦しみも争いもないので平和に暮らせると思っていたのだ。二人が最初の世界でナンギャラに行くことを夢見ていたのも同じだ。カールがあまりにもみじめで不幸だったから、死んでナンギャラに行きさえすればすべてが解決すると思い込んだのだ。しかし、そのナンギャラだって、半分は悪が支配する世界であり、平和ではなかった。冒険は確かにできたが、冒険というよりもいつ殺されるか分からない苦しい戦いの連続だった。二人はナンギリマを目指して自殺したが、ナンギリマが完全に幸福になれる場所かどうかは分からない。ぼくの予想では、ナンギリマにもきっと何か不幸の元になることがあって、二人は幸福になるためにまた戦わなければならないと思う。結局今の不幸から逃げようとして死んだところで、死後の世界に幸福が約束されているわけではないのだ。それどころか、今の世界よりずっと不幸になることだって十分に考えられるだろう。
 もしもそうであるならば、死ぬことによって今の世界から逃げてはいけないのではないだろうか。幸福になるためには今のこの世界でだって戦わなければならないのだから同じだ。それに、親からもらった体を自殺することによってむざんな姿にしたくはないし、自殺することはこわくてたまらない。だから、ぼくはどんなことがあってもこの世で生きることが大切だと思う。
 この本を書いたリンドグレーンは子供が好きで、子供を楽しませる本をたくさん書いたという。それなのに、このように子供が事故や病気で死に、さらに自殺までする話を書くのは最初はおかしいと思った。しかし、この話を読み返してみて、ぼくは考えを改めた。きっとリンドグレーンは、この世が辛いとか自分が不幸だと感じても決して死んではいけないと言いたかったのではないだろうか。ぼくはこれを冒険の物語だと思って読んでいたが、決してそれだけの本ではなかった。生きるということを深く考えさせられた。

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◎最優秀賞
盛永 維さん(小4)

読んだ本――『若草物語』ルイザ・メイ・オルコット作 中山知子訳 講談社
若草物語
若草物語

【受賞のことば】
 私は、「若草物語」の四姉妹の個性や百五十年前の話だということに、目をつけたことが評価され、最優秀賞に選ばれたことがとてもうれしいです。「外国の本っておもしろい!」の中に去年の作品をのせてもらいました。そして、他の人の作品にしげきを受けたこともあり、今回の結果が残せたと思います。本当にありがとうございました。これからも、外国のいろいろな種類の本を読みたいです。

【作品】
「いつまでも変わらない好きなもの」

盛永 維

 この本は、約百五十年前に書かれた本です。そして、実際に存在した作者の四姉妹がモデルになっているお話です。私がこの本を読んで、一番印象に残ったのは、四姉妹一人一人の個性です。とても仲の良い四姉妹でも、一人ずつ好きなものは違います。長女のメグは、おしゃれ好きで自分の服やメイクをとても、気にしています。次女のジョーは、本が好きで作家になるのがゆめです。三女のベスは、ピアノが好きで、音楽にとてもきょう味があります。末っ子のエミーは、絵を描くのがとても好きです。こんな個性を持った人は、私の周りにもたくさんいます。今の時代のものは、四姉妹の時代のものとは、まるで違います。だから私は、四姉妹に今の時代のものや、四姉妹と似た個性を持った人に、会ったらどう思うか考えてみました。
 まず、長女のメグです。メグは、おしゃれが好きなので、今のメイクを見せてあげたいと思いました。今のメイクには、キラキラしていたり、ハロウィンのかそうで使うような、少し変わったメイクがあります。きっとメグが見たら、すぐにえいきょうされて、やってみたいと言い出すと思います。でも、やさしい顔をしたメグには、似合わないので家族に止められると思います。それから、メグに会わせたい人は、女優の土屋太鳳さんです。なぜなら、ファッションにくわしそうで、年もメグより少し上だからです。メグは、きっと今のファッションを取り入れて、もっとおしゃれにきょう味を持つと思います。
 次に、次女のジョーです。ジョーは本や物語が好きなので、映画を見せてあげたいです。私が見せてあげたい映画は、ジブリの「借り暮らしのアリエッティー」です。これを見たジョーは、スクリーンの後ろで人がおしばいをしていると、勘違いすると思います。そして、家にあるもので実際に映画を作ろうとするかもしれません。例えば、カーテンに光を当てて、人形に自分の作った物語をえんじさせると思います。そして、家に帰ったら床の下をのぞいて小人を探すと思います。なぜなら、ジョーは映画で見た小人を本物だと思って、自分の家にも住んでいると想像すると思ったからです。
 そして、三女のベスです。ベスには、今のいろいろな種類のピアノやCDを見せてあげたいです。ベスが使ったことがあるのは、グランドピアノだけだけれど、今はキーボードや折りたたみ式など、いろいろな種類があります。ベスがキーボードをひいたら、音がグランドピアノと違って、クラシック音楽には合わないと言うかもしれません。折りたたみ式のピアノを知ったら、ベスはどこへ行く時もピアノを持っていくと思いました。次に、CDです。ベスがCDを聞いたら、生演奏とあまり変わりがないことに、感げきすると思います。そして、CDの種類や四姉妹の時代と今の時代の音楽の違いに、おどろくと思います。もしかしたら、ベスがCDでロック音楽を聞いたら、CDがこしょうしたと思うかもしれません。
 最後に、末っ子のエミーです。エミーには、絵を描く道具の種類を見せてあげたいです。四姉妹がいた時代は、絵の具しかなかったけれど、今はクレヨンや色つきのボールペンなど、いろいろな種類があります。エミーがそれを見たら一つの絵にたくさんの道具を使って、描くと思います。そして、本物そっくりになると思いました。それから、エミーに会わせたい人は、クリスチャン・ラッセンさんです。ラッセンさんは海の絵を多く描きます。まだ、エアブラシを使って描くので、写真のような絵になります。エミーが見たら、写真も知らないので実際に海を見ていると、勘違いすると思います。そして、ラッセンさんにエアブラシの使い方を教えてもらって、エミーは四姉妹の絵を描くと思いました。
 そして最後に、四姉妹が今の時代に来ても、それぞれが好きなものに対してのとらえ方はきっと変わらないだろうと思いました。なぜなら四姉妹はそれまでも、好きなものいいところをたくさん見つけてきました。だから、今の時代に来て、好きなものが新しく変化していてもそれにきょう味を持って、もっと好きになっていっただろうと思うからです。いつの時代にいても、好きなものだけではなく、家族や友達を大切にする四姉妹だからこそ、百五十年前の物語でも古く感じないのだと思いました。

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◎最優秀賞
森 小久良さん(小3)

読んだ本――『ぬけちゃった』 スティーブ・アントニー作 せなあいこ訳 評論社
ぬけちゃった
ぬけちゃった

【受賞のことば】
「やった〜! さいゆうしゅうしょうをもらったよ!」
 前回は一次せん考までだったので、今回は大よろこびしました。
 本のことを考えながら書くことは、とても楽しかったです。
 この絵本の中には、冬の場面がなかったので、冬に遊んでいるビビちゃんを考えながらかきました。
 これからも、面白い本を探して読んでいきたいです。

【作品】
「ぬけちゃった」から「ぬいちゃった♪」

森 小久良

 この本を見つけた時、ビビちゃんがとてもかわいくて目がくぎづけになりました。ぬけたコードを持ってにこにこわらっているロボットがビビちゃんです。
 ビビちゃんはパソコンにつながるのが大好きで、パソコンで一日中あそんでいます。そのページを見ているとビビちゃんは楽しそうなんだけど、なんか楽しくなさそうに感じていました。すると真っ黒いページが出てきてビビちゃんのコードがぬけてしまいました。(ビビちゃん!だいじょうぶ!)と、ドキドキしながら読みました。ビビちゃんは、お外にとび出してしまいました。
 のはらは緑で川は水色です。ページは色でいっぱいになりました。
「あたし、おそとに いる!」
ビビちゃんはびっくりしていました。それまで色のない絵本だと思っていたのに、急にきれいな絵本になってわたしもびっくりしました。
 ビビちゃんは、子じかとうさぎとアヒルとお友だちになって、一日中お外でいろんな遊びをしました。ビビちゃんたちはすごく楽しそうで(わたしもこの中に入っていっしょに遊べたらいいのにな。)と、思いました。森の中でかくれんぼしたり、たんけんしたりするビビちゃんたちを見ていると、わくわくして外に遊びに行きたくなりました。
 おうちに帰ったビビちゃんは、パソコンにつながったのにお外の事ばかり考えています。そして、ビビちゃんはコードを「ぬいちゃった。」お外に出て行きました。

 この本は色が面白いと思います。ビビちゃんの気持ちを表している感じがします。お外から家に帰る時、ウサギさんにもらったお花だけが家の中に入っても色があって、前とはちがうビビちゃんになったんだと思いました。
 パソコンの事しか知らなかったビビちゃんは、ぐうぜんお外に行ってお外の事を知り新しい遊びができました。でも、ぐうぜんに新しい事を知るのはむずかしいと思います。さい後にビビちゃんが自分でお外に行ったように、わたしも、自分から色いろな所へ行って新しい遊びをしてみたいです。もし、ビビちゃんに会うことができたら、いっしょに遊んで、少しだけパソコンの事も教えてもらえたらいいなと思います。

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 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と5000円ぶんの図書カードをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

2017年11月10日

読書探偵作文コンクール2017 最終選考会レポート&総評

 最終終選考会のもようをお伝えします。

 当日は3名の最終選考委員が、1次選考を通過した15作品を1作品ずつ検討していきました。みなさんが読んだ本を参照しながら、それぞれの作品のすばらしいところ、惜しいところなどを挙げて、話し合いを重ねました。今年は評価の高かった8つの作品から、最優秀賞3作品、優秀賞4作品、ニャーロウ賞1作品が選ばれました。
 入賞された8作品については、後日、こちらのサイトで全文を掲載させていただく予定です。
 最終選考委員のみなさんから、1次選考を通過した作品への感想やアドバイスをいただきましたので、ご紹介します。ぜひ、これから文章を書くうえでの参考にしてください。


谷口 慶樹さん(小2)
読んだ本――『三びきのやぎのがらがらどん』(ノルウェーの昔話) マーシャ・ブラウン絵 せたていじ訳 福音館書店
三びきのやぎのがらがらどん
三びきのやぎのがらがらどん

ないとう「短いけれど、とってもおもしろかったです。作品に話しかけるタイプの作文で、天性のユーモアを感じました。自分がこわがりだというところの描写が生き生きしています」
越前「目のつけどころがおもしろいですね。最初から最後まで、読んでいて楽しい作文でした。がらがらどん、からからとん、チビチビなど、ネーミングがよかったです」
宮坂「がらがらどんへの手紙の形式を取っていて、語りかけの文体が楽しかったです。3びきとも同じ名前なんておかしいというところからスタートして、名前をつけてあげたのがおもしろいですね」


本坊 昂士さん(小2) 
読んだ本――『わすれられないおくりもの』 スーザン・バーレイ作 小川仁央訳 評論社
わすれられないおくりもの
わすれられないおくりもの

越前「それぞれの動物に対する親しみが感じられます。教わったことを教えるほうにまわりたいというまとめ方がすがすがしいと思いました。自分がどんなふうにお父さんから教えてもらったのか書いてありましたが、お母さんや先生からどう教わったのかも、もう一言ずつあるといいですね」
宮坂「アナグマがいなくなって動物たちが悲しんでいることなどが、作文からしっかり伝わってきました。物語をきっかけに身近な人のことを考えたのがいいですね。温かい家庭が作文から垣間見えました。アナグマのことをこれからもずっと心の片隅に残していてほしいです」
ないとう「死はまだ身近なことではない一方、アナグマがいろいろな人にいろいろなことを教えたんだということを主に感じとったのが伝わってきました。素直な読み方に好感が持てました」


村上 和優さん(小2)
読んだ本――『2るいベースがぬすまれた?!』(めいたんていネート) マージョリー・ワインマン・シャーマット作 マーク・シマント絵 神宮輝夫、内藤貴子訳 大日本図書
『ぺちゃんこスタンレー』ジェフ・ブラウン作 トミー・ウンゲラー絵 さくまゆみこ訳 あすなろ書房
『なんでもふたつさん』M.S.クラッチ作 クルト・ビーゼ絵 光吉夏弥訳 大日本図書
めいたんていネート 2るいベースがぬすまれた?!
めいたんていネート 2るいベースがぬすまれた?!

ぺちゃんこスタンレー
ぺちゃんこスタンレー

なんでもふたつさん
なんでもふたつさん

宮坂「200冊読んだのはすごいですね。文章とともに動画を使ってクイズを混ぜながら本を紹介するのはユニークな新しい形で、それぞれがどんな本なのかわかりやすかったです。絵もよく描けています」
ないとう「紹介されているのがちょっと変わっているけれどおもしろい本ばかりで、教えてくれてありがとうという気持ちになりました。まさに読書探偵ですね。クイズの作り方もおもしろかったです」
越前「作品が好きなことが絵からも伝わってきました。クイズに意外性があってうまいなあと思ったのですが、答えの後に一言、その答えについての説明があるともっとよかったです」


T・Yさん(小2)
読んだ本――『ちっちゃなサリーはみていたよ ひとりでもゆうきをだせたなら』 ジャスティン・ロバーツ作 クリスチャン・ロビンソン絵 中井はるの訳 岩崎書店
ちっちゃな サリーは みていたよ ひとりでも ゆうきを だせたなら
ちっちゃな サリーは みていたよ ひとりでも ゆうきを だせたなら

ないとう「今度はサリーがいじわるされるのではないかと心配しているところなど、リアルに感じられました。あやまってくれない子がどんなだったのか、もう少しくわしく書くともっと生き生きしてくるように思います。勇気を持って言えるのはすごいことですね」
越前「説明がわかりやすく、もとの本を読んでいない人にもとてもよくわかる書き方をしているのがすばらしいと思います。自分の体験へとつながっているのも自然に感じられました」
宮坂「セリフから入るという書き出しや、印象に残ったセリフを途中に持ってきているのがうまいですね。絵本の中に出てくるブルドーザーが何の比喩なのかということを自分なりに解釈しているところがすばらしいです。文章力も行動力もあって、頼もしく感じました」


壽惠村 尚さん(小3)
読んだ本――『アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険』 トーベン・クールマン作 金原瑞人訳 ブロンズ新社
アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険
アームストロング: 宙飛ぶネズミの大冒険

越前「読んでいて心地よい軽快な文体で、リズムがとてもいい文章です。手紙を書き始めるところで1行あけるなど、転換の仕方から文章を書き慣れているのを感じました。おまけの絵本も、いろいろ調べて描いているのがわかります」
宮坂「ハラハラドキドキ楽しみながら本を読んでいることがよくわかります。作品を気に入って、同じ作者を追いかけて読んでいるのもいいですね。実際にネズミ300ぴきを数えたのはすごいです」
ないとう「ページをめくりながら作品の中に入りこんで、のめりこんで読んでいる様子が伝わってきました。文章に勢いがあります。将来は文章が書ける理系の研究者になれそうです」


相馬 光希さん(小3)
読んだ本――『わすれられないおくりもの』 スーザン・バーレイ作 小川仁央訳 評論社
わすれられないおくりもの
わすれられないおくりもの

宮坂「あらすじがよくまとまっていて、どんな物語かよくわかる文章です。自分がアナグマだったらと想像をめぐらして、自分とアナグマのちがいを分析し、そこから死について考えて……、ひとつの話をきっかけに、いろいろと思考を広げたことが伝わってきました。身近なクラスメイトのなかにアナグマ的な人がいると気づいたところもいいですね」
ないとう「死ぬことがこわいという気持ちを、もうちょっとだけくわしく書いてほしかった気もしますが、自分の気持ちを正面から見つめているところがえらいと思いました。おそろしいこと、こわいことについて、書いたり話したり、別な本を読んだりするのもいいかもしれません。友だちの等子さんのことも、もう少しだけくわしく知りたかったです」
越前「感じたことを、わかりやすく力強く伝えている文章です。自分の話と本の話とをいったりきたりするところが、ややまとまりがなく感じられましたが、この本を読んでよかったという気持ちがはっきりとわかる作文ですね」


森 小久良さん(小3)
読んだ本――『ぬけちゃった』 スティーブ・アントニー作 せなあいこ訳 評論社
ぬけちゃった
ぬけちゃった

ないとう「「ぬけちゃった」から「ぬいちゃった」へ変わること、ちがう世界をさがしに行くことを能動的にとらえているところがすごいですね。本のなかにも出てくることではありますが、テーマとして大きく感じたことがよくわかりました。ロボットのビビちゃんのことをかわいいと思う気持ちが、作文からも、おまけの絵本からも、よく伝わってきました」
越前「ちょっとわかりにくい部分もありましたが、もとの本をすごく読みたくなるおもしろさがあります。本の特徴や楽しさがしっかり伝わってきました。色がイメージできる作文で、絵を伝える能力にたけていると思いました」
宮坂「ストーリーの紹介の仕方がおもしろいです。作文を読みながらビビちゃんがどうなるのか気になりましたし、もとの本も読みたいと思わされました。色に注目しているところもいいと思います。白黒からカラーに変わっていくことに驚いたり、色が気持ちを表しているのかなと感じたり、最後の場面で花の色に注目したり、自分なりの分析も鋭くて観察力がありますね。おまけの絵本では、最後のシーンに自分が入っていて、ビビちゃんと遊びたいという夢を、絵本をつくることでかなえたんだなと思いました。タイトルの「ぬいちゃった」も楽しいです」


鈴木 未来さん(小4)
読んだ本――『ゆうかんな女の子ラモーナ』 ベバリイ・クリアリー作 松岡享子訳 学研教育出版
ゆうかんな女の子ラモーナ
ゆうかんな女の子ラモーナ

越前「表現力が豊かで、ふだんから多くの本を読んでいるのだろうと感じました。しっかりした文章で、思ったことをわかりやすく伝えることができています。もとの本を紹介する部分がもう少しあるとさらによかったですね。文章そのもののうまさ、言葉の豊かさはピカイチでした」
宮坂「勢いを感じる作文です。ストレートな気持ちが伝わってきて、おもしろく読みながら、作文を書いた鈴木さん自身にも興味がわきました。「ぼう力でつくられたゆうかんはこわい」という気づきがすばらしい。主人公と自分を重ねて過去をふりかえるなど、読書が自分を見つめ直すきっかけになっていることがわかりました」
ないとう「本をよく読みこみ、自分の生活やお母さんとの対話を考えあわせ、実感として出てきた言葉を使っているため、文章にとても力がありますね。お母さんの言葉をよく受け止めていることが伝わってきました。ラモーナは考えるより先にやっちゃうタイプ。そこに自分を重ね合わせて、自分の成長も感じ取っているところがおもしろい。成長したラモーナの話もあるので、ぜひ読んでほしいと思います」


盛永 維さん(小4)
読んだ本――『若草物語』 ルイザ・メイ・オルコット作 中山知子訳 講談社
若草物語
若草物語

宮坂「四姉妹の個性を分析して、よく書けています。150年前の話であることを意識して、登場人物たちがもし現代にいたらどうだろうと想像しているところがユニークですね。その想像が具体的なところもおもしろかったです。結論へのもっていきかたもいいですね。これからも、古典と新しい作品のどちらもたくさん読んでほしいと思います」
ないとう「本を土台にして想像を羽ばたかせるタイプの作文はよくありますが、もとの本をしっかり読みこんでいるところがすばらしい。発想がおもしろく、納得がいくものも多くて、登場人物に対する熱い想いが伝わってきました。昔の話を身近に感じるのはなぜかという疑問に対して、自分なりの答えを出しているところもいいですね」
越前「このコンクールの原点は、最終的にもとの本を読みたくなる文章を書くことだと考えていて、そういう意味で今回のベストの作文だと思いました。自分に引きつけた話をしながらも、『若草物語』の魅力、四姉妹の魅力がよく伝わってきます。新しい発想で本を紹介していくスタイルですね。文章の書き方の基本もしっかりできています」


伊藤胡春さん(小5)
読んだ本――『パパの電話を待ちながら』 ジャンニ・ロダーリ作 内田洋子訳 講談社
パパの電話を待ちながら
パパの電話を待ちながら

ないとう「読んだ本の続きを書いてくれた作文ですが、不思議な話だなと思いながら読みました。でも、もとの本自体が不思議な話ばかり集めた短編集なんですよね。そのなかからこの作品を選び、その続きを書きたいと思ったことが、おもしろかったです。ロダーリ作品をどのように楽しんだのかが伝わってきて、興味深く感じました」
越前「もう少し読んだ本との関係を書いてほしかったと思いますが、作文の話自体はわかりやすくておもしろかったです。6についてのこまかい描写など、いいなと思う場面もありました。もとの本を知らないと、タイトルの意味がわからないかもしれません。貼り絵は細かい作業で凝っていますね」
宮坂「読んでいて楽しい作品でした。女神様と呼ばれているかけ算など、オリジナリティもあり、よく考えて書かれています。もとの本はけっこうむずかしい言葉もでてくる作品ですが、おもしろい本に触発されて自分も書いてみるという楽しみ方がいいですね。ストーリーの展開も絶妙です」


大河内 悠多さん(小5)
読んだ本――『はるかな国の兄弟』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
はるかな国の兄弟
はるかな国の兄弟

越前「だれのまねもしないで、自分の言葉で自分で考えている作文ですね。問題意識をもって、しっかりこの本を読んでいるところがいいと思いました。段落分けを工夫したほうがいいなど、粗削りな部分はありましたが、それ以上に迫力があり、もとの本を読みたくなりました」
宮坂「文章が上手で、あらすじがわかりやすく書けています。作文を読んだだけで、物語を読んだ気分にさせられます。ストーリーから、死ぬこと生きることを自分なりに深く考えていることが伝わってきました。結論に至るまでの思考の流れが論理的に書かれていて、説得力がありました」
ないとう「骨太な作文です。本を読んで驚いて、わからなかったから二度読んでと、深く追求しようとしている姿勢がいいです。この本は大人が読んでも謎なところがある本ですが、いまの時点で、読みなおして、深く考えて、自分なりの結論を出したことが尊いですし、それをきちんとした文章で伝えているのがすばらしいです。大人になったとき、またこの本を読んでほしいと思います」


遠藤 萌花さん(小6)
読んだ本――『ふたりのサンドウィッチ』 ラーニア・アル・アブドッラー(ヨルダン王妃)、ケリー・ディプキオ作 トリシャ・トゥサ絵 訳者記載なし TOブックス
ふたりのサンドウィッチ
ふたりのサンドウィッチ

宮坂「冒頭からひきこまれました。食べ物をきっかけに、先入観や決めつけについて考えさせられるストーリーだということがわかりました。実際のエピソードが印象的で、心に残りました。タイトルのつけ方も上手で、楽しい作文でした」
ないとう「「思いのきょりを縮める」という言葉がいいですね。導入が自然で、そこから絵本の内容を紹介しているところが上手です。文章がしっかりしています。先入観からつなげた実際のエピソードが、具体的によく書かれていて、体験の書き方の見本のようです」
越前「自分の体験の紹介の仕方、本の内容とのバランス、つなぎ方がとてもいいです。先入観というキーワードで最後まで突っ走っていくやり方もおもしろいです。終わり方はもうひと工夫あってもいいかもしれません」


尾谷 知海さん(小6)
読んだ本――『ガラスの大エレベーター』 ロアルド・ダール作 柳瀬尚紀訳 評論社
ガラスの大エレベーター
ガラスの大エレベーター

ないとう「ワンカさんが登場する完全な二次創作ですね。よく書けています。吹奏楽の描写が具体的で、生き生きと伝わってきました。アイデアもしゃれています」
越前「読んでいて楽しい、独創的な作文です。もとの本とあまり関係ないのが気になりましたが、ワンカさんが発想の原点になっているので、よく読みこんでいるのがわかります。文章が上手です」
宮坂「文章がうまくて、よく書けています。自分の体験からきているのか、具体的で説得力があります。最後がどうなるかドキドキしました」


須貝 綾さん(小6)
読んだ本――『みどりのゆび』 モーリス・ドリュオン作 安東次男訳 岩波書店
みどりのゆび
みどりのゆび

越前「話のふくらませ方、発想の広がり方がおもしろい作文です。自由な発想で自分の話につなげているのに、しっかり本編にもどっていて、安定感を感じました。短いけれど、きちんとまとまっていました」
宮坂「本文中の言葉を引用して冒頭にもってきているのがうまいですね。ひきこまれます。自分が主人公だったらと想像をめぐらせているところもいいと思いました。植物の力への気づきがすばらしいです。それまで知らなかったことを知るのは、本を読む醍醐味ですね」
ないとう「よく書けています。具体例にもう少し踏み込むと、もっと生き生きとするかもしれません。この作品は複雑な話で、陰影もあるので、二度三度読んでみると、さらに楽しめるのではないでしょうか。それから、サボテンを育てられる須貝さんは、みどりのゆびを持っていると思いますよ」


田邊 宏胤さん(小6)
読んだ本――『ミオよわたしのミオ』 アストリッド・リンドグレーン作 大塚勇三訳 岩波書店
ミオよわたしのミオ
ミオよわたしのミオ

宮坂「文章がうまく、あらすじも感想もしっかり書けています。ミオの性格が変わったことについて、自分なりの解釈ができていますね。文章の盛り上げ方も上手です。リンドグレーンのほかの作品とのちがいを分析できているのは、一人の作家の作品をよく読んでいるからこそだと思います」
ないとう「ストーリーの紹介が上手で、全体の雰囲気をよく表せています。主人公が自分の立場を理解する前にストーリーがどんどん進んでしまう、という分析が的確です。全体がよくまとまっていたので、身近な体験は入れなくてもよかったかもしれません」
越前「作家論から入って作品論で終わるという直球勝負の作文。感想から評論へとレベルアップしていく過程にある作文だと思います」

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【総評】

越前「今年もみなさんの作文がどっさり送られてきました。どうもありがとう。みなさんがくふうして書いてくれた作文を読むことは、自分にとっても年に一度の大きな楽しみです。いまはスマホなどでかんたんにいろいろ調べたりすることができるようになりましたが、だからこそ、最後は自分で考えて、自分のことばでしっかり書いている作文を読ませてもらうと、すがすがしい気持ちになります。これまでの受賞作を集めた『外国の本っておもしろい!』には、そんな作文がたくさんのっているので、ぜひ読んでみてください」

ないとう「今年もまた力作が数多く集まりました。1次選考を通過しなかった作品にもいくつか目を通しましたが、応募作全体のレベルが上がっていて、たいへん激戦だったことがよくわかりました。ですので、最終選考に残らなかった人も、がっかりしないでくださいね。自分が読んでおもしろいと思った本を人にすすめるのは、とても楽しいこと。読んでいるときのわくわくする気持ちや、作品と正面から取り組んでじっくり考えたことがらが伝わってくる作文には、人の心を動かす力があります。来年もまた、そんな作文と出会えることを楽しみにしています。」

宮坂「いちだんとパワーアップした作文の数々、ぜんぶに賞をあげたくなるくらい、ほんとうに楽しかったです。登場人物への手紙、本からヒントを得て書いた物語、自分の体験や考えをつづったもの、動画や創作絵本をつけたものなど、今年もとてもバラエティゆたかで、読んだ翻訳書のおもしろさがぐいぐい伝わってきました。これからも国内外のいろんな本を読んで、楽しみながら視野を広げてもらえたらと思います。そして、ぜひ来年もまたおうぼしてください!」
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 今年もたくさんのすばらしい作品をお寄せくださったみなさん、ありがとうございました。
 こちらのサイトでは、今年も、コンクールで読まれた本を順に紹介していく予定です。ニャーロウとなかまたちのおすすめ本コーナーとあわせて、これから読む本をえらぶ際の参考にしてください。そして、すてきな本に出会ったら、また作文を書いて読書探偵作文コンクールに応募していただけるとうれしいです。