2016年11月28日

【お知らせ】参加賞を発送しました

みなさま、「読書探偵作文コンクール2016」へのご応募ありがとうございました。
本日(11月28日)、受賞者のみなさんへの賞状と賞品、応募者全員への参加賞を発送いたしました。
第1次選考委員からのコメントも同封しています。
どうぞ楽しみにお待ちください。

なお、10日以上たっても事務局からの送付物が届かない場合は、ご一報ください。

2016年11月14日

読書探偵作文コンクール2016 最優秀賞 全文掲載

 最優秀賞を受賞なさった内山満里菜さん、田中愛麗さん、盛永維さんの受賞のことばと作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2016 最終選考結果発表!
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◎最優秀賞
内山 満里菜さん(小6) 

読んだ本――「マジック・ツリーハウス」シリーズ全巻 メアリー・ポープ・オズボーン作 食野雅子訳 メディアファクトリー
マジック・ツリーハウス 第1巻恐竜の谷の大冒険 (マジック・ツリーハウス 1)
恐竜の谷の大冒険 (マジック・ツリーハウス 1)

【受賞のことば】
 私は、このコンクールに4年生で初めて参加しました。4年生で優秀賞、5年生ではニャーロウ賞をもらいました。だから、今回、最優秀賞という知らせを聞いて、飛び上がるほど嬉しかったです。家族全員で喜びました。読書探偵コンクールは、6年生までの参加なので、全部の賞をもらえてよかったなと思いました。これからも、たくさんのお話を書いて、たくさんの人に喜んでもらうのが私の夢です。

【作品】
「Books give big dream and hope to children」〜世界の子どもたちをつなぐ魔法〜

内山 満里菜

 今、わたしの目の前には、数えきれない程、沢山の本があります。冒険、歴史、そして、ファンタジー。本は、私が知らない世界を教えてくれます。
 とはいっても、本は話すことはできません。しかし、私には、本の声が聴こえるのです。本を読んでいると、心の中に語りかけてくれるのです。
 たくさんの本の中から私がおすすめしたいのは、メアリー・ポープ・オズボーンさんの『マジック・ツリーハウス』シリーズです。
 物語の主人公は、ジャックと、アニーの兄妹です。ジャックは、見たこと、聞いたことをすぐにメモをするクセがあります。このクセのおかげで、歴史上の出来事を、詳しく覚えることができます。妹のアニーは、元気いっぱいな女の子です。冒険が大好きで、いつも前向きです。そして、動物ととても仲良しです。どんなピンチも、アニーの勇気と、優しさで切り抜けることができます。
 そして、魔法使いのモーガンルーフェイです。彼女は、歴史上おきた様々な事件や問題を解決するために、優れた本を集めています。そして、歴史を紐解くために、アニーとジャックに危険な冒険をさせることもあります。しかし、ジャックもアニーも、冒険をやめることはありません。それは、悪い魔法をかけられてしまったモーガンを救うためです。しかし、それだけではありません。好奇心旺盛な二人は、本でしか知ることのできない世界中の色々な時代の謎を知りたくてたまらないのです。そして、その気持は、世界中の知りたがり屋の子どもたち、みんなも同じ気持だと思います。マジック・ツリーハウスは、そんな私達の願いを叶えてくれる本なのです。
 作者のオズボーンさんは、世界各国を旅した後、子どもたちの本を書く作家になりました。オズボーンさんが世界各国を旅して、感じたことをもとに物語を描いていると思います。だから、ファンタジーだけれど、とてもリアルで説得力があるのだと思います。きっと、オズボーンさんも、ジャックのように、出会った人々が話してくれたことや、本を読んで得た知識を、全てメモしていたに違いありません。そして、アニーのように空想する力があったから、旅で得た知識をもとに、たくさんの物語を書くことができたのでしょう。
 マジック・ツリーハウスは、歴史を学ぶ大切さを子どもたちに教えてくれます。私は、この本と出会うまで、歴史の勉強は好きではありませんでした。沢山の歴史上の人物、沢山の事件を年表通りに覚えなければならないからです。それが何の役に立つのか疑問でした。しかし、マジック・ツリーハウスには、歴史上の人々の思いが物語の中に込められています。偉大な歴史上の人物が、本当は悩み苦しんでいる姿が描かれているのを読んで、歴史上の出来事が、遠い過去のものではなく、自分たちが今、抱えている悩みや苦しみと同じなのだと感じました。
 一番心に残った人物は、アメリカの南北戦争で、多くの人の命を救った、クララ・バートンです。彼女は自分の命の危険も省みず、戦場で傷ついた兵士達を助けに向かいました。そして、平和のための活動を世界に広めるために赤十字を創立します。
 日本は、第二次世界大戦から七〇年間、戦争はしていません。しかし、世界では、今でも戦争やテロが起きていて、多くの人々が、巻沿いとなり命を奪われています。
 クララ・バートンさんの優しさと、人々を救いたいという強い思いを今、たくさんの人が持てたらどんなにいいだろうと私は、心から思いました。そして、もしも、世界中の子どもたちが、マジック・ツリーハウスを読んだら、戦争をしている国同士の子どもたちが読んでいたらどうなるでしょう。きっと同じ思いを抱き、話し合うことができるようになるはずです。そして、平和な世界を作る輪が広がっていくと私は思います。
 きっと、オズボーンさんも、子どもたちに争いのない世界を、力を合わせて作ってほしいと願って物語を書き続けていると思います。
 オズボーンさんの思いが、本を通して私の心に伝わってきました。
 実は、私がマジック・ツリーハウスを読み始めたのは、友人が、面白い本だからと学級文庫に寄付をしてくれたのがきっかけでした。
 私も、この本をもっとクラスの友達に読んでもらいたいと思い、ジャックとアニーが旅をした場所を記した地図と、本の内容が簡単に分かるように要約本を作りました。
 本は、いつでも、どこでも私達の友であり、平和な未来を作りたいと願う者の味方です。
「Books give big dream and hope to children」
 本は、子どもたちに夢と希望を与えると、私は、信じています。

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(注:「要約本」の写真は一部分のみ掲載しています。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎最優秀賞
田中 愛麗さん(小5)

読んだ本――『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル作 脇明子訳 岩波書店
不思議の国のアリス (岩波少年文庫 (047))
不思議の国のアリス

【受賞のことば】
頑張った人の中から選ばれるという事

「ふつう」はいらないワンダーランド。私の工夫はすでに題名から始まっています。この題名を見て興味を持たない人はきっといないはずです。また、この本の「ふつうじゃない」ことがうまく表現できてよかったです。
 私は一年生の時から読書探偵に応募してきて、初めて賞をとりました。だから頑張って書いても賞をとれない時の気持ちが分かります。だからこそ頑張った人の中から選ばれて自信が持てました。しかも最優秀賞なので喜びと誇らしさで一杯です。

【作品】
「ふつう」はいらないワンダーランド

田中 愛麗

「不思議の国のアリス」の作者がオックスフォード大学の数学者であることをごぞんじでしたか。こんな奇想天外な物語をなぜろんり的に考える数学者がかくことができたのでしょう。おどろくことに、この話は一五〇年読みつがれてきました。それは、この話のもつおもしろさに普遍性があるからではないでしょうか。普遍とは、昔に書かれたことが現代でも充分に人を楽しませ、必要とされるということです。そう考えると、数学という普遍的な学問で身をたてていた数学者がこの物語の作者というのもうなずけます。
 さて、この話の登場人物をみてみましょう。まずはドードー鳥。私はあまりドード鳥は好きではありません。なんでもしっているかのようにふるまっているところが鼻につくからです。ドードー鳥はアリスにアリスのもっていたゆびぬきをあげました。つまりアリスに持ち物を返したわけです。意味がないと考えてしまいますが、ドードー鳥はいたって真面目。真面目に意味がないことをしているのです。
 反対に私が気に入った登場人物は、白ウサギと、とかげのビルです。白ウサギはこの話の案内人のようで、アリスと深くかかわるわけではありませんが不思議と親近感がわきます。それからビル。ビルはちょっと気の毒なとかげです。アリスといるとビルはなにかしらそう動にまきこまれます。えんとつから飛ばされたり、陪審員席からおとされてさかさまにさせられたり、チョークをアリスにとりあげられてなにもかけなかったりと、災なんな目にひんぱんにあっています。間が悪かったりして間ぬけなところがかわいいから、私はビルがおもしろくて好きです。
 私は前から「ふつう」という言葉が嫌いです。なぜなら「ふつう」というものはそん在しないからです。人はそれぞれちがうのに、「ふつうはそうだ」などといってしまったら、人はみな同じ考えをもち行動するロボットみたい、ということになり、とてもきもちわるくなってしまいます。アリスの世界ではみなちがいすぎて「じょうしき」などというものは通用しないし、必要ありません。私は不思議の国のアリスをよみ、「ふつう」でなかったとしても、全く問題ないのだとひらきなおることができました。なぜならこの話の登場人物よりは私の方がずっとじょうしき人だからです。でも、だからといってこの話の登場人物にくらべて私がふつうだというわけではありません。もし私がこの話に入っても、まったくおかしくないし、むしろ、もっと話がおもしろくなる可能性だってあるでしょう。
 一五〇年もの間読みつがれてきた物語のなかで「ふつうじゃない」「非じょうしきな」登場人物たちは様々な時代の子供たちを楽しませてきました。一人の数学者がこれほどたくさんの個性ある登場人物を思いつき、それを存分に動かし、物語をすすめていく――それはとてもむずかしく、そのい業を成しとげた作者はすばらしくユーモアと想像力があったのだと考えます。そしてこれから一〇〇年でも子供たちを楽しませていくにちがいありません。

(注:作品では第2段落の太字の部分に傍点が振られています。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎最優秀賞
盛永 維さん(小3)

読んだ本――『グレイ・ラビットのおはなし』 アリソン・アトリー作 石井桃子/中川李枝子訳 岩波書店
グレイ・ラビットのおはなし (岩波少年文庫 (004))
グレイ・ラビットのおはなし

【受賞のことば】
 今回、わたしの作文が最優秀賞にえらばれた事は、まだ信じられません。わたしがこの作文で大事にしたところは、作者の気持ちになって考えるということです。作者のアリソン・アトリーは、小さいころから大自然の中で育っていて、わたしとはまったくちがい、自然や動物への思いもあまりよく分かりませんでした。だから、いろいろな植物のことを調べてみることにしました。今回は本当にありがとうございました。

【作品】
グレイ・ラビットに出てくる草花

もりなが ゆい

 わたしが、この本をえらんだきっかけは、前に同じ作者の「こぎつねルーファスのぼうけん」という本を読んで動物たちのやりとりの様子がおもしろかったので、この本をえらびました。作者のアリソン・アトリーは、イギリス生まれで、小さいころ森の中に住んでいたので、森の中で出合う小さな動物たちはアリソンの友だちでした。この本の中に出てくるウサギのグレイ・ラビットやリスのスキレル、野ウサギのヘアもアリソンの友だちをモデルに作られたお話だと思います。
 この本を読んでいくと、知らない植物がたくさん出てきたので、その中のいくつかを調べてみました。調べた植物は、スイカズラ、ラシャガキソウ、プリムローズ、キランソウの四つです。まず、始めにスイカズラです。これはグレイ・ラビットの朝ごはんの時に、ジャムで出てきます。わたしは、名前に「スイカ」と出ているからスイカのようなものだと思いました。じっさいに調べてみると、実は黒くて、黄色や白い花を咲かせ、甘いはちみつをもった花でした。また、薬に使われることが分かりました。そうぞうとまったくちがったのでびっくりしました。
 次は、ラシャガキソウです。これは、スキレルのしっぽにかけるブラシで出てきます。わたしはブラシに使われているから、とげとげしていると思いました。調べてみるとハリネズミのようなかたいとげのたくさんある実がなります。また、その実を使いおりものをけばだたせる起毛に使われます。
そして、プリムローズです。これは、ヘアがかぜをひいた時にかぜにきくおさけで登場します。わたしは、のみものに使われているから、少しあまい味がすると思っていました。じっさいに調べてみるとサクラソウ科の植物で本当にかぜ薬に使われていることが分かりました。また、薬になっているならわたしもかぜをひいた時に飲んでみたいです。
 さいごに、キランソウです。ヒキガエルにプレゼンドをとどける時に登場します。わたしは、名前に「キラン」と出ているからキラキラしていると思いました。調べてみると、いろいろなびょうきにきく薬で、地面にはりつくように広がることからジゴクノカマノフタといわれています。また、いろいろなびょうきにきくのでジゴクのカマにフタをすることからもこういわれています。初めにそうぞうしていたよりも、どんよりした意味のものにたとえられていてすこしがっかりしました。
 このように、作者は植物や動物になぜくわしいのか、理由を考えてみました。わたしは、作者が森に住んでいて動物や植物とふれあうことが多かったからだと思います。そうしているうちに、植物や動物にきょうみをもって、わたしと同じように調べたのかもしれないと思いました。もしかしたら、おばあちゃんやおじいちゃんに教えてもらったのかもしれません。
 このお話の中では、グレイ・ラビットやいろいろな動物たちが、イタチにつかまりそうになってしまったり、フクロウにしっぽをとられてしまったりながらも、人間と同じように力を合わせ、問題をかいけつしていきます。だから、わたしもつらいことやかなしいことがあってものりこえてほしいと思って作者はこの本を書いたと思います。
 この本には、まだたくさんの知らない植物が出てくるので調べていきたいです。

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 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と5000円ぶんの図書カードをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

読書探偵作文コンクール2016 優秀賞・ニャーロウ賞 全文掲載

 優秀賞を受賞なさったS・Nさん、渡辺彩也乃さん、南和奏さん、ニャーロウ賞を受賞なさった相良凛さんの作品全文をご紹介いたします。
 なお、最終選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2016 最終選考結果発表!
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◎優秀賞
S・Nさん(小5)

読んだ本――『あのころはフリードリヒがいた』 ハンス・ペーター・リヒター作 上田真而子訳 岩波書店
あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))
あのころはフリードリヒがいた

【作品】
「ぼく」とユダヤ人のフリードリヒは、小さいころは、平和にくらしていた。二人は、一九二五年生まれだった。二人は、同じアパートにくらしていた。「ぼく」は二階、フリードリヒの家族は、三階にくらしていた。
 が、ユダヤ人は、差別され、フリードリヒは、学校を転校することになってしまった。一九三四年のことだ。
 たんにんの、ノイドルフ先生の本心は、フリードリヒを転校させたくなかったが、転校させなかったら、自分が収容所につれていかれてしまうから、ユダヤ人に対してこうするしかないと思っていたのだと思う。
 さらに、ユダヤ人せん用の黄色いベンチも出てくるようになり、フリードリヒの女友達のヘルガが、ある日二人で出かけた時、そのベンチにすわってしまった。ふつう、だれかに見られたら、ヘルガは、収容所行きだ。一九四〇年のことだった。
 もし、私がヘルガだったら、彼女のようにあえて黄色いベンチにすわらなかったと思う。ドイツ人用の緑色のベンチにすわって、フリードリヒがすわれないということに気がついたら、黄色いベンチの所には行かずに立ってフリードリヒと話すと思う。ユダヤ人といっしょに遊びに出かけたことなどなんでもないというふうにフリードリヒや、回りの人にふるまっていただろう。
 一九四一年のことだ。「ぼく」がジャガイモをフリードリヒの家に届けた時にかくまわれていたラビを目げきしてしまった。ラビをかくまっていることを知られてしまうと、フリードリヒやお父さんもラビといっしょに犠牲になってしまう。だから、そのひみつを守れるかと、「ぼく」は問われた。「ぼく」は、「分からない、ぼくはどうすればいいのか。」と答えるばかりだった。もし、私が「ぼく」だったら、「ぼく」と同じように分からないと答えると思う。私も、きっと同じ言葉でしか、返すことができないと思う。
 そこで、このことから『アンネの日記』という本を思い出した。それは、アンネの家族がかくれ家で生活する時に、たくさんの人の協力が必要だった。そして、その協力した人たちも、命がけだったということだ。
 一九四二年になると、空しゅうがはげしくなり、みんなが地下ごうに入るようになった。ユダヤ人は、この時も地下ごうに入ることはできない。「ぼく」の家族は、ドイツ人だから地下ごうに入った。フリードリヒは入れないが、むりやり入ろうとした。その時、家主のレッシュ氏は、出て行けと言ったが、近くにいた、そう長が入れるようにと言った。だが、レッシュ氏は聞き入れず、フリードリヒは、追い出されてしまった。そして、フリードリヒは、死んだ。
 もし、私が、そう長だったら、フリードリヒを地下ごうに入れると思う。レッシュ氏の指図に従わないといけなくても、地下ごうに入れるように説得する。ドイツ人もユダヤ人も同じ人間だからだ。
 この本を読んでいる時に、もしも自分が、ユダヤ人だったらと考えてみたことがある。それは、想像以上のこわさで、考えることもつらくなってしまった。今が、「ぼく」やフリードリヒがいた時代ではないことが、とてもうれしい。私は、とても幸せだと思っている。
 ドイツ人の中でもユダヤ人のことがきらいだと、思っている人も、好きだと思っている人もいる。それはそれでいいと、私は思っている。が、きらいだから、ちがう人種だからといって差別したり、殺してしまったりするのは、よくないし、ゆるせない。あたりまえのことだ。
 そこで、私はお父さんに、そのころの状きょうのことをどう思うか聞いてみた。人は、平等に生きる権利があるのに、ユダヤ人というだけで差別をするのがゆるせない、と言っていた。
 私は、差別されたことはないが、いじめられたことがある。思い出したくもないひどい言葉を言われたり、ぶつかってきたりと色々、いやなことをされた。フリードリヒ達のような、「差別」と、私が経験した「いじめ」を比べれば、あきらかに、「いじめ」のほうがたえられると私は、思う。だが、私は、そのたえられる小さな「いじめ」が「差別」に近づく一歩なのだと思う。
 私は、フリードリヒの悲げきを忘れたくない。また、「ぼく」のフリードリヒを失ったくやしさも忘れたくない。

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◎優秀賞
渡辺 彩也乃さん(小3)

読んだ本――『ポリーとはらぺこオオカミ』 キャサリン・ストー作 掛川恭子訳 岩波書店
ポリーとはらぺこオオカミ (せかいのどうわシリーズ)
ポリーとはらぺこオオカミ

【作品】
ポリーとはらぺこオオカミのクリスマス

わたなべ さやの

 ある日オオカミはサンタクロースにばけてポリーをたべようと考え、そりにのりました。とちゅう、道でポリーにあいました。ポリーはオオカミのへんそうにきづかないふりをして、トナカイにこうぶつのしかせんべいをたくさん食べさせました。せんべいには、ねむり薬が入っていて、せんべいをたべたトナカイたちは、たちまちその場でねむってしまいました。おかげでサンタクロースにばけたオオカミは、ポリーの家にはたどりつけませんでした。
   ************
 サンタクロースにばけたオオカミは、やっとのことでポリーの家にたどりつき、正面げんかんから家の中に入っていきました。みんなはねむっていて、明かりがきえていました。ポリーのへやへいく、みちじゅんがわかりません。しかしリビングにあるクリスマスツリーのかざりがぼんやり光ってみえました。オオカミはツリーに近よって、プレゼントの箱を一つあけると、え本がはいっていました。オオカミはその本をよみはじめました。するとだんだんねむくなってきて、とうとういびきをかいてねむってしまいました。朝がきて、あわててオオカミは家をでました。ちなみにオオカミがよんでいた本は、「こどもをはやくねかしつけるほう方」というタイトルの本だったのです。
   *************
 オオカミは、こんどはえんとつからポリーの家にしんにゅうしました。
「やっぱりサンタは昔からえんとつからはいるものだ。」
 えんとつはつめたくて、しんぱいはいりませんでした。なわばしごを使ってやっと下までおりると、へやの中はまっくらでした。オオカミは手さぐりでドアをさがしあてましたが、いくらおしてもひっぱってもあきません。せまいへやの中をぐるぐる回ってほかの出口をさがしましたが、わからなくなり、つかれてあきらめてしまいました。実は、そのへやはまきおきばで、ふだんはぬすまれないように、外からかぎをかけてあったのでした。
   **********
 えんとつからはいってしっぱいしたオオカミは、直せつポリーのへやのまどをあけて、中にはいりました。ポリーはぐっすりねむっていました。
「うまそうだ。これをかければおいしくたべられる。」
 オオカミはさっそくポリーにコショウをたっぷりかけました。するとポリーがくしゃみをしました。あまりにもおおきなくしゃみだったので、おおかみはへやのかべに体をうちつけて、せぼねをおってしまいました。オオカミはせ中をさすりながら、はってさっきはいってきたまどから外に出ました。
「ちゃんとあるけるようになったら、あそびにきてね。」
とポリーはオオカミにいいました。
以上

(注:この作品は『ポリーとはらぺこオオカミ』を元にした二次創作です。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎優秀賞
南 和奏さん(小1)

読んだ本――『むこう岸には』 マルタ・カラスコ作 宇野和美訳 ほるぷ出版
むこう岸には
むこう岸には

【作品】
かわにはしがかかるといいな

みなみ わかな

「むこうぎしには、ぜったいいくんじゃないぞ」
「みてはだめ。わたしたちとちがうのよ。」
 おんなのこのおとうさんやおかあさんは、そういいます。わたしは、むこうぎしには、こわいひとがいるのかなとおもいました。だから、むこうぎしのおとこのこがぼうとをよういして、おんなのこがくるのをまっていたとき、どきどきしました。おんなのこが、むこうぎしにいくとき、かわをわたっていいのかなとふあんになりました。
 でもおとこのこのかぞくは、かみのけのいろやふくそうがおんなのことはちがったけど、やさしかった。たべるものもおとうさんのおしごともあそびかたもいっしょだった。おんなのことおとこのことともだちになれて、わたしはよかったなとおもいました。
 おんなのこのかぞくには、ともだちになったことはないしょにしてるけど、いつかみんなともだちになれるといいな。かわにはしをかけるというおとこのことおんなのこのゆめがかなうといいな。わたしも、じぶんとみためがちがってもともだちになれたらいいな。

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◎ニャーロウ賞
相良 凛さん(小1)

読んだ本――『ペットのきんぎょがおならをしたら……?』 マイケル・ローゼン作 トニー・ロス絵 ないとうふみこ訳 徳間書店
ペットのきんぎょが おならをしたら……?
ペットのきんぎょが おならをしたら……?

【作品】
ペットのきんぎょがおならをしたら。


 うちのいぬもげいをします。
 おすわりとかふせとかごろん。
 きんぎょのふわふわのなまえがへんでした。わたしだったら、らんとか、きんちゃんにします。
 ほえろといったら、くちからあわがでるとおもった。
 おならでえんそうできるようになったのが、すごいとおもいました。
 わたしだったらせかいにひとつだけのはなをおしえたいです。
 わたしはみぎみみにティッシュをいれてひだりみみからだせます。
 げいをいっぱいやっていたのでいぬからにげられるとおもいました。
 いぬにおならをぜんぶすいとられちゃったからおならがでなくなったとおもいます。
 えるびーはおならでえんそうできないとおもいます。どうしてかというと、まほうのきんぎょじゃないからです。
 おしまい

(注:この作品は、金魚鉢の形の冊子になっています。以下でご紹介するのは、ページごとに画像化したものです。各画像をクリックすると、拡大してご覧になれます。――読書探偵作文コンクール事務局)

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 優秀賞を受賞なさったかたには賞状と1000円ぶんの図書カードを、ニャーロウ賞を受賞なさったかたにはニャーロウからの賞状とプレゼントをお送りいたします。
 あらためて、おめでとうございます!

2016年11月03日

読書探偵作文コンクール2016 最終選考会レポート&総評

 最終選考会のもようをお伝えします。

 当日は、1次選考を通過した14作品を熟読のうえ集まった最終選考委員が、みなさんが読んだ本を参照しながら、1作品ずつ検討していきました。それぞれの作品のよい点や惜しい点を挙げながら話し合いを重ねるなかで、評価の高かった作品が7つにしぼられ、そこから最優秀賞3作品、優秀賞3作品、ニャーロウ賞1作品がえらばれました。
 入賞された7作品については、後日、こちらのサイトで全文を掲載させていただく予定です。

 最終選考委員のみなさんから感想やアドバイスをいただきましたので、ご紹介します。ぜひ、これから文章を書くうえでの参考にしてください。


大恵 貴子さん(小1)
読んだ本――『メグむじんとうにいく』(メグとモグのおはなし3) ヘレン・ニコル作 ヤン・ピエンコフスキー絵 ふしみみさを訳 偕成社
メグむじんとうにいく―メグとモグのおはなし
メグむじんとうにいく(メグとモグのおはなし3)

宮坂「本を読んだきっかけから、あらすじ、感想まで、読んでいない人を意識してしっかり書けていて、順序だてて紹介できていますね。文章にないところを想像して補っているところもいいと思います。登場人物たちのその後など、物語の世界をふくらませて楽しんでいるのが伝わってきました」
越前「表紙の絵がきっかけで読んだという正直な感じがいいと思いました。『ホーがすき』というタイトルがストレートで伝わりやすいですね。この本の楽しさが、どの段落からも伝わってきます。絵もかわいくていいですね。この本を読みたくなるような作文です」
ないとう「フクロウのホーの説明など、絵をよく見て文章で表現していると思います。絵本の世界にひたりきって楽しんでいるようすが伝わってきました」


相良 凛さん(小1) 
読んだ本――『ペットのきんぎょがおならをしたら……?』 マイケル・ローゼン作 トニー・ロス絵 ないとうふみこ訳 徳間書店
ペットのきんぎょが おならをしたら……?
ペットのきんぎょが おならをしたら……?

越前「金魚鉢の形という、独創的でこれまでになかった形式で感動しました。1ページ1ページは断片的な情報ですが、物語に強く興味をもたせてくれるような内容でいいですね」
ないとう「1ページ1ページが、本と対話した形になっていますね。驚くようなところもありましたし、こういうふうに受けとめたのかとおもしろく思ったところもありました。これだけのものを最後までていねいにつくりあげていることに感心しました」
宮坂「自由にのびのびと、思ったことを書いてつくっているという印象を受けました。発想がおもしろいし、細かいところまで工夫してありますね。本を読んでいない人にはわかりにくいかもしれないけれど、本のおもしろさが伝わってきました」


日 実生さん(小1)
読んだ本――『ひみつの花園』 フランシス・ホジソン・バーネット作 中村妙子訳 集英社
ひみつの花園 (子どものための世界文学の森 4)
ひみつの花園

ないとう「しっかりした作文です。登場人物の心情を考えて喜んでいて、感受性がすばらしいと思いました。自分の体験もおりまぜていますが、物語の感想にうまくとけこんでいます。全体に幸せな感じが伝わってきて、じんとしました」
宮坂「1年生とは思えないほど文章がしっかりしていますね。物語の登場人物に触発されて、自分も行動を起こしているところがすてきです。幸せ感が伝わってきました。物語をモチーフにした時計も、よくできていました」
越前「時計もよかったし、その感想文もよく書けています。時計をつくることで物語の理解を深めたり、お母さんと共同作業をしたりと、読書の理想的な形ではないかと思いました」


南 和奏さん(小1)
読んだ本――『むこう岸には』 マルタ・カラスコ作 宇野和美訳 ほるぷ出版
むこう岸には
むこう岸には

宮坂「書きだしが印象的で最初からひきこまれました。この本を読んでみたいと思わせる作文です。見た目がちがっても仲よくできるということを学んでいるところに、頼もしさを感じます。外国の人について知るという、翻訳書ならではの楽しみ方ができていると思いました。タイトルに本を読みおえたときの気持ちが凝縮されていますね」
越前「タイトルと書きだしがとてもいいです。短いけれどもすべて自分のことばで、自分の思いを語っていますね。ほのぼのとした気持ちになって、最後まで楽しく読めました」
ないとう「読みながらドキドキしている心の動きが感じられました。主人公と同じ心の動きを体験し、自分のこととして受けとめていることが、とてもよく伝わってきて感動しました」


あーちゃん さん(小2)
読んだ本――『ミランダの大ぼうけん』 ジェームズ・メイヒュー作 佐藤見果夢訳 評論社
ミランダの大ぼうけん (児童図書館・絵本の部屋)
ミランダの大ぼうけん

越前「手紙という形のよさを生かしていて、感動がストレートに伝わってきました。本を読んでいない人にとってもわかりやすい書き方をしています。作文につけてくれた気球の工作も本文とぴったり合っていて、とてもいいと思いました」
ないとう「文だけでなく、絵もよく読みこんでいますね。絵本の内容をよく伝えています。気球の工作の色彩感覚もすばらしいです」
宮坂「主人公のミランダといっしょに冒険してみたいという気持ちが手紙からあふれています。自分で地球儀を確認して実感したり、ミランダの気持ちを想像しているところもいいですね。"すごい" という言葉が多いので、違う言葉も使うともっとよかったかな」


森 小久良さん(小2)
読んだ本――『かえってきたクレヨン』 ドリュー・デイウォルト文 オリヴァー・ジェファーズ絵 中川ひろたか訳 WAVE出版
かえってきたクレヨン
かえってきたクレヨン

ないとう「大好きな絵本と同じ作者が書いていることに気づいたという、この本を見つけたきっかけがうれしいですね。1作目の『クレヨンからのおねがい!』も入れて、2冊合わせての感想としてもよかったかもしれません。最後につけてくれた絵が、この本の内容をうまく要約していると思います」
宮坂「絵本を楽しんだ様子、読んだ喜びが、今回の応募作のなかでもいちばんといえるくらい、よく伝わってきます。2作目についての作文なのに、1作目の内容についてが多くなっているのがちょっと気になりました」
越前「おもしろかったところがストレートに出ています。最後の絵を描くのにさくら色のクレヨンを選んだのは、自分の名前にかけたのかな。発想や色彩感覚もいいですね」


盛永 維さん(小3)
読んだ本――『グレイ・ラビットのおはなし』 アリソン・アトリー作 石井桃子/中川李枝子訳 岩波書店
グレイ・ラビットのおはなし (岩波少年文庫 (004))
グレイ・ラビットのおはなし

宮坂「本に出てくる知らない名前の植物に興味を持ち、深く調べていて、おもしろい読み方だと思いました。どんな植物か想像して、それから調べるところがいいですね。作者の意図まで考えていて、気になったことを追究する力があるのを感じました」
越前「自分の興味の対象をひたすら追いかけるという本の楽しみ方をしていて、それに対する言葉の力強さを感じました。しかも、読む人にわかりやすく伝えていると思います。翻訳書を楽しむという点では、これもひとつの読書の理想型ですね」
ないとう「切り口が新鮮だと思います。まさに行動する読書ですね。行動した結果、新しい洞察が生まれているのを感じます。植物のカタカナの名前からの想像に驚かされました」


吉村 琴里さん(小3)
読んだ本――『木のすきなケイトさん――砂漠を緑の町にかえたある女のひとのおはなし』 H・ジョゼフ・ホプキンス文 ジル・マケルマリー絵 池本佐恵子訳 BL出版
木のすきなケイトさん―砂漠を緑の町にかえたある女のひとのおはなし
木のすきなケイトさん――砂漠を緑の町にかえたある女のひとのおはなし

越前「読書をきっかけにいい経験をしましたね。"なぜなら" など、同じ言葉のくりかえしが気になりましたが、素直な思いが伝わってきました」
ないとう「テラリウムについて初めて知りました。話の内容が少しぼやけているように感じられたのですが、それは書きたいことを全部書いているからかもしれません。取捨選択すると、もっとよくまとまると思います」
宮坂「木が好きなケイトさんと本が好きな自分が似ているというのは、やや無理があるかなとも思いましたが、その好きなものがなかったらと想像してみたのはいいですね。これからもたくさん読んで、たくさん書いて、文章力を磨いてほしいです」


渡辺 彩也乃さん(小3)
読んだ本――『ポリーとはらぺこオオカミ』 キャサリン・ストー作 掛川恭子訳 岩波書店
ポリーとはらぺこオオカミ (せかいのどうわシリーズ)
ポリーとはらぺこオオカミ

ないとう「2次創作としてとてもよくできていると思います。笑いのポイントをおさえていますし、ピリッとわさびが効いているところもあって、セリフまわしもしゃれていますね。意外性があって驚かされ、センスを感じます」
宮坂「とてもおもしろい本なので、続きを書きたくなる気持ちがよくわかります。ユーモアがたっぷりなのに、詩的な描写もあり、オオカミの特徴もよく書けていますね。ポリーがあまり出てこないのが少し残念でした」
越前「2次創作であることがちょっとわかりにくいので、何らかの形で一言あるとよかったかもしれません。情景がビジュアルに浮かんでくるような書き方がわかっているなと思いました」


S・Nさん(小5)
読んだ本――『あのころはフリードリヒがいた』 ハンス・ペーター・リヒター作 上田真而子訳 岩波書店
あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))
あのころはフリードリヒがいた

宮坂「物語の内容を真剣に受けとめて考えている様子がひしひしと伝わってきました。『アンネの日記』を思い出したり、お父さんに意見を求めたり、自分のいじめ体験との関連性に気づいたりと、思考が広がっているのがわかります。「小さないじめが差別に近づく一歩」という言葉にははっとさせられ、最後の決心には頼もしさを感じました」
越前「人に読ませる文章の書き方がわかっていますね。年代を追って書いたり、「ぼく」にカギカッコをつけて読みやすくしたりと、大人レベルの工夫をしています。本に書かれている時代について学んだり、べつの本とつなげて考えたりするなど、読書体験としても理想型です」
ないとう「この本の「ぼく」のように、自分も差別する側に立ってしまうかもしれないと書きながらも、『アンネの日記』を思い出し、協力した人たちも命がけだったのだと気づけたのはすごいこと。本を読んで、これだけ思考を深め、想像することができれば、本当に世の中がよくなるだろうと思わせてくれる力があります」


須貝 綾さん(小5)
読んだ本――『小公女』 フランシス・ホジソン・バーネット作 脇明子訳 岩波書店
小公女 (岩波少年文庫)
小公女

越前「悪役(ミンチン先生)のことをちゃんと評価しているのがいい。本を紹介する姿勢がきちっとできている文章です。ただ最後のまとめが少し教科書的だったので、自分の言葉でもうひとひねりしてほしかったですね」
ないとう「楽しんで読んだことがわかります。おもしろいのは、殺風景な部屋が実際にすてきな部屋になる過程ではなく、それを空想するところが心に残ったと書いていること。ミンチン先生の育ち方がちがっていたらいい人になっていたかもしれないという発想がどこから生まれたのか、興味がわきました」
宮坂「読むきっかけが、題名を英訳すると「リトルプリンセス」だからというのがおもしろいですね。小公女と自分を比較したり、自分ならパンを全部食べると正直に書いたりしているのもよかったです。タイトルが「ほこりをもって生きる」なので、どういうところにほこりを感じたのかもう少し書いてほしいと思いました」


田中 愛麗さん(小5)
読んだ本――『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル作 脇明子訳 岩波書店
不思議の国のアリス (岩波少年文庫 (047))
不思議の国のアリス

ないとう「なぜ数学者が子どもの物語を書けるのかと驚いて、「普遍」というキーワードを使って自分なりに思考して謎を解こうとしたのがおもしろいです。田中さんにとって『アリス』のテーマは「ふつうなんてものはない」ということに思えたので、そちらをメインにして書いてもよかったかな」
宮坂「感想文の枠を超えて論文になっていますね。キャラクターの紹介からは物語の雰囲気まで伝わってきます。物語から発展させて、「ふつう」について考察しているのもよかったです。読者に語りかける明快な文体、傍点やダーシの使い方も上手。タイトルも作文の内容をきちんと伝えているし、出だしと結びもしっかり呼応しています」
越前「読者を想定して書く作品紹介としては今年いちばんの完成度で、プロのあとがきに近い。本だけでなく、あとがきや解説もたくさん読んでいることがわかります。登場人物紹介は、目のつけどころがよく、きらいなほうを先に紹介しているのもおもしろい。「ふつう」論は、アリスの物語の本質をついていますね」


冨本 真由さん(小5)
読んだ本――『ピトゥスの動物園』 サバスティア・スリバス作 宇野和美訳 あすなろ書房
ピトゥスの動物園
ピトゥスの動物園

宮坂「仲間と力を合わせてがんばるところに感動した気持ちがよく伝わってきました。50年前の本だと知っていたら読まなかったかもしれないと正直に書いていて好感が持てます。ただ、手紙形式とはいえ、どうして動物園を作ることになったのか触れてあるといいなと思いました」
越前「あなたの本はこれしか知らないのですが、という書きだしが正直でほほえましい。作者へのメッセージになっているからこそ、好きなキャラクターの説明が生き生きとしていると感じました。手紙形式にする必然性を感じる作文です」
ないとう「「私がビシッと言います」という表現が頼もしい。自分がどういう人なのか説明しなくても伝わってきました。あなたは子どもの気持ちをよく知っているから省略せず大切に書くことができたのですね、という部分は、まさにこの本の本質を言い当てていると思います」


内山 満里菜さん(小6)
読んだ本――「マジック・ツリーハウス」シリーズ全巻 メアリー・ポープ・オズボーン作 食野雅子訳 メディアファクトリー
マジック・ツリーハウス 第1巻恐竜の谷の大冒険 (マジック・ツリーハウス 1)
恐竜の谷の大冒険 (マジック・ツリーハウス 1)

越前「このコンクールを読書のきっかけにしてくれていて、理想的な作文です。「ファンタジー」と「リアル」といったカタカナの言葉づかいが的確で表現も豊か。作者の知識量を自分でも吸収し、ほかの人に読んでほしいとすすめる流れが自然で、このような作文に要約本をつける形式をとった理由がきちっとわかります」
ないとう「シリーズ全巻のまとめは作文の付録だけど、これは大変な労力。40巻もまとめる根気はすごい! 作文は心に残った一話とともにシリーズ全体の特徴が描かれ、すばらしい紹介文になっています。昔の人物が今の自分たちと同じ悩みをかかえていたことがわかり、歴史が好きになったというところは、作者が聞いたら泣いて喜びそうです」
宮坂「段落分けや接続詞の使い方などは少し気になりましたが、このシリーズが大好きだから広めたいと思い、これだけの分量の要約本と地図まで作ったのはすごいと思いました。歴史を学ぶ大切さに気づき、みんながこの本で学べば平和につながると考えているところもよかったです。タイトルにも思いがあふれています」

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【総評】

越前「今年もたくさんの人たちがおうぼしてくれて、かんしゃしています。どんなところに心を動かされたかを、自分のことばで力強く伝えること。そして、読む人がわかりやすいような書き方のくふうをすること。作文ではどちらも大切です。今回受賞した人たちの作文の多くは、その両方に気をくばったものでした。それができるようになるには、何よりまず、たくさん本を読むことです。大好きな本をどんどん見つけて、ぜひ来年もおうぼしてください」

ないとう「今年も、すばらしい作品を送ってくださって、ありがとうございました。笑ったり、うなずいたり、じんとしたりして、心から楽しみながら読むことができました。選考会の様子や、第1次選考委員からのコメントを読んでいただければわかると思うのですが、受賞したかしないか、1次選考を通ったか通らないかの差は、ほんとうに紙一重の場合も多いのです。わたし自身、全員に賞をあげたいと思いながら読んでいました。だから、選考からもれてもがっかりせず、来年も楽しい本をたくさん読んで、ぜひぜひまたすてきな作文を送ってくださいね。お待ちしています!」

宮坂「世界の本を旅する読書探偵のみなさん、今年もいろいろな作品をさがしだして、そのおもしろさをわたしたちに教えてくれて、ほんとうにありがとう! どんな登場人物がいたか、どんなできごとが書かれていたか、そのとき自分はどう思ったかなどが生き生きと伝わってくる作文ばかりでした。絵や工作はあくまで作文のおまけとして募集していますが、そのおまけからも熱い思いがあふれていたように思います。来年もわたしたちの心をズキュンと打ってくれる作文&おまけを楽しみにしています」

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 今年も心のこもった作文をよせてくださったみなさん、ありがとうございました。読書探偵作文コンクール事務局では、来年も同様のコンクールを開催する予定です。また、現在調整中ですが、ひょっとしたら中高生部門も開催されるかもしれません。そちらの情報もふくめて、今後も当サイトでおすすめの本やコンクールの情報を発信していきます。来年もまた、みなさんの心に響いた本のことを作文にして教えていただけたら、大変うれしく思います。