2024年01月01日

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2023年01月25日

読書探偵作文コンクール2022 最優秀賞 全文掲載

 最優秀賞を受賞なさった大北隼矢さん、今林玲奈さんの受賞のことばと作品全文をご紹介いたします。
 なお、選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2022 最終選考結果発表!

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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◎最優秀賞
大北 隼矢さん(小6)

読んだ本――『クララとお日さま』 カズオ・イシグロ作 土屋政雄訳 早川書房
クララとお日さま
クララとお日さま

【受賞のことば】
 一年生の時から応募していた、大好きなコンクールの【小学生部門】で有終の美を飾れて、すごくうれしいです。
 最初は、まだ字の多い本が読めなくて、絵本の一行だけの感想文でした。毎年、読める本が少しずつ増えて、文章もだんだん長く書けるようになってきました。
 ぼくは、小さな頃から「なんで?どうして?」と考えることが大好きです。
 これからもいろんな本を読み、たくさん考えて、気付いたことを文章にしていきたいです。

【作品】
「受験勉強の合間に」


 「期間限定の友だちは、いる?」
 そう聞かれたら、困ってしまう。
 ぼくは、友だちと長く付き合っていきたい。そもそも、友だちって死んじゃうとか別れるとかは、確定していないものだし。やっぱり、すぐにいなくなっちゃうのなんて、いやだ。
 だから、「お友だちロボット(AF)とは、大人になってから出会えたらいいのに」と思ってしまう。大人の期間は長いけれど、ティーンエイジャーの期間なんて、とても短いからだ。
 この本を読むと、『トイ・ストーリー』や『鉄腕アトム』を連想する人も多いみたいだけれど、ぼくは犬と、『ワンピース』の「ドレスローザ」という、人とおもちゃが暮らす国を連想した。そして、どこかで読んだ「友だちロボットを作れるのは、アジア人だけ」という記事を思い出した。
 すごくおもしろくて、読みだしたら止まらなくなった。たいていの小説は、夜ふかしを一回すれば読めるのだけれど、この本は分厚いので、四回くらい夜ふかしをしてしまった。
 ぼくが一番すきな登場人物は、リックだ。嫌な感じの人に、みんなの前で勇気ある行動を取ったり、最後に納屋へ連れていってくれたりして、とてもやさしい。ぼくは、やさしい人が大すきだ。
 そして、ぼくは、ハッピーエンドが大すきなので、六部からの話はなくていいと思った。(作者さん、ごめんなさい)
 どうせなら、奇跡が起きたところで、幸せいっぱいのまま、終わってほしい。
 でも、六部があるのなら、ラストは、廃品置き場で放置(それとも、スクラップされるの?)じゃなくて、家族の手で電源を切るとか、家に連れて帰った責任として、ちゃんと看取ってから、終わりにしてほしい。
 本を読んだ後に、この本に関わっていた人のインタビューを見たり、聞いたりした。
 すると、いろいろな発見があった。 
  発見一 作者のインタビュー
 作者は、本を作る時に、絵本からたくさんの影響を受けたそうだ。
 そういえば、友達に、この本を勧めた時、「なにそれ? 絵本?」と聞かれたのを思い出した。
 「ううん。四三三ページもある小説」といったら、友達は、「えぇーっ!」とびっくりしていた。
 また、作者は、「AIが感動させたり、泣かせるようになったら危険だ」といっていた。 「本当に、それは怖いことなのかな?」
 もし、そんなことができるAIが生まれたら、ぼくは、友だちになってみたいと思った。時間を限定しない友だちに。 
  発見二、ほん訳者のインタビュー
 ほん訳者は、作者からの注文で、クララだけが使う言葉、「クララ語」を考えなければならなかったそうだ。
 「シャーピ鉛筆って、クララ語だったんだ!」と、ぼくは驚いた。ぼくの知らない商品だと思っていたからだ。
 他にも、クララが何をいっているのかわからいところがあったけれど、それはすべて、ぼくの知らない日本語だと思っていた。
 ほん訳者が、「聞きなれないけど、ピンとくる言葉」を上手に作っていることに気付いた時、ぼくは感動していた。
 また、ぼくは、タイトルの「お日さま」という言葉と、「さま」のひらがながいいなと思っていたけれど、最初は漢字だったのに、その後に偶然、ひらがなになったと知り、そんなことってあるんだと、驚いた。
  発見三、装丁をした人のインタビュー
 アメリカ、イギリス版の表紙は、オレンジ色に四角のデザインで、四角の中からお日さまが少し顔を出しているものだと知った。
 ぼくは、絵本っぽくて、あたたかい雰囲気の日本版の表紙が好きだ。
 一冊の本が出来るまでに、作者やほん訳者、装丁や校えつ、出版社の編集や営業、印刷所などの、いろいろな人が関わりあって、本を作っているのだと知り、すごくすてきなことだと感じた。
 最後に、作者は、世界のほん訳者がまちがいにくいように、イギリス英語ではなく、ほん訳しやすい英語を使っているのだという。受験が終わって時間ができたら、次は、英語版も読んでみたい。

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◎最優秀賞
今林 玲奈さん(小3)

読んだ本――『小さなトロールと大きな洪水』 トーベ・ヤンソン作 冨原眞弓訳 講談社
小さなトロールと大きな洪水
小さなトロールと大きな洪水

【受賞のことば】
 この度は最優秀賞に選んでいただきありがとうございます。
 受賞のきっかけを作ってくれた作者のヤンソンさん、ムーミンと仲間たち、そしてこの物語を日本語になおし紹介してくれた方々に心から感謝します。
 今回私は作文を書くことで、物語を何度も読み、本の世界に入っていきました。これからムーミンを読もうと思っている方もぜひ深読みしてみてください。最初は気づかなかった作者のメッセージに気付いたり、外国の文化についても分かり、もっと楽しくなるはずです。

【作品】
「T・ヤンソンとえい遠の仲間たち」


 私は読書の本をえらぶ時、本のうら表紙やおびのせつ明を読んで決める。この本には、「ムーミン童話の記ねんすべきだい一作」と書かれていた。これまでにも、ムーミンの本は何さつか読んだことがあったが、一作目からあらためて読みたいと強く思った。
 このお話は、小さなムーミンたちが、いなくなったパパと温かい場所をもとめて深い森をさまよい、出会ったみんなとたすけ合いながら、さい後はパパを見つけムーミン谷を作り出すというハッピーエンドで終わる。
 私がこれまでに読んだムーミンの話もだいたいハッピーエンドで終わる。小せつ家でたび好きのパパ、料理がとくいでやさしいママ、みんなと遊ぶのが大好きなムーミントロールの一家の所には、いろんなお客がやってくる。お客は小さかったり大きかったり、こわがりだったり、いろんなとくちょうを持つかわった生き物で、じけんもおこるけど、ムーミン一家は何をしてもいいという風に温かくうけとめてあげる。オノマトペでいうなら、と中でドキドキ・ワクワク、さい後はポカポカ・ニッコリというのがよくあるムーミンのお話だと思う。
 この『小さなトロールと大きな洪水』を読んだ時、ワクワクしたかんじがあまりなく、さい後もポカポカというよりキラキラしたかんじがした。なぜだろう。
 うら表紙をもう一ど見ると、「だい二じ世界大せんき、トーベ・ヤンソンが安らかさをもとめて書いた」と書いてあった。この話では、ムーミンたちは長い間、森をさまよいとほうにくれている。そしてさい後のさい後にとつぜん光にてらされ、明るい場面になる。私はこの長い間のくらさと不安と苦しみはせんそうを表しているのかなと思った。反対にさい後のキラキラした明るさは終せんのよろこびと幸せを表しているのかもしれない。森をさまよっている間ムーミンはさびしくてつらかったにちがいない。でも、パパを見つけるまであきらめなかったし、洪水にもまけなかった。ついに温かい場所についた時の安心とよろこびはどれほどだろう。いたる所に目をみはるほどきれいな花がさいている。ヤンソンさんはせんそうが終わったらきっとこんなふうに温かくキラキラした世界になるにちがいないと考えてこの本を書いたのではないか。
 さい後に、もしヤンソンさんが今ムーミンのお話を書いたら、どんなお話になるだろうか。今も世界には、せんそうやコロナや地球温だん化などの問題がたくさんあってとてもこわい。ヤンソンさんは、不安な時代だからこそ、とびっきり面白くて楽しい話を書くのではないか。そうして、世界の人々に楽しさとえ顔をとどけてくれると思う。
 そして、ムーミンたちがムーミン谷に来るいろんなお客をやさしくうけとめたように、すがたや考えが自分とちがっても、みんなで仲よくするんだよと私たちにやさしく教えてくれるにちがいない。

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 最優秀賞を受賞なさったおふたりには、賞状と5000円ぶんの図書カードをお送りします。
 あらためて、おめでとうございます!

2023年01月20日

読書探偵作文コンクール2022 優秀賞・ニャーロウ賞 全文掲載

 優秀賞を受賞なさった川上莉央さん、古市湊大さん、竹内一路さん、ニャーロウ賞を受賞なさったはるさんの作品全文をご紹介いたします。
 なお、選考結果につきましては、以下の記事をご覧ください。
読書探偵作文コンクール2022 最終選考結果発表!

(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)
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◎優秀賞
川上 莉央さん(小6)

読んだ本――『世界で一番の贈りもの』 マイケル・モーパーゴ作 マイケル・フォアマン絵 佐藤見果夢訳 評論社
世界で一番の贈りもの
世界で一番の贈りもの

【作品】
「クリスマスの贈りもの」


 私がこの本を手にとったきっかけは、あるバンドの曲でした。その曲でクリスマス休戦について興味を持った私は、学校の図書室で平和についての本を探していたところ、この本に出会いました。
 この本のタイトルは『世界で一番の贈りもの』です。私はこの本の中で二つの“世界で一番の贈りもの”を見つけました。
 一つ目は第一次世界大戦中のイギリスとドイツ両軍の間にもたらされたクリスマス休戦です。この休戦は両軍で定めたわけではなく、クリスマスを一緒に祝おうという気持ちが通じあって生まれたものです。もし誰か一人でも攻げきしていたらなかったであろう、奇跡のような出来事です。今はそれぞれの国の兵士として戦いの最前線にいても、元は教師や、楽団で楽器を演奏していた普通の市民。それぞれに大切にしている故郷や家族がいます。そんな人達が互いに殺し合い、自分自身もいつ死ぬか分からないという肉体的にも精神的にも苦しくて厳しい状況の中で、武器ではなく手をさしのべ暖かい握手を交わし、笑い合い話し合いお酒や食べ物を分け合う平和な時間。その時代に出会っていなければもっと違う関係になっていたかもしれない。そんな人達がなぜ戦わなければいけなかったのか。お互いに憎んだり恨んだりしているわけではないのに。戦争は改めて不幸なことだと考えさせられました。
 残念ながら幸せな時間は長くは続きませんでした。どちらの軍の兵士も、戦争が終わって早く家族のもとに帰れるよう願っていることは分かっているのに、どうしようもありませんでした。悲しいけれど、それが戦争なのだと思います。ですが、つかの間の思いやりに満ちた心あたたまる時間はイギリス・ドイツ両軍の兵士にとって“世界で一番の贈り物”だったにちがいないと思います。
 私が見つけたもう一つの“世界で一番の贈りもの”は『ぼく』からイギリス兵ジムの妻コニーに届けられた手紙です。この手紙は、『ぼく』ががらくた屋から買ったおんぼろの引き出しから見つけたもので、ジムというイギリス兵が妻のコニーに宛てて書いた、最後の手紙でした。その手紙には「ジムからの最後の手紙。千九百十五年一月二十五日受取。私とともに埋そうのこと」というメモがつけられていました。その手紙をコニーに届けると決めた『ぼく』はクリスマスの日に手紙に書いてある住所に向かいます。コニーが生きているか、そこにいるかわからないのに、いてもたってもいられなかったんだと思います。コニーは百才をこえ少々もうろくして施設にいましたが、『ぼく』が手紙を届けると顔中が喜びでかがやきはじめました。そして涙を流しながら『ぼく』に向かって『ジム』と語りかけます。『ぼく』をジムとまちがえてはいるけれど、クリスマスの日に手紙とともに自分のもとにジム(ぼく)が帰ってきてくれたことは、たとえそれが本人でなくても、コニーにとって“世界で一番の贈り物”だったと私は思います。
 今、私がこの感想文を書いている間もウクライナでは激しい戦いが続いています。一刻も早くロシア・ウクライナ両軍、両国民に、“世界で一番の贈り物”が届けられることを強く願っています。ジムのように大切な家族の元に帰れない人がこれ以上増えないように、そしてコニーのように大切な人の帰りを待ち続ける人がいないように。
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◎優秀賞
古市 湊大さん(小4)

読んだ本――『おおきな木』 シェル・シルヴァスタイン作 村上春樹訳 あすなろ書房
おおきな木
おおきな木

【作品】
「考えることが好きな人へ」


 ぼくはこの本と図書館で出会いました。かりてみて、読んでみたらとてもいい話だなと思いました。何度も読んでみたいと思い、買うことにしました。その後、何度も読んでいます。
 この作者、シェル・シルヴァスタインさんはとてもいい話を作ったと思いました。「なんでだろう」と読んだ人をなやませるところがいいなと思います。
 この本は、いつも木といっしょに遊んでいた少年が大好きだった木を切ってしまうお話です。少年は小さいころから木の所に来て、お話したり、お昼ねをしたり、かくれんぼをしたり、いろいろなことをして木と一しょにすごしてきました。でもある日、少年は、自分の家がほしいと木に言いました。木は、「家がほしいのならば、わたしの木の枝を切って作りなさい」と言いました。そして少年は言われた通りにしました。船を作りたいと少年が言いました。少年は言われた通りにして木を切りました。
 お話が終わった後、その後少年はどうなったのか、木はどうなったのか、気になります。ふしぎなことがいっぱいあります。なぜ少年は木の言う通りにしたのか。これの続きがあるのかしら?と思います。表紙にあるようにりんごを取って町に売るところの話がないのはなぜだろう。作ってもよかったのではないかなと思ったりします。
 心に残ったのは少年が木のみきを切ってしまうところです。このことがきっかけとなり、少年は大事な物を失ってしまったのではないかと思いました。他にもいっぱいありますが、特に印象的な場面が少年が木を切ってしまったところでした。
 これを読んでぼくだったら、大事な物は残すけれど、少年は大事なものはどうでもいいみたいな感じだと思いました。少年はなぜ木を切ってしまったのか今でもふしぎに思います。
 ぼくはこの本を考えることが好きな人に読んでもらいたいと思います。ぼくにもわからないことがたくさんあったので、いっしょに考えてくれるとうれしいです。
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◎優秀賞
竹内 一路さん(小1)

読んだ本――『ぺちゃんこスタンレー』 ジェフ・ブラウン作 トミー・ウンゲラー絵 さくまゆみこ訳 あすなろ書房
ぺちゃんこスタンレー
ぺちゃんこスタンレー

【作品】
「ぼくもぺちゃんこスタンレー」


 この本は、ぺちゃんこになったスタンレーが、そとをぼうけんしたり、おてつだいしたりするおはなしです。
 スタンレーが、ぺちゃんこになったあと、くうき入れに口をつけてからだにくうきをいれて、もとのかたちにふくらんだところがおもしろかったです。でも、ぼくは、スタンレーがぺちゃんこのままで、もとにもどらなくてもたのしそうだとおもいました。
 スタンレーは、ぺちゃんこじゃないとできないことができるようになったから、もし、ぼくがスタンレーだったら、まずは、よる、ねるじかんに、本のページのあいだにはさまって、ずっと本をよんでいたいです。どうしてかというと、ぼくは、本がだいだいだいすきなのに、いつも八じになると、おかあさんから「はやくねなさい。」といわれて、まだつづきがよみたくても、ねなくちゃいけないので、すごくざんねんだからです。
 それから、大きいふうとうに入って、とおくにすんでいるおじいちゃんたちのところにおくってもらいたいです。そうすれば、もしでんしゃがおくれてもおうちにいけるし、おじいちゃんたちといっしょに、かべにくっついてかくれんぼしたり、土にもぐってかせきをみつけたりできるからです。
 いえにかえってきたら、かべにくっついてささっとうごいてかぞくをびっくりさせたり、テレビやパソコンがこわれたらその中に入ってどこがこわれているかしらべて、なおしてあげたいです。それから、一人でねるのはこわいから、こっそりおかあさんのベッドに入っていっしょにねたいです。
 ぺちゃんこになったら、だれかにふみつぶされちゃうかもしれないから、ずっとぺちゃんこのままはちょっとしんぱいだけど、いちどでもいいからぺちゃんこになってみたいです。
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◎ニャーロウ賞
はる さん(小2)

読んだ本――『さかさ町』 F.エマーソン・アンドリュース作 ルイス・スロボドキン絵 小宮由訳 岩波書店
さかさ町
さかさ町

【作品】
「わすれよ科」


 「ぜんぶのことがサカサマの町があったらどんなに楽しいだろう!」この本を読んだぼくの感想です。この本に出てくる町の文字はぜんぶサカサマで書いてあって、家もサカサマにたっていて、車も後ろむきにすすみます。大人があそんでいて、子どもがはたらいています。お店では店員さんがお金をはらって、おきゃくさんはお金をはらわずにしょう品とお金をうけとってかえります。そんなふしぎな町のお話です。
 ぼくがこの本に教わったことは、たまにはわすれることも大事だということです。本の中で、学校のじゅぎょうに、わすれよ科という教科があります。そこでは先生が、いやなこととかしっぱいをわすれて前向きになったら今よりもっとしあわせがふえるかもしれないと教えていました。ぼくはそんなことを今まで考えたこともありませんでした。でもとてもよい考えだと思いました。たとえばぼくだったら、習っているサッカーでシュートをはずしちゃったことがあって、くやしい気持ちになったことがあります。けれどそのいやな気持ちをわすれてまたがんばったらゴールを決めることができて、うれしい気持ちがふえるということだなと思いました。いつもの学校や家では、わすれましょうとは習わないけど、わすれることってだいじなんだなと気付きました。
 当たり前をサカサマにしても、おもしろいこととかためになることがあるとわかったし、いつもの当たり前の中でもおもしろいことはあるから、ぼくの今までの当たり前と、さかさ町の当たり前を合体させたら、毎日がもっとおもしろくなるんじゃないかと思いました。これからは何かがあった時に、ここがさかさ町だったらどうなるんだろうなあと考えながら生活してみようかなって思います。
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 優秀賞を受賞なさったかたには賞状と1000円ぶんの図書カードを、ニャーロウ賞を受賞なさったかたにはニャーロウからの賞状とプレゼントをお送りします。
 あらためて、おめでとうございます!

2023年01月12日

2022年会計報告

2022年1月〜12月の収支報告をいたします。

<収入の部>
 
 前年繰り越し
142,041円
 カンパ金
86,759円
 出版にともなう収益
639円
 小計
229,439円
 
 
<支出の部>
 
 企画諸経費
17,658円
 賞品関連経費
86,748円
 通信費、振込手数料等
27,027円
 小計
131,433円
 
 
総計(残高/2022年12月末)
98,006円

※カンパの詳細についてはこちらをご覧ください。
あらためまして、みなさまのご協力に感謝いたします。

2023年01月10日

読書探偵作文コンクール2022 最終選考会レポート&総評

 最終選考会のもようをお伝えします。

 今年もWeb会議ツールを使用して、オンラインで選考会をおこないました。例年どおり3名の最終選考委員が、1次選考を通過した12作品を1作品ずつ検討していき、話し合いを重ねた結果、最優秀賞2作品、優秀賞3作品、ニャーロウ賞1作品が選ばれました。
 入賞した6作品については、後日、こちらのサイトで全文を掲載する予定です。
 最終選考委員のみなさんから、1次選考を通過した作品それぞれへの感想やアドバイスをいただきましたので、ぜひ、これから文章を書くうえでの参考にしてください。

竹内 一路さん(小1)
読んだ本――『ぺちゃんこスタンレー』 ジェフ・ブラウン作 トミー・ウンゲラー絵 さくまゆみこ訳 あすなろ書房
ぺちゃんこスタンレー

宮坂「スタンレーみたいに自分もぺちゃんこになって普通はできないことをしてみたい、という気持ちがとても素直に書かれている作品です。体がぺちゃんこになるということのインパクトが強かったのでしょうね。ぺちゃんこになったら本のあいだにはさまってずっと本を読んでいたい、という発想もおもしろい。本当に本が好きなんだなと感心しました。一方でひとりで寝るのはこわいからお母さんのベッドにはいりたい、という小学1年生らしい部分もあって、ほほえましく感じました」
ないとう「読みながら声をあげて笑ってしまいました。ぺちゃんこになったら郵便でおじいちゃんのところに送ってほしい。そして土にもぐって化石を見つけたいなど、「おもしろいこと」の発想がすばらしい。海外の小学校ではスタンレーの切りぬきを実際に知りあいや別の学校の子どもに送る活動も行われています。ほんとうに子どものあこがれを刺激する作品なんだなと思いました」
越前「楽しい作文。直球勝負というのか、わかりやすくてぶれがなく、一直線に楽しいことを語っています。だんだん夢が広がっていくような感じがとてもすがすがしい。自分はこうしたい、というところから、ほかの人への思いやりへ変わっていくところもいいですね」


はる さん(小2)
読んだ本――『さかさ町』 F.エマーソン・アンドリュース作 ルイス・スロボドキン絵 小宮由訳 岩波書店
さかさ町

ないとう「短いけれどまとまりがあり、語り口がよくて、声が聞こえてきそうな作文。『さかさ町』のなかでも「わすれよ科」のことに的をしぼって書いています。わすれるって大切なんだなという気づきや驚きをとてもじょうずに書いていていいなと思いました。「今までの当たり前と、さかさ町の当たり前を合体させたら、毎日もっとおもしろくなるんじゃないか」というのもいい結論。「さかさま」にからめて『アベコベさん』(フランセスカ・サイモン作 ケレン・ラドロー絵)という絵本もおもしろいのでぜひ読んでみてください」
越前「作品のおもしろさの本質的なところを見抜いて、それをしっかり自分のものにし、血や肉になっている感じを受けました。驚きやわくわくした感じをうまく言葉であらわしています。わすれよ科のことをいいたいのか、さかさまのことをいいたいのか、どっちつかずになっている印象があったので、タイトルか構成を工夫したらもっとよかったかもしれません。全体として、ぜんぶさかさまという設定がおもしろく、このお話を読んでみたいと感じました」
宮坂「あらすじ、本から学んだこと、自分だったらどうするかという点が順を追って書かれていて、短いけれど、とてもわかりやすい作文です。小学2年生でこのようにまとめられるのはすごい。本を読んだことでわすれることの大切さに初めて気がつき、それを習っているサッカーに当てはめて具体的に考えているところが特にいいですね。本を読んで実生活に役立つ発見ができたのは、ある意味、理想的な本の読み方かもしれません。常識を疑うのは大事なことだと思います。「ここがさかさ町だったらどうなるんだろうなあと考えながら生活してみようかな」とあるとおり、ぜひ折にふれてさかさ町のことを思い出してみてください」


今林 玲奈さん(小3)
読んだ本――『小さなトロールと大きな洪水』 トーベ・ヤンソン作 冨原眞弓訳 講談社
小さなトロールと大きな洪水

越前「感想をこえて論評のレベルに達しています。3年生でここまで書けることに驚きました。また、ボキャブラリーも豊富ですね。まず疑問を提示しても、そこで終わってしまう作文が多いなか、この作文は疑問に対する答えを自分で考え、仮説を立てて実証していくという流れで、ハイレベルの論評になっています。筋道立った論考のあと、最後にかわいらしい絵のしおりがくることによって、作品世界が立体化する感じを受けました。すばらしいです」
宮坂「本をえらんだ理由からはじまって、あらすじ、シリーズ全体について、さらにこの作品から感じたことを述べるという流れで、理路整然と書かれていて、段落わけもしっかりしています。シリーズの特徴をオノマトペでいいあらわした独特の表現も、読んでいて楽しかったです。ユニークだし、ちゃんと特徴をとらえていますね。もしヤンソンさんが今ムーミンのお話を書いたら、と想像して、「すがたや考えが自分とちがっても、みんなで仲よくするんだよと私たちにやさしく教えてくれるにちがいない」と断言しているところに、頼もしさも感じました」
ないとう「最初にこの作文を読んだときに涙がでました。ムーミンシリーズの奥底に流れているほの暗さや不安感をしっかり受けとめて、それがなぜなのかを追求し、戦争の不安をあらわしているのだろうと思いいたった洞察力に感心しました。現在の戦争やコロナ、温暖化などの不安を肌で感じとっていることが伝わってきます。また、自分の考えにだけひきつけて書いていくのではなく、作品のなかの美しい場面を紹介しながら、この本がどういう本なのかをちゃんと伝えているところもすばらしい」


菊地 璃心さん(小3)
読んだ本――『おきゃく、おことわり?』 ボニー・ベッカー文 ケイディ・マクドナルド・デントン絵 横山和江訳 岩崎書店
おきゃく、おことわり?

宮坂「本を読んだことをきっかけに、2年生のときの体験を思いだして書いてくれた、エッセイのような作品です。ひとりぼっちでいた子に声をかけたあとどんなふうに友だちになっていくのだろうと、興味をもって読み進めました。また、そのような子に積極的に話しかけるということから、すごく優しい性格なのだろうということが、作文から伝わってきました。「今は、いつもマスクをしているので、目をよく見て言葉で伝えることをたいせつに」という部分に、コロナ禍は友だちになる場面にも影響していると気づかされ、はっとしました」
ないとう「内気なクラスメートと2学期のあいだずっといっしょに過ごして、3学期になってから初めて「お友だちになろう」といわれたというあたりが、とても小学生らしくリアルでいいと思いました。ネズミと自分に共通点を感じたということなので、本のなかのどの部分がどんな風に似ているか、ひとつかふたつ具体例があると、読書の作文らしくなるし、この本を読みたいと思う人がもっと増えるかもしれません」
越前「構成、段落のわけ方、話の流れなどから、教室の情景や友だちの顔が見えてくる作文です。でも、もう少し本の話をしてほしかったかな。なぜ自分がネズミと似ていると思うのか、どうしてこの友だちの話を思いついたのか、というところをくわしく聞きたかったです。マスクをしている風景がビジュアルとして浮かんできたことが、とても印象に残りました」


ちゅんちゅん さん(小3)
読んだ本――『ローワンと魔法の地図(リンの谷のローワン1)』 エミリー・ロッダ作 さくまゆみこ訳 あすなろ書房
ローワンと魔法の地図(リンの谷のローワン1)

ないとう「ローワン自体の紹介はごく小さくて、簡潔にまとまってはいるけど、もう少しくわしく読みたいかなと感じました。文章がしっかりしているので、新聞とはべつに単独のレビューも書けそう。「ちゅんちゅん新聞」の編集力はすごいですね。絵の上手な友だちへのインタビューコーナーがおもしろかったです」
越前「本の紹介文はとても短いのですが、ここまで短くまとめるためには高いレベルが必要です。自分自身の言葉で、高度な内容を指摘していると思います。とても簡潔に本質をついていて、表現もいいですね」
宮坂「短いけれど簡潔にまとまっていて、概要もちゃんとわかり、本を読んでみたくなりました。「常識外れ」だからといって「有り得ない」わけではない、という考察はするどいですね。新聞を定期的に作っているとのこと、これからも続けてほしいと思います。これまで書いた書評欄をまとめてみるのもおもしろいかもしれません」


古市 湊大さん(小4)
読んだ本――『おおきな木』 シェル・シルヴァスタイン作 村上春樹訳 あすなろ書房
おおきな木

越前「この本を何度も読みたくて買うことにした、というその情熱がすごい。「読んだ人をなやませるところがいい」といういい方がおもしろく、この本の本質をついています。ふつうなら読み過ごしてしまうところを疑問に思い、その疑問に対してすぐには結論をださずに迷っている。自分の迷いがそのままでている書き方をしているのもいいと思いました。全体としては、少し話にまとまりがない感じがあった点が残念で、構成にもうひと工夫ほしかった。ただ、作文を読んだ人がこの本を読みたくなるか、という意味では、まちがいなく読みたくなるだろうと思わせる作文でした」
宮坂「本を読んでもやもやした気持ちを素直に書いている作文。大人が読んでも考えさせられる本なので、「ぼくにもわからないことがたくさんあったので、いっしょに考えてくれるとうれしい」というのは正直な気持ちだと思います。なぜ少年は大事にしていた木を切ってしまったのかという点に引っかかっているというのもよくわかります。「読んだ人をなやませるところがいい」と書いているのが印象的で、考えることを楽しめる子なんだろうと感じました。大人になって読んだら、またちがった感想をもつと思うので、ぜひ折にふれて読み返し、自分がどう思うか確かめてほしいです」
ないとう「わかりやすいものが好まれがちな時代に、小学校4年生の子が、人をなやませるような本を何度も読みたくなって自分で買ったということ自体がとてもすばらしい。わかりにくいものってつい遠ざけたくなるけれど、その逆をいっているところが頼もしいです。むりやり結論をだしていないというのが、この本に関してはきっと大切。今は少年の視点で読んでいると思うけど、年を経るにしたがって木の視点も入ってくるかもしれませんね」


田代 大翔さん(小5)
読んだ本――『大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる』 オトフリート=プロイスラ―作 中村浩三訳 偕成社
大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる

宮坂「構成がしっかりしている作文です。この本を読んだ理由、あらすじ、体験談、印象に残ったシーン、全体の感想という流れできちんとまとまっていて、感心しました。文章が読みやすく、きちんと情報が整理されている印象を受けました」
ないとう「本を読もうと思ったきっかけがビブリオバトルだったというのがいいですね。この本をおもしろく発表した子にも拍手を送りたい。ある日学校で靴をかくされた友だちの「ぎったぎたのボッコボコにしてやらぁ!」というせりふがあまりにもインパクトが強すぎて、すべてもっていかれました。小学校生活の生々しい一面がえがかれていて、たくまざるユーモアを感じます」
越前「ビブリオバトルをきっかけに読んでみようと思ったという、読書を楽しむ姿勢がいい。強引なところや唐突なところもありますが、文章を書き進める情熱みたいなものを感じました。本が好きなのはまちがいないので、どんどん読んで、文章の書き方も工夫していってほしいです」


松岡 正乃輔さん(小5)
読んだ本――『天の火をぬすんだウサギ』 ジョアンナ・トゥロートン作 山口文生訳 評論社
天の火をぬすんだウサギ

ないとう「友だちの消しゴムをぼくはなぜ盗むのかという体験談がメイン。『天の火をぬすんだウサギ』の物語もちゃんとあらすじを紹介しているけれど、やはりウサギと対比しながら自分の心情をセキララに語っているところがハイライトです。お友だちはたぶん気がついてると思います(笑)。友だちを大切にして、これからも仲よく過ごしてほしいです」
越前「学校の作文には書けなさそうな内容なので、そういうものでもどんどん出そうという趣旨からいうと、このコンクールにはぴったりかもしれない。ちゃんと反省しているし、自分のなかの闇みたいなものをこんなふうに正直に書ける子はなかなかいないと思います。まれな作文を読ませてもらいました」
宮坂「自分の思ったことを本当に素直に書いているところが印象的で、どういうことなんだろうと思って冒頭からひきこまれ、最後まで興味をもって読み進めることのできる作文でした。自己分析や、絵本の話と自分との比較が特に興味深かったです」


矢代 夏帆さん(小5)
読んだ本――『アベルの島』 ウィリアム・スタイグ作 麻生九美訳 評論社
アベルの島

越前「愛というテーマにスポットを当てて、通常のイメージを超えていろいろな角度から考えているところがおもしろかったです。そういう姿勢がすばらしいと思いました。同じことのくり返しがやや気になりましたが、シンプルでいい作文です」
宮坂「愛について考えるのはちょっと恥ずかしかったり難しかったりするかもしれないのに、正面から堂々と取り組んでいるところがよかったです。自分なりに考えたこと、発見したこと、感じたことが素直に綴られていて、とても楽しく読みました」
ないとう「本文のエピソードをひろって、そこから自分がどう考察したかを書いているあたり、とても論理的に作文を組みたてているなという感じがしました。「はなればなれになったから愛が強まったのだと思う」と考察しながら、自分だったら1か月であきらめるというのがおもしろくて、けっして表面的にきれいにまとめようとするのではなく、読みながら自分の素直な気持ちを書いたのだなということが伝わってきてリアリティを感じました」


大北 隼矢さん(小6)
読んだ本――『クララとお日さま』 カズオ・イシグロ作 土屋政雄訳 早川書房
クララとお日さま

宮坂「本を読んで感じたことが素直に思ったまま表現されています。話があちこち飛んでいるところもあるけれど、ひとつひとつのエピソードがおもしろいし、心から読書を楽しんでいることが伝わってきました。この本を4回の夜更かしで読めたのはすごいですね。読書の時間を夜更かしの回数で表しているのもユニークだなと思いました。どんどん興味が広がって、作者や訳者、装丁者のインタビューまで読んで理解を深め、それを作文の読者にシェアしてくれているところもよかったです。本作りにかかわった人がこの作文を読んだらみんなうれしいのではと思いました」
ないとう「とても素直な感想が書かれているのに加えて、本作りをする人たちのことまで自分で調べて、手際よくまとめて書いてあるのがすごい。直接の出典は記されていないけれど、「翻訳者のインタビューをまとめたもの」と明示してあるのもいい書き方だと思いました。「へえー、そうなんだ。おもしろそう、読んでみよう」と思わせるエネルギーに満ちた作文。『クララとお日さま』は分量もあるし、けっしてすんなりわかる小説ではないと思うので、しっかり読み切って自分なりに消化しているのはすごいです。英語版も読んでみたいとのことなので、ぜひ実現してほしいです」
越前「作文の前半を読んで、まず、『トイ・ストーリー』『鉄腕アトム』『ワンピース』を連想するというところで、多くの小学生はこの本をこういう風に読むんだという新鮮な驚きがありました。そして、それとはまったく異なる読み方をしているところに独創性を感じます。もちろん、この作品の読み方に「正解」があるわけではありませんが、作文の後半で、本というのはいろいろな人が大切な思いを込めて作っているということをしっかり調べて書ける人だからこそ、作者の意図をもっと深く考えられる力があるはずだとも思いました」


川上 莉央さん(小6)
読んだ本――『世界で一番の贈りもの』 マイケル・モーパーゴ作 マイケル・フォアマン絵 佐藤見果夢訳 評論社
世界で一番の贈りもの

ないとう「とてもよく書けている作文。何かの歌をきっかけに「クリスマス休戦」に興味を持ち、自分で本をさがしあてて読んだという導入からはじまって、本の内容を手短に、かつとてもくわしくまとめています。同時に今の世界に対する問題意識がひしひしと伝わってきます。先ほどのムーミンや、このあとのアンネもそうですが、子どもたちは今、大きな不安を感じながら暮らしているんだなということがわかります。文章も上手で作文の書き方もまとまっていました」
越前「この本を読んだきっかけや、世界で一番の贈りものをふたつ見つけたという、導入として興味をもたせるような書き方がすごくうまい。この本から多くのことを学んでいて、作文を読んだ人が同じことを学んでいけるような書き方もされています。構成もわかりやすく、説得力がある作文でした。ロシアやウクライナの話とも自然に結びついていて、自分の心のなかから出てきている印象に好感がもてました。ひとつだけ「妻に届けられた手紙」のエピソードがいつの話なのかというのが少しわかりづらかったです」
宮坂「文章の書き方が上手で、書き慣れているのを感じました。基本は敬体でもときどき常体を混ぜたり、体言止めを使ったりしていて、しかもそれがすごく自然で、スラスラ読める文章になっています。臨場感のある書き方もできていて、感心しました。本を読んだきっかけがおもしろいので、そこをもっとくわしく書くとなおよかったかもしれません」


はな さん(小6)
読んだ本――『悲劇の少女アンネ』 シュナーベル著 久米穣訳 偕成社
悲劇の少女アンネ

越前「本が伝えるメッセージをしっかり受け取っていますね。おそらく自分でたくさん調べたのでしょう。明らかに成長している様子がわかります。本の内容からやや離れているところが気になったのですが、アンネの何に共感したかや、自分と同じところ、ちがうところなどを書いてもよかったと思います。作文の構成はわかりやすいと思いました」
宮坂「この本よりも『アンネの日記』のほうにより多くふれられていましたが、『アンネの日記』を読んで客観的な背景が知りたくなるのはよくわかりますし、いい読書の広がり方だなと思います。戦争について考えを深めている様子が伝わり、なぜ戦争をしなければならないのかわからない、それでも戦争はいけない、と言い切っているところには頼もしさを感じました」
ないとう「期せずして同じようなテーマの作文がならびました。作文の後半で第二次大戦時の日本のことにも触れているのですが、それは、何の本を読んで学んだことなのかまで書いてあると、この本をきっかけにした読書の広がりがたどりやすいだろうなと思いました。ただ、戦時中の日本というと、受けた被害のことばかりを語りがちなのですが、それだけでなく加害のことにも触れていて、視野の広さがすばらしいです。大正生まれのひいお祖母さんからは、ぜひぜひ直接お話をきいて書きとめてほしいなと思います」

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【総評】

越前「今年もすばらしい作文、独創的な作文をたくさん読ませてくれてありがとう。ロシア・ウクライナの問題や長引くコロナ禍などと関連づけた作文が多く、みなさんの問題意識の高さに感心しました。その一方で、やはりいちばん心を打つのは、読んだ本そのものとしっかり向き合って、人真似ではない自分のことばで考えを力強く語っている作文です。これからも、本を心の糧として、大きく成長していってください」

ないとう「今年も力強い作文をたくさん寄せてくださってありがとうございました。二次選考に残った作文には、コロナ禍や今の世界情勢に触れたものも多く、小学生のみなさんの問題意識や、鋭敏な感性を感じとることができました。こんな時代だからこそ、いろいろな国の本を読んで、世界の人たちのくらしぶりや、考えに触れることが、平和への第一歩のように感じています。もちろん、そんな壮大な理念だけでなく、純粋な楽しみのために読むのも大切! 来年も楽しく本を読んで、すてきな本にめぐりあい、そのことをわたしたちに知らせてくれたらうれしいです」

宮坂「コロナ禍の中、今年も読書探偵のみなさんからすばらしい作文がたくさんとどきました。ほんとうにありがとうございます。本を通じて新しい発見をしたり、どうしてだろうとなやんだり、自分の体験をふりかえったりと、みなさんが心を動かされているようすが伝わってきて、読んでいるこちらの心もゆさぶられました。来年もぜひ読書を楽しんで、そのときに感じた素直な思いをわたしたちにシェアしてくれたらうれしいです」
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(一部の本は、応募者の方が読まれたものとは別の版を用いています)

 今年もすばらしい作品をおよせくださったみなさん、ありがとうございました。
 今後、中高生部門のサイトでも、コンクールの結果や入賞した作文の全文が公開される予定ですので、ぜひご覧ください。
 来年もたくさんのご応募をお待ちしております。

(2022年12月記載)

2022年12月17日

読書探偵作文コンクール2022 選考結果発表!

 お待たせしました! 読書探偵作文コンクール2022小学生部門の選考結果を発表いたします。

 今年は59作品の応募があり、第1次選考で12作品が選出されました。12月16日に行われた最終選考会で、選考委員の越前敏弥さん、ないとうふみこさん、宮坂宏美さんにじっくり話し合っていただいた結果、6作品が入賞作に選ばれました。
 入賞されたみなさん、おめでとうございます!

 以下に、入賞者ならびに第1次選考通過者のみなさんのお名前を掲載いたします。(ご本人の希望により、一部お名前をペンネームで記載してあります。)

★最優秀賞★ 大北 隼矢さん(小6)
「受験勉強の合間に」

 読んだ本:『クララとお日さま』
★最優秀賞★ 今林 玲奈さん(小3)
「T・ヤンソンとえい遠の仲間たち」

 読んだ本:『小さなトロールと大きな洪水』

☆優秀賞☆ 川上 莉央さん(小6)
「クリスマスの贈りもの」

 読んだ本:『世界で一番の贈りもの』
☆優秀賞☆ 古市 湊大さん(小4)
「考えることが好きな人へ」

 読んだ本:『おおきな木』
☆優秀賞☆ 竹内 一路さん(小1)
「ぼくもぺちゃんこスタンレー」

 読んだ本:『ぺちゃんこスタンレー』

◎ニャーロウ賞◎ はる さん(小2)
「わすれよ科」

 読んだ本:『さかさ町』

●第1次選考通過●
はな さん(小6)
「『悲劇の少女アンネ』を読んで」

 読んだ本:『悲劇の少女アンネ』
田代 大翔さん(小5)
「どろぼうこわいぞ!」

 読んだ本:『大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる』
松岡 正乃輔さん(小5)
「だれかのために」

 読んだ本:『天の火をぬすんだウサギ』
矢代 夏帆さん(小5)
「アベルとアマンダの心の絆」

 読んだ本:『アベルの島』
菊地 璃心さん(小3)
 読んだ本:『おきゃく、おことわり?』
ちゅんちゅん さん(小3)
「紹介します! 〜おすすめの本〜」

 読んだ本:『ローワンと魔法の地図(リンの谷のローワン1)』

 入賞されたみなさんには、賞状と副賞(最優秀賞受賞者には5000円ぶん、優秀賞受賞者には1000円ぶんの図書カード、ニャーロウ賞受賞者にはニャーロウからのプレゼント)をお送りします。(発送は3月頃の予定です。)
 また、残念ながら選にもれたみなさんにも、後日、参加賞と第1次選考委員からの個別コメントをお送りいたします。

 今年も各地から届いた力作の数々を、楽しく読ませていただきました。ご応募ありがとうございました。作文の形式を問わないコンクールとあって、正攻法の感想文はもちろん、作者への手紙、物語のつづきの創作など、今回もさまざまな作品がよせられました。どのような形式であっても、感じたことや考えたことをどうにか読み手につたえようと、自分なりのことばでつづった文からは、その気持ちがつたわってくるものだなと感じます。惜しくも第1次選考を通過しなかった作品にも、印象に残るものがいくつもありました。来年もぜひ、みなさんの心にひびいた本について教えてください。選考委員一同、ご応募お待ちしております。 

〈入賞者、第1次選考通過者のみなさんが読んだ本〉
※それぞれの本の画像をクリックしていただくと、Amazon.co.jpのサイトで詳しい情報がごらんになれます。

クララとお日さま 小さなトロールと大きな洪水

世界で一番の贈りもの おおきな木 ぺちゃんこスタンレー

さかさ町

悲劇の少女アンネ 大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる 天の火をぬすんだウサギ

アベルの島 おきゃく、おことわり? ローワンと魔法の地図(リンの谷のローワン1)

2022年10月28日

読書探偵作文コンクール2022 応募者のみなさんが読んだ本

コンクール応募者のみなさんが読んだ翻訳書の題名一覧です。

13階だてのツリーハウス
2ひきのカエル
813の謎(文庫版怪盗ルパン)
アガサ・クリスティー探偵名作集8 なぞのうぐいす荘
アベルの島
うちゅうじんはいない!?
エルマーのぼうけん
おいで、アラスカ!
おおきな木
大どろぼうホッツェンプロッツ
大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる
おきゃく、おことわり?
オズのまほうつかい
おもちゃ屋のねこ
クララとお日さま
グレッグのダメ日記 いちかばちか、やるしかないね!
グレッグのダメ日記 ぶっこわしちゃえ
クレヨンからのおねがい!
毛皮ひめ
ゴミの島のサバイバル
さかさ町
しあわせのバケツ
小公女
すばこ
世界で一番の贈りもの
そして誰もいなくなった
ちいさいケーブルカーのメーベル
小さなトロールと大きな洪水
小さなバイキングビッケ
天の火をぬすんだウサギ
ドラゴンのお医者さん
ながーい5ふん みじかい5ふん
ねこと王さま
ばあばにえがおをとどけてあげる
はらぺこあおむし
ハリー・ポッターと死の秘宝(下)
悲劇の少女アンネ
ピトゥスの動物園
ヒトラーのはじめたゲーム
ふたごのカウボーイ
フランケンシュタイン
フランダースの犬
プリンセスと魔法のキス
フレデリック
ぺちゃんこスタンレー
マチルダは小さな大天才
ママが死んだ
マララのまほうのえんぴつ
ミーズルとミクロの仲間たち
未来を変えるロボット図鑑
モモ
レ・ミゼラブル ああ無情
ローラとつくるあなたのせかい
ローワンと魔法の地図(リンの谷のローワン1)
戦争が町にやってくる
名探偵シャーロック・ホームズ